アグリフルの力:植物と土壌の健康を向上させる科学的アプローチ Vol.1(全3回)

チュートリアル 更新日:

 

当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】Agriful(味の素KKフルボ酸資材)とは何か?目から鱗の作用メカニズムが全てわかる!科学的見地からのハイレベル講義。」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

今回から3回にわたり、バイオスティミュラント製品「アグリフル」について詳しく紹介します。バイオスティミュラントとは、植物の成長や健康を促進するために使用される天然由来の製品であり、微生物の活性化や栄養吸収の向上、環境ストレスへの耐性強化など多くの効果があります。

アグリフルは土壌中の微生物や根回りを中心に、成長促進や栄養吸収をサポートするバイオスティミュラントです。果樹類や果菜類など植物全般に対応し、幅広く施用されています。

Vo.1となる今回は、バイオスティミュラントの概念や重要性、アグリフルの成分に焦点をあてます。製品の特徴や主要成分、その役割について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 今回紹介するアグリフルの詳細はこちら

目次

    アグリフルとは何か

    アグリフルは、植物の根系の発達をサポートする土壌散布用バイオスティミュラント製品です。根系の発達を促すことによる肥料成分の吸収サポートや、環境ストレスに強い植物の栽培を目的として開発されました。内容成分は窒素、リン酸、加里をはじめ、有機酸が40%、腐食酸(フルボ酸)が20%ほど含まれています。アグリフルを施用することで、次のようなメリットがあります。

    • 肥料成分の吸収サポート
    • 環境ストレス耐性の向上
    • 土壌環境の調整
    • 植物の老化を遅らせる
    • 果実の色が鮮やかになる

    このように、肥料成分の吸収サポートや環境ストレス耐性を向上させる効果が期待できます。また、土壌に存在する微生物を活性化させるなど、土壌環境を調整したい場合にも最適なバイオスティミュラントです。

    バイオスティミュラントの重要性

    アグリフルを含む多くのバイオスティミュラントが取り入れようとしているのは、植物が昔からおこなってきた自然の仕組みです。

    自然界では、当たり前に植物が生息し、木々が立ち並び、また植物が生命活動に利用できる様々な要素が存在しています。

    植物の生命活動である光合成に必要なのは二酸化炭素、雨水、太陽光の3つの要素です。それにより植物はエネルギーを得て、根を広げ茎を伸ばし、葉を茂らせて果実を実らせます。そして果実は成熟すると茎から離れ、重力に従い地面に落ちます。

    その後、果実に含まれる有益な成分は再び大地に還元され、土壌微生物の栄養源となるのです。この一連の流れが、生態系の機能です。

    自然のシステムにおいて、木が実を結ぶのは人間のためではなく、土を豊かにし、生態系のバランスを維持するためとされています。そのためアグリフルにも同様のアプローチを採用し、土壌に有益な成分を戻して微生物、植物の栄養源としているのです。

    バイオスティミュラントは現代農業において重要な役割を担っています。バイオスティミュラントは植物の生理的プロセスのサポートを目的に作られたものであり、環境ストレス耐性の向上など、植物が健全に成長するために施用される資材です。

    化学肥料や農薬の施用でも栄養補給や病害虫からの保護は可能ですが、水質や土壌の汚染や劣化などが懸念されます。化学肥料や農薬の施用が植物に影響を及ぼし、健康状態が悪化する可能性も十分考えられるでしょう。

    化学肥料や農薬の依存を減らしバイオスティミュラントを施用することで、土壌と植物の両方の健康状態を維持し、結果的に収穫量を最大にする効果も期待できます。バイオスティミュラントは何でも解決する万能薬ではありませんが、植物を健全に栽培し品質を高めるにあたって、バイオスティミュラントの活用は有効です。

    アグリフルの詳しい情報はこちら

    アグリフルの成分と機能

    アグリフルは、その保証成分として三大栄養素のほかに腐食酸(フルボ酸)と有機物が含まれています。さらに有機物にいたっては200種類以上も配合されているなど、数多くの成分で複雑に構成されることにより、植物の成長促進や土壌環境の調節において高い効果を発揮します。以下の表は配合成分の一例です。

    有機酸 多くのプロセスや病気に対してのシグナルとして機能。特に土壌の塩分ストレスを軽減
    ポリフェノール 植物の防御メカニズムで活躍。成長促進剤としても機能し、類似するタイプのホルモンを活性化させ土壌中の微生物に有益な影響を与える
    サポニン 抗真菌性の化合物。抗酸化作用により、病原菌や害虫から植物を保護する
    フラボノイド 線虫への抵抗や塩分ストレスからの保護
    アントシアニン 広範囲にわたる環境ストレスの改善。光合成を促進させる

