【徹底解説講座】果樹・柑橘類の収量アップのカギは開花プロセスの理解にあり!?柑橘栽培の成長メカニズムを解説!隔年結果のメカニズムも解説

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当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【徹底解説講座】果樹・柑橘類の収量アップのカギは開花プロセスの理解にあり!?柑橘栽培の成長メカニズムを解説!隔年結果のメカニズムも解説!温州みかん、伊予柑、かんきつ栽培者必見」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

【この記事で紹介されるバイオスティミュラント】

目次

    果樹、特に柑橘類の栽培では、収量を最大化し安定した収穫を得るために、果実の成長メカニズムを深く理解することが重要です。本記事では、開花プロセスから果実の成長、収量を決定づける要因、隔年結果のメカニズムまで、果樹栽培に欠かせない知識を徹底解説します。この記事を読むことで、柑橘栽培の成功に必要な知識を身につけ、実践に役立てることができるでしょう。

    【重要な概念】

    果樹栽培、とりわけ柑橘類の収量を最大化するためには、果実の成長過程や植物ホルモン、環境要因の影響を理解することが不可欠です。果実の成長は以下の3つの段階に分けられます。

    (1) 細胞分裂期

    果実の初期成長を支える段階で、細胞の数が急激に増加します。この時期に植物が受ける環境ストレスや栄養不足は、果実の最終サイズに直接影響を及ぼします。例えば、低温や乾燥が続くと、細胞分裂が止まり、果実の成長が大幅に制限される可能性があります。特に柑橘類では、この期間は着果後の約6週間とされ、収穫量を左右する重要な時期です。

    (2)細胞肥大期

    最初の細胞分裂が完了した後、既存の細胞が拡大することで果実のサイズがさらに大きくなります。この段階では、水分や糖分の供給が鍵となり、適切な土壌環境の維持が求められます。特に水分不足が細胞肥大を妨げるため、灌漑や保水力の高い土壌管理が重要です。

    (3)成熟期

    果実が収穫可能な状態に達する時期で、糖度の増加や色付きが起こります。非クライマクテリック型の果実(例:柑橘類)では、この段階で収穫タイミングが非常に重要です。収穫後に味が変化しないため、最適な成熟状態を見極める必要があります。

    これらの段階を理解することで、果実の成長に適した栽培管理を行い、品質向上や収量増加を目指すことが可能になります。また、果樹の成長サイクルを把握することで、栽培者は収穫時期だけでなく、翌年の収量確保に向けた計画を立てることができます。

    【開花プロセス(花成誘導〜開花)】

    柑橘栽培における開花プロセスは、果実収量の基礎を築く重要なステージです。このプロセスは、花芽誘導、花芽形成、そして開花という3つの段階に分かれます。適切な管理が不足すると、収量の減少や隔年結果の発生を引き起こす可能性があります。

    花成誘導のメカニズム

    花芽誘導は、植物が花を形成する準備を始める段階です。低温や水ストレスが植物に信号を送り、栄養芽が花芽に転換されます。この過程で重要な植物ホルモンとして、サイトカイニンとプロリンが挙げられます。サイトカイニンは根で生成され、花芽誘導を助ける役割を果たします。また、プロリンは細胞内の代謝活動をサポートし、ストレス耐性を向上させることで、花芽形成を促進します。

    熱帯地域では、低温が少ないため、水ストレスが花芽誘導の主要な引き金となります。一方で、ジベレリンの過剰分泌は花芽誘導を抑制するため、このホルモンのバランス管理が必要です。ジベレリンを抑え、サイトカイニンの効果を最大化するためには、バイオスティミュラント製品(例:テカミンフラワー)の施用が効果的です。

    隔年結果の原因と対策

    柑橘類に見られる「隔年結果」とは、表年に多くの果実が生産される一方で、翌年に収量が著しく減少する現象を指します。原因は主に、表年における栄養分の不足と、ジベレリンの過剰が重なることです。この現象を防ぐためには、表年に果実の数を適切に制限し、花芽誘導を支える栄養を確保することが重要です。

    花芽形成から開花へ

    花芽が形成されると、次に栄養やエネルギーが花芽に供給され、最終的に開花が始まります。この過程では、土壌中の微生物が生成するサイトカイニンやポリアミンも重要な役割を果たします。土壌の健全性を保つために、アグリフルなどの製品を用いて微生物の活動を促進することが推奨されます。

