【プロ農家向け】小麦の栽培方法とおすすめ肥料・農業資材

施用方法 更新日:

「小麦の生産量を増やす育て方が知りたい」

「小麦栽培において生育が進まず課題を感じている」

「小麦栽培に役立つ農業資材の選び方がわからない」

このような疑問や悩みを抱えていないでしょうか。小麦は生育期間が長いため、収穫量を増やすためには排水対策や肥料切れを防ぐための施肥など、気を遣わなければならないポイントが多々あります。

そこで本記事では、以下の内容を中心に解説します。

  • 小麦の作り方や栽培スケジュール
  • 小麦の育て方における注意点
  • 小麦栽培の手助けとなる農業資材

小麦の育て方はもちろん、生育を促進させるバイオスティミュラントについても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

〈本記事で紹介されているバイオスティミュラント〉

目次

     小麦栽培の時期・栽培歴

    小麦栽培は地域によって異なりますが、9月〜11月に播種を行う秋蒔きが一般的です。寒い地域ほど播種を早めに行う一方で、暖かい地域は遅めに行うため、北海道と九州では種を蒔く時期に2ヶ月ほど差が出ます。

    小麦は湿害に弱いため、排水対策が重要な作物です。湿害を受けると生育不良などを引き起こし、小麦の収穫量や品質に影響を及ぼします。

    また、小麦は肥料依存度が高いのも特徴です。小麦の栽培期間は寒冷な冬期を挟むため、生育にかかる日数が長くなります。生育中の小麦に栄養が足りていないと穂数が確保できなくなるため、施肥管理も重要です。圃場の整備から追肥や病害虫の防除を丁寧に行うことで、良質な小麦を増収させられます。

     小麦の栽培方法

    小麦の栽培方法に関して、大きく以下の6フェーズに分けて紹介します。

    • 圃場準備
    • 排水対策
    • 播種
    • 施肥
    • 防除
    • 収穫

    良質な小麦を育てるために、参考にしていただければ幸いです。

     ①圃場準備

    小麦の播種に適した土壌条件をつくるために、耕起と整地を行います。圃場に直径2cmほどの大きな土塊がたくさんあると、出芽不良につながります。反対に細かな土塊が多すぎると、降雨後に土壌表面が膜状に固くなる「クラスト」を引き起こすため注意が必要です。

    また、耕起を行うにあたって作業計画を立てましょう。耕起後に降雨があると、その後の播種作業が難しくなります。天候が不安定な場合は、耕起から播種まで1日の行程で完了できるよう、スケジュール管理を行いましょう。

    耕起する際の深度は15cm、砕土率は7割を目安に行い、均平になるよう丁寧に整地します。土壌水分が高い時に耕起を行うと、砕土率が低下します。耕起を行う際は、圃場が乾いた状態で行いましょう。

     ②排水対策

    排水対策は、小麦栽培において重要なポイントです。小麦は耐湿性が弱く、湿害を受けやすい作物です。土壌が湿りすぎていると、播種時の発芽不良や生育期間中の穂数不足につながります。

    小麦栽培に適した圃場環境をつくるにあたって、地下水位が40〜50cm以下となるようブロックローテーションなどの団地化を行います。

    また、降雨後の早期排水は以下のポイントが重要です。

    • 暗渠(あんきょ)や明渠(めいきょ)をつくる
    • 額縁明渠などの排⽔溝を設置する
    • 排⽔溝と排⽔⼝をつなぐ

    降雨後は、いかに早く地表水を排除できるかの工夫が求められます。雨の日に溝同士のつなぎ部分や、排水口からきちんと水を流せているか確認しましょう。

     ③播種

    作付けする際は、健全な種子を選びましょう。自家採種をすると、品種特性の退化による収量や品質の低下や種子伝染性病害を引き起こす可能性があるからです。種子は毎年更新したうえで、なまぐさ黒穂病や条斑病などを予防するために必ず消毒しましょう。

    播種を行う際は、条間30cm以下のドリル播とし、3cmの深さで行います。浅すぎると除草剤の影響を受けやすくなり、深すぎると苗立数の低下やその後の生育に悪影響を及ぼすため注意が必要です。