    他にも様々な成分がありますが、今回は主要となる7種の成分にフォーカスして詳しく解説します。

    アグリフルが気になる方はこちら

    アグリフルの成分

    こちらの画像が示すように、アグリフルには多様な効果を持つ成分が豊富に含まれています。アグリフルに含まれる有機物のなかでも、主要となる成分は以下の7種です。

    • アミノ酸
    • ポリアミン
    • ベタイン
    • 多糖類
    • ビタミン
    • 酵素
    • オリゴ糖

    どれも植物の健康的な成長に有効となる成分です。では、各成分が植物の成長にどのように貢献するのか、その具体的な役割について解説します。

    アミノ酸とその役割

    アミノ酸は、植物にエネルギーを供給する際に有効な成分です。アミノ酸は植物が光合成により成長するためのエネルギー源を確保しますが、アミノ酸をエネルギー源として代謝活動をおこなうことも可能です。

    また、アミノ酸の種類によっては植物ホルモンや色素、その他の物質の前駆体としても機能します。

    アグリフルに配合されているフェニルアラニンを例にしてみましょう。フェニルアラニンとは、果実の色素成分であるアントシアニンの前駆体として広く知られているアミノ酸です。フェニルアラニンは、植物内に存在する10種類の酵素によってアントシアニンへと変換されます。

    アントシアニンの主な役割は、紫外線からの防御と果実の色素形成です。そのため、フェニルアラニンから生合成されたアントシアニンは果皮に蓄積され、紫外線からの防御と果実の色素形成をおこないます。

    つまり、果実の色素形成や紫外線からの防御において、アミノ酸が前駆体としての役割を担っていると言えます。同様に、植物の生理機能をコントロールする植物ホルモンの多くもアミノ酸が前駆体となっており、生命活動において重要な役割を果たしています。

    ポリアミンの重要性

    ポリアミンは、はじめから自然界に存在している成長調節因子です。細胞内の遺伝子に関与することで、植物の成長を促進させたり制御したりと、生理機能において重要な役割を担っています。たとえば以下のような役割があります。

    • 細胞膜の安定化
    • 光合成の効率向上

    ポリアミンの代表的な役割は、細胞膜の安定化です。この機能により、環境ストレスへの耐性を高めることができます。

    細胞膜には、様々な環境ストレスから細胞を保護する働きがあります。しかし、強いストレスを受けると細胞膜が対応しきれず、細胞が損傷してしまう可能性があります。

    例を挙げるならば、低温によるストレスです。気温が下がると細胞膜の構造が変わってしまい、それにより植物の生理機能が低下してしまいます。結果、生命活動ができずに植物の成長自体がストップすることも十分考えられます。

    そこで、細胞膜を安定化させるというポリアミンの力が役立ちます。ポリアミンの作用により、低温が原因で引き起こされる細胞膜の問題を防げます。つまり、気温の高低差など環境によるストレスから植物を保護しているのです。

    しかしながら、ポリアミンの役割はそれだけではありません。光合成の効率も高める役割も担っています。光合成に必須な酵素の活性化や遺伝子の発現をコントロールし、光合成を促進させる働きもあります。

    ポリアミンは植物の生命活動において、実に多くの重要な役割を担っているのです。

    ベタインの特徴

    ベタインは、多くの生物に存在している天然化合物です。植物内では葉緑体で形成されており、高温や低温、乾燥、塩害といった環境ストレスに対して高い耐性を示すのが特徴です。 ベタインの役割としては以下が挙げられます。

    • 浸透圧バランスの調整
    • 環境ストレスからの保護
    • 光合成の促進

    植物に対するベタインの役割は、細胞内外の浸透圧のコントロールです。その働きにより、細胞内の水分量を調節し、植物の環境ストレス耐性や光合成の効率を高めています。たとえば乾燥や気温によるストレスを受けた場合、細胞膜が変質してしまい、細胞内の水分が失われる可能性があります。細胞がダメージを受けないよう、ベタインの働きで細胞膜を正常に保つことで水分量を維持し、植物のストレス症状を防いでいるのです。

    また、ベタインは光合成に必要な酵素としても機能するため、光合成の促進にも大きく貢献しています。

    多糖類とビタミンの寄与

    1)多糖類

    アグリフルに配合されている有機物のなかには多糖類が含まれています。多糖類もまた植物の生理機能には欠かせない成分です。細胞壁や細胞膜の主要要素として機能します。加えて、土壌中の微生物にとっても相互作用の関係にあります。