    開花は柑橘類の収量を決定づける最初のステップであるため、この時期の環境や栽培条件を最適化することが、収量向上に直結します。

    【果実の負荷(開花〜1次落果・2次落果)】

    果実の負荷は、収量の最大化と果実の品質向上を両立させるための重要な要素です。開花から生理落果に至るまでの過程で、果実の数やサイズを適切に調整する必要があります。

    1次生理落果の特徴

    1次生理落果は、開花後間もなく発生する果実の自然淘汰現象です。この段階では、結実不良や栄養不足が原因で多くの果実が落下します。特に、樹木が供給できる栄養の限界を超えて果実が成長しようとする場合、この落果が顕著に見られます。

    通常、開花した花の中で実際に収穫可能な果実に成長するのはわずか1〜2%と言われており、これは非常に低い割合です。この時点での適切な栄養管理は、果実を木に留めるために重要です。サイトカイニンや糖分を含む製品の施用、またはアグリフルなどの土壌微生物を活性化するバイオスティミュラントの使用が効果的です。

     

    2次生理落果の特徴

    2次生理落果は、果実の細胞分裂期と肥大期の境目に発生します。この落果は、果実が成長に必要な栄養を十分に得られなかった場合や、ホルモンバランスが崩れた場合に起こります。特にこの時期には、ジベレリン、オーキシン、サイトカイニンといった植物ホルモンのバランスが重要となります。

    エチレンやアブシシン酸など、落果を促進するホルモンの影響を抑えることが、落果防止のカギです。具体的には、ポリアミンを含むバイオスティミュラントや、カルシウムやホウ素の葉面散布が有効です。また、灌漑による水分供給や保水力を高める土壌管理も、この時期の果実維持において重要な役割を果たします。

     

    単為結果性と果実の負荷管理

    単為結果性とは、受粉や受精が行われなくても果実が成長する性質を指します。柑橘類の中でも温州みかんなど、多くの品種がこの特性を持っています。単為結果性を持つ果実では、通常種子が形成されないため、果実が肥大するためのエネルギー源は主に糖分や栄養供給に依存します。このため、適切な栄養管理が特に重要です。

    果実の着果を支える主要なホルモンは、サイトカイニン、オーキシン、ジベレリンです。中でもサイトカイニンは、果実を着果させる主要なシグナルとして機能します。また、単為結果性をサポートするには、ポリアミンやトリプトファンを含む製品の施用が有効とされています。

    この特性のおかげで、柑橘類は安定した収量を期待できますが、果実が多すぎる場合には品質が低下するリスクもあります。果実の負荷が高すぎると、糖分が分散されて果実が小さくなるため、収量と品質のバランスを保つための間引き作業が重要です。

    [ポリアミン・サイトカイニンに関わるバイオスティミュラント]

    果実の負荷を適切に管理することは、収穫量と果実の品質を両立させるための基本です。1次・2次生理落果をコントロールしつつ、必要に応じて果実を間引くことで、樹木が持つ栄養供給能力に見合った収量を確保できます。

    また、栄養不足や環境ストレスを最小限に抑えるためには、バイオスティミュラント製品や灌漑管理を適切に活用することが欠かせません。単為結果性の特性を生かしながら、収量と品質の最適なバランスを取ることが、成功する柑橘栽培の秘訣です。

    【果実細胞の肥大】

    果実の細胞肥大期は、収量の最終的なサイズや品質を左右する重要な段階です。この段階では、既に分裂した細胞が水分と糖分を吸収し、果実全体が肥大します。細胞分裂期で決まった細胞数を最大限に活かすために、栄養と水分の管理が欠かせません。

    (1)細胞肥大期の特徴

    細胞肥大は、果実成長の第2段階にあたります。この期間中、果実のサイズは急速に拡大しますが、その基盤となるのは第1段階で分裂した細胞数です。このため、細胞肥大期にどれだけ効率的に水分と糖分を細胞内に蓄積できるかが、果実の最終的なサイズに直結します。

    この段階では、果実が水を吸収し、細胞壁に圧力をかけることで細胞が拡大します。同時に、糖分が細胞内に取り込まれることで、果実の甘味が増し、品質が向上します。特に柑橘類では糖と酸のバランスが重要で、糖分の十分な供給が消費者の好む味を実現するポイントとなります。

    (2)必要な栄養と管理手法

    細胞肥大期には、以下の栄養素と管理手法が重要です。

    1. 水分管理: 果実肥大には十分な水分供給が必要です。特に干ばつが発生しやすい地域では、灌漑のタイミングを適切に調整することが求められます。また、アグリフルなどの保水性を高める製品を施用することで、根の吸水能力を向上させることができます。

    2. 糖分供給: 果実への糖分輸送には、カリウムやホウ素が不可欠です。これらは糖を葉から果実に移動させるプロセスを助けます。また、光合成率を高めるテカミンマックスの使用も、糖分生産の効率化に寄与します。

