【大豆栽培】栄養成長期を制する者が収量を制す!その理由とは?

施用方法 更新日:


 

当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【大豆栽培】栄養成長期を制する者が収量を制す!その理由とは?」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

【この記事で紹介されるバイオスティミュラント】

目次

    「発芽後は順調だったのに、開花前後から葉が薄れ、収量も思うように伸びなかった」

    そんな経験、ありませんか?

    その原因は、栄養成長期(Vステージ)に根と葉の成長を十分に促せなかったことにあります。栄養成長期は、大豆が収量を左右する「養分の貯金箱」を作る重要な時期。

    ここで適切な管理をしておかないと、開花後に養分不足に陥り、莢数や粒重が伸び悩みます。では、栄養成長期に何を、いつ、どう管理すればよいのか?

    この記事では、

    • 播種前〜V期初期の土壌と根粒菌の整え方

    • V2期までに達成すべき理想的な葉面積

    • V4期以降の水分・養分管理

    これらを、たった3ステップに整理してわかりやすく解説していきます。

    読後には、自分の圃場で明日からできる具体策が見えてきますので、ぜひ最後までお読みください。

    ■栄養成長期に伸び悩むのはなぜ?

    「発芽後は順調だったのに、開花前後から成長が鈍り、葉も薄くなってしまった」そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

    実はこの現象、大豆栽培において非常によくある落とし穴です。その原因は、栄養成長期(Vステージ)における「根」と「葉」の発達不足にあります。

    大豆は高タンパク・高脂質な作物であり、成長にも大量の養分が必要です。特に、窒素(N)を多く必要としますが、大豆自身は根粒菌と共生することで、空気中の窒素を固定する能力を持っています。

    この「根粒菌による窒素供給」が正常に機能しているかどうかが、栄養成長期での地上部の成長=最終的な収量に直結するのです。

    また、大豆は短日植物であり、日長と温度の影響を強く受けます。一般的に、臨界日長は12〜14時間とされ、これを下回ると開花が誘導されます。また、開花に適した温度は20〜30℃ですが、35℃以上になると開花が抑制されることもわかっています。このため、環境条件に左右されやすく、開花のタイミングを誤ると、栄養成長の途中で生殖成長に移行してしまい、養分の蓄積が不十分なまま失速してしまうのです。

    さらに、大豆は「栄養成長期にどれだけ葉を広げ、根を張り、光合成を最大化できたか」が、開花後の成長スピードや莢の充実に大きく影響します。

    つまり栄養成長期は、単なる育ち盛りの時期ではなく、“収量のための養分を蓄えるゴールデンタイム”なのです。ところが、現場ではこんな課題が起こりがちです。

    • 土壌pHが適正値(6.3〜6.5)に達しておらず、根粒菌が十分に働けない

    • 早期に葉面積(LAI)が不足し、光合成量が伸び悩む

    • 播種後の施肥や水分管理が遅れ、栄養蓄積が追いつかない

    このような小さなズレが、開花期以降に「収量の伸び悩み」という形で表面化するのです。

    アグリフルの役割】

    開花前に失速する本当の理由

    なぜ、栄養成長期の小さなミスがここまで響くのでしょうか?

    その理由は、大豆の成長が「ソース・シンク理論」に従って進行するからです。

    「ソース」とは、光合成で作り出される養分の供給源(葉や茎)。

    「シンク」とは、その養分を消費して成長する器官(主に種子や莢)です。

    栄養成長期は、ソースを大きく育てる期間。

    ここで葉(=ソース)をしっかり作り、根(=水分・養分吸収源)を張ることで、開花後に実を太らせるための養分がたっぷり準備されるのです。

    逆に言えば、栄養成長期での根と葉の作り込みが甘いと、開花後にいくら花を咲かせても、養分供給が追いつかず、実入りが悪くなるというわけです。

     