    多糖類などの有機物は、そのままの状態では根からの吸収が困難であるため、土壌中の微生物の力が必要になります。土壌中の微生物が作りだす酵素により分解されることで、根から吸収できる栄養素となり、植物が活用できるようになるのです。また、微生物は根の周辺に保護バリアを形成し、病原菌から根を守る役割も担っています。

    一方で、多糖類は微生物にとっても重要なエネルギー源となります。土壌中の微生物には有機物の分解のほかに、土壌の健康状態を整える役割があります。pH値のコントロールや病害虫の抑止など、植物が育ちやすい土壌環境を作るには微生物の働きが必要です。

    多糖類から栄養素を得ることで微生物の働きが活発になり、土壌の健康状態が良くなることに加え、植物も健康に育ちやすくなります。つまり、多糖類は植物と土壌中の微生物の両方にとって必要な成分なのです。

    2)ビタミン

    ビタミンは植物ホルモンのバランスを整えるうえで、重要な役割を果たしている成分です。植物ホルモンは生殖や成長など、生理機能に大きな影響を与える物質です。それゆえ、ビタミンの働きにより細胞分裂が促進し、植物の成長が促されます。また、細胞の保護や遺伝子の活性化にも貢献しています。

    酵素とオリゴ糖の効果

    1)酵素

    植物の成長と健康維持において、酵素は必要不可欠です。酵素がなければ植物は成長できないといっても過言ではありません。それほど植物の様々な生理プロセスに深く関与しています。

    たとえば、植物の重要な生命活動である光合成や呼吸、細胞壁の構成、植物ホルモンの合成にも酵素が関わっています。酵素がなければエネルギー源の生成はおろか、細胞壁は脆くなりホルモンバランスも崩れてしまうでしょう。そうなれば植物は成長できず、健康状態は悪化する一方です。

    植物が健全に成長していくために、酵素は様々な場所で多くの効果を発揮しています。

    2)オリゴ糖

    オリゴ糖には、植物がもつ防御機能を強化する効果があります。植物には環境ストレスや害虫などの外敵から身を守るために、植物内外に防御機能が備わっているのです。棘のように体外での物理的な防御のほかに、植物内で物質を生合成し内側から防御する機能もあります。そのうち、オリゴ糖が影響を与えるのは植物内での防御機能です。

    植物はなんらかのストレスを受けたとき、内部でオリゴ糖を生成します。オリゴ糖には細胞を保護する役割があり、細胞膜上で免疫反応を起こす酵素を活性化させます。それにより植物内で免疫力が強化され、害虫や病原菌といった外敵から身を守るのです。

    また、オリゴ糖は土壌中の微生物の栄養源にもなります。有益な微生物は病原菌から根を保護する機能があるため、植物の防御機能の強化において効果的です。

     

    アグリフル

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    まとめ

    今回は、バイオスティミュラント製品であるアグリフルの成分について詳しく解説しました。アグリフルは土壌環境の調整と根の発達、栄養素の吸収サポートを目的として開発された製品です。配合されている成分は200種類以上あり、保証成分である三大栄養素のほか、腐食酸(フルボ酸)と有機物が配合されているのが特徴です。主要成分は以下の7種類です。

    • アミノ酸
    • ポリアミン
    • ベタイン
    • 多糖類
    • ビタミン
    • 酵素
    • オリゴ糖

    各成分とも異なる役割を果たしつつ、植物の成長促進において高い効果を発揮します。また、土壌中の微生物に影響を与え、土壌の健康状態を改善させる効果も期待できます。

    現代の農業において、バイオスティミュラントは持続可能な農業を実現するために重要となる農業資材です。農薬や化学肥料も、植物を健康的に成長させるためのメリットはありますが、同時に環境への負の影響や植物品質の安全性の面でデメリットは避けられません。

    土壌環境や植物の健康という視点から、農薬や化学肥料の施用量を減らし、バイオスティミュラントで植物の自然な成長をサポートすることが、これからの農業にとって必要であると考えます。

    次回は、アグリフルの多面的な効果についての解説となります。植物に対しての具体的な効果や土壌や生態系に与える効果について細かく紐解いていきますので、ぜひ次回もご覧ください。

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     【次回Vol.2のリンクはこちら ↓ 】

    アグリフルの力:植物と土壌の健康を科学的に向上させるVol.2(全3回) (agritecno-japan.com)

     

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