    3. プロリンとベタイン: これらのアミノ酸は、水分を細胞内に保持する働きがあり、果実が乾燥ストレスに耐えやすくなる効果があります。これにより果実の細胞が肥大する環境が整います。

     

    【成熟期(果実の品質が決まる最終段階)】

    成熟期は果実の成長サイクルにおける最終段階であり、果実の収穫時期を決定する重要なフェーズです。この時期に果実の糖度、酸味、色、風味が整い、市場での価値が左右されます。柑橘類の場合、成熟期の管理は消費者が求める品質を確保するための鍵となります。

    成熟期の特徴

    成熟期では、果実の成分バランスが完成されます。主に以下のような変化が見られます。

    1. 糖度の上昇

    葉で生成された糖が果実に輸送され、果実内に蓄積されます。糖度は果実の甘味を決定し、消費者の嗜好に大きな影響を与えます。

    2. 酸味の調整

    果実内の酸が分解され、糖とのバランスが取れることで、最適な風味が生まれます。特に柑橘類では、この糖と酸の比率が味の評価基準となります。

    3. 色付きの変化:

    果実内でカロテノイドや色素が生成され、緑色からオレンジ色や黄色へと変化します。この色付きは収穫適期を判断する目安となります。

     

    成熟に必要な管理

    成熟期は果実の品質を左右するため、適切な管理が求められます。

    1. 糖分供給

    果実への糖の輸送を最大化するため、カリウムとホウ素の施用が重要です。これらは糖の移動を助ける働きを持ち、果実の糖度向上に寄与します。特にホウ素は糖が細胞内に取り込まれるためのタンパク質生成をサポートします。

    2. 水分管理

    土壌水分が不足すると、果実の細胞壁が縮小し、サイズが小さくなる可能性があります。十分な灌漑を行い、必要に応じてアグリフルを施用することで、保水力を高めることができます。

    3. ストレス対策

    高温や乾燥ストレスは果実に重大な影響を与えます。このような状況下では、ポリアミンやベタインを含む製品を施用し、果実の耐性を高めることが推奨されます。また、日焼け果のリスクがある場合には、プロリンを活用することで、果実細胞を保護できます。

    4. 収穫適期の判断

    収穫のタイミングを見極めることも成熟期の重要な要素です。柑橘類は「非クライマクテリック型」の果実であるため、樹上で成熟した状態で収穫する必要があります。糖度と酸度のバランス、果皮の色付き、そして味覚のテストを総合的に判断材料とすることが求められます。

     

    成熟期における課題

    1. 果実の落下

    成熟期に入ると、収穫前に果実が落下する「三次生理落果」が発生することがあります。この問題を防ぐためには、細胞壁を強化するためのカルシウムやホウ素の施用が有効です。また、テカミンマックスアグリフルを使用することで、果実の代謝を安定化させ、落下リスクを軽減できます。

    2. 品質の均一化

    成熟期の果実は品質がばらつきやすいため、樹全体で均一な糖度や色付きが得られるよう、栄養管理を徹底する必要があります。

    [糖度に関わるバイオスティミュラント]

    成熟期は果実が消費者に届く直前の最終段階であり、すべての栽培工程の成果が現れる時期です。この時期に適切な管理を行うことで、果実の品質を高め、市場価値を最大化することが可能です。糖度、酸度、色付きといった品質指標を適切に管理し、収穫適期を見極めることで、消費者が満足する果実を提供することができます。

      

    【まとめ】

    柑橘類の栽培において、高収量と高品質を実現するためには、各成長段階に応じた適切な管理が重要です。開花プロセスでは、花芽誘導を促進する環境作りと施肥が、翌年の収量を大きく左右します。果実の負荷を適正化し、生理落果を抑制することで、収量を安定させることが可能です。また、細胞分裂期と肥大期における栄養管理は、果実サイズや品質に直結します。成熟期には糖度や酸味バランスを整える施肥が欠かせません。

    科学的根拠に基づいた管理が、持続可能な農業と高収量の両立に寄与します。これらの知識と実践を取り入れることで、より競争力のある果樹栽培を目指しましょう。

    詳しい柑橘の生育プロセスやバイオスティミュラントについて「【徹底解説講座】果樹・柑橘類の収量アップのカギは開花プロセスの理解にあり!?柑橘栽培の成長メカニズムを解説!隔年結果のメカニズムも解説!温州みかん、伊予柑、かんきつ栽培者必見」こちらの動画で解説していますので、気になる方はこちらから動画をご視聴ください。

     

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