    養分を貯めるカギは「根と葉」

    栄養成長期の最大ミッションはシンプルです。

    ・「根粒菌を活性化させる」

    ・「葉面積(LAI)を早期に最大化する」

    この2つを確実に達成することが、開花後の“収量失速”を防ぐ唯一の道です。

    特に重要なのは、「栄養成長期は未来のための貯金期間」だと意識を切り替えること。発芽からV5期までに、いかに地中と地上部に養分生産体制を作り上げるか。

    それがその後の収量を決定づけるのです。

     

    ■栄養成長期にやるべき管理は3つ

    栄養成長期に「根」と「葉」をしっかり育てるためには、管理項目がたくさんありそうに見えますが…。次の3つを確実に押さえれば、開花後にぐんぐん伸びる、力強い大豆に育てることができます。

    【1】播種前にpH6.3〜6.5&Mo補給

    大豆の栽培において、播種前の土壌pH管理は極めて重要です。

    理想的な土壌pHは6.3〜6.5。この範囲では、根粒菌の活性が最大化し、窒素固定量が2.3kgN/ha/dayから3.1kgN/ha/dayへと約35%向上することがわかっています。

    さらに、pH6.3〜6.5を維持することで、百粒重は18.5gから21.3gに増加(約15%増)し、収量の安定化と品質向上にもつながります。

    播種前には苦土石灰やカキ殻堆肥を施用し、pH調整を徹底しましょう。また、窒素固定をサポートするために、モリブデン(Mo)の補給も重要です。

    【2】V2期までに密度15万株&LAI4達成

    次に意識すべきは、地上部の管理──葉を広げることです。大豆の葉面積は、「LAI(葉面積指数)」という指標で表され、理想はLAI4〜5。この状態になると、太陽光を効率よくキャッチし、光合成量が最大化されます。

    そのためには、

    • 播種密度を15万株/ha程度に設定

    • V2期までに葉面積指数(LAI)4を達成すること

    • リン酸を中心とした施肥で初期生育を促進

    が重要です。

    特に播種密度は非常にシビアなポイント。

    密度が低すぎると光合成効率が落ち、密度が高すぎると過密による倒伏リスクが増します。「ちょうどよい葉量」を早期に作ることが、収量アップへの土台作りとなります。

    【3】V4期にK追肥&水分安定管理

    最後のステップは、開花直前のフォローです。栄養成長期後半(V4期頃)には、

    • カリウム(K)追肥で光合成産物の転流をスムーズにし

    • 水分管理でストレスを防ぐ

    ことがポイントになります。

    カリウムは、作られた養分を莢や種子に送り届けるために必須の栄養素。不足すると、光合成で作られた養分が葉に滞り、開花後の子実肥大がスムーズに進まなくなります。

    また、水分の不足や過剰は、根粒菌の働きにも直結します。乾燥が続けば根の活動が鈍り、湿害が起きれば窒素固定も低下します。V4期に入ったら、

    • 降雨量を見ながら適切な排水や潅水管理

    • カリウムを適切に補給

    このダブル管理を徹底しましょう。

     

    ■まとめ

    本記事では、

    「栄養成長期に養分をしっかり蓄えることが、収量アップへのカギ」

    であることを解説しました。ポイントは3つだけです。


    ・播種前にpH6.3〜6.5とモリブデン補給で根粒菌活性化

    ・ V2期までに密度15万株/ha&LAI4達成で葉量確保

    ・ V4期にカリウム追肥&水分管理でエネルギー転流促進


    この「たった3つ」を意識するだけで、

    大豆の生育は驚くほど力強くなり、収量アップも十分狙えます。

    まずは一歩、土壌pHのチェックから始めてみませんか?

    そして次の栄養成長期、最高のスタートダッシュを切りましょう!

    0件のコメント

    コメントを書く

    コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。

    関連コラム

    関連商品

    お問い合わせ

    AgriTecno-Japanロゴ

    味の素グループアミノ酸肥料オンライン販売

    お問い合わせフォームへ
    公式YouTubeバナー 公式YouTubeバナー

    Tecamin Max (テカミンマックス)

    容量
    数量