    播種は適期を過ぎると、生育が難しくなります。具体的には、時期が早すぎると凍霜害や過繁茂による病害を受けやすく、遅すぎると⽣育や成熟の遅れにより穂数や粒の充実が減少します。

    また、降雨直前や直後の播種は種子が水に浸かった状態となるため、酸素不足が原因で発芽しません。天気予報を確認しながら計画し、土壌環境が良い状態で播種を行いましょう。

     ④施肥

    小麦は冬を挟むことで栽培期間が長くなるため、肥料切れを起こしやすい作物です。生育期間中に肥料が不足すると、タンパク質含有量や容積重量が落ちて、品質・質量ともに低下します。

    施肥は大きく分けて2回行いますが、それぞれ行う時期は以下のとおりです。

    • 1回目:1月下旬~2月中旬を目安に、NK化成や硫安を基肥の半量程施用
    • 2回目:2月下旬~3月上旬を目安に、基肥の半量を施用

    2回目の施肥を行う際は、葉色が濃く生育旺盛な場合は減量し、葉色が薄く生育も進んでいなければ増量します。

    また、小麦栽培では穂の発育を良くする「穂肥」は必ず施用します。特に2月中旬の「幼穂形成期」と3月中旬以降の「節間伸長期」と呼ばれる時期は、肥料切れを起こしやすくなるため注意が必要です。穂肥の量は基肥成分量の半分が目安であるものの、播種後の雨量が多い場合は増やし、葉色が濃く生育旺盛な場合は減らします。

    穂肥の後は、土入れも合わせて行いましょう。土入れは穂肥の効果を高めるだけでなく、排水溝が深くなるため湿害の防止にも役立ちます。

     ⑤防除

    病害虫防除も小麦栽培には欠かせません。小麦の生育期間中に想定される病害は、以下のとおりです。

    • アブラムシやムギキモグリバエなどの虫害
    • 縞萎縮病
    • うどんこ病
    • ⾚かび病

    特に赤かび病は人体に有害なカビ毒を生成するため、収穫した小麦の中に被害粒が混入していると出荷できなくなります。

    小麦栽培における赤かび病は、開花後に病菌が葯(やく)にとりつき、花粉を栄養源にして菌糸が生育して広がっていきます。赤かび病は薬剤散布で防除を図りますが、1回で完全に抑えることはほぼ不可能なため、2回に分けて行うのが基本です。1回目の散布は開花期に行い、2回目は1回目の7日後を目安に実施します。

    農産物規格規定では、赤かび病被害粒の混入が0.05%以上だと規格外になるため、徹底して防除を行いましょう。

     ⑥収穫

    穂が成熟して適期を迎えたら、小麦の収穫を行います。適期より収穫が早いと穀粒の充実不足による品質低下を招き、乾燥に時間と燃料を多く必要とします。反対に、収穫が遅いと赤かび病の被害が増えやすく、光沢も劣るなど品質低下につながるため注意が必要です。

    小麦の収穫適期は、穀粒水分が30%以下の状態です。具体的には穂のつやがなくなり、傾き始めたタイミングとなります。小麦を収穫する際は梅雨時であるため、天気や穂の乾燥具合を確認しながら計画的に行いましょう。

    収穫した小麦は変質しやすいため、すみやかに乾燥させます。気象条件の影響などで高水分穀粒を収穫した場合は、始めは風のみで徐々に加温します。乾燥させる際の温度は、45℃以下を保ちましょう。高水分小麦では、退色して白っぽい小麦に仕上がることがあるため、送風温度が高くならないよう、注意が必要です。

     プロ農家向け小麦栽培のおすすめ肥料・農業資材

    小麦栽培は圃場整備や排水対策以外にも、播種から収穫の間にさまざまな問題が発生します。特に、天候による小麦への影響は人の手でコントロールできません。

    そこで、小麦の成長を促進させるための手助けとなるのが、味の素グループの農業資材です。ここでは、味の素グループで取り扱っているバイオスティミュラントを例に、肥料・農業資材の効果を紹介します。

     アミハート®「丈夫な根の生育に」

     

    効果

    小麦の発根を促進させるのであればアミハート®がおすすめです。アミハート®は単分子の核酸を豊富に含んでおり、単分子であるため吸収の良さが特徴です。

    アミハート®に含まれる上記成分の作用によって以下のような効果が期待できます。

    • 根はりを良くしたい
    • 成り疲れを予防したい
    • 作物の生育を促進させたい

     施用事例

    アミハート®の施用で、小麦の発根を促進させた事例があります。雪腐病防除時にアミハート®とグルハートプラス(Tecamin Maxの従来品)を、各500倍で葉面散布した際の結果が以下の写真のとおりです。

    アミハート®の施用により根張りが促進され、地上部の生育にも良い影響が見られました。

     使用方法

    施用する際は、育苗期・定植前後であれば水で500倍に希釈します。定植~収穫前であれば

    潅注施用は2~5L/10a、葉面散布は500倍で施用します。施用回数は月2〜4回が目安です。

    使用にあたっては、以下の点に注意が必要です。

    • 希釈時によく攪拌し、溶解してから使用する
    • 孔径0.2mm以下の灌水チューブを使用する際は、フィルターを通す
    • 希釈した液は保存せずに、その日のうちに使い切る

    >>アミハート®の詳細はこちら

     Tecamin Max「天候に左右されずに作物の生育をよくする」

     

    効果

    小麦を天候に左右されないよう育て上げるには、Tecamin Maxがおすすめです。Tecamin Maxには、各種アミノ酸が豊富に含まれているのが特徴です。なかでも作物のタンパク質合成に大きくかかわるグルタミン酸が、樹勢回復や維持に大きく貢献します。

    Tecamin Maxに含まれる上記成分の作用によって以下のような効果が期待できます。

    • 農薬と混用で効率良く葉面散布をしたい
    • 曇りの日が続き作物の生育が悪い
    • 暑熱期に苗質を維持したい

     施用事例

    Tecamin Maxは小麦以外にも、さまざまな作物で施用が可能です。例として、ジャガイモの収穫量増加があります。Tecamin Maxを3回葉面散布した際の結果が以下の写真のとおりです。

    未施用区とTecamin Max施用区で収穫量を比較した際に、ジャガイモの個数は5%、重量は22%増加しました。

     使用方法

    麦類・豆類の場合は、Tecamin Maxを4葉期前後から子実肥大期にかけて、10aあたり150〜200mlを希釈して葉面散布します。施用回数は生育具合によりますが、2〜4回が目安です。

    使用にあたっては、以下の点に注意が必要です。

    • 生育具合に合わせて施用量や回数、希釈倍率を調整する
    • ミネラルの多い資材と併用する際は沈澱が生じないか確認する
    • 高温時には使用せず、使用前にはよく振る
    • 希釈液はその日のうちに使い切ってしまう

    >>Tecamin Maxの詳細はこちら

     Tecamin Flower「花芽を充実させて着果を高める」

     

    効果

    小麦の花芽を充実させて着果を高めるには、Tecamin Flowerがおすすめです。Tecamin Flowerに含まれる遊離アミノ酸やリン酸、モリブデンなどの成分が、花芽の充実や着果向上につながります。

    Tecamin Flowerに含まれる上記成分の作用によって以下のような効果が期待できます。

    • 花芽を充実させたい
    • 高温時のストレスによる着花不良、落花を抑えたい
    • 栄養成長から生殖成長への切り替えを促したい

     施用事例

    Tecamin Flowerも小麦以外にさまざまな作物で施用が可能です。例として、トマトの着果数の増加があります。10aあたり300mlを希釈した葉面散布剤を、トマトの開花初期とその21日経過後の2回散布した結果が、以下の写真のとおりです。

    慣行区とTecamin Flower区を比較すると、後者の方がトマトの着果数が5%アップし、収量にも増加がみられました。

     使用方法

    麦類・豆類の場合は、Tecamin Flowerを着蕾期から開花初期にかけて、10aあたり200mlを希釈して葉面散布します。施用回数は着蕾期と開花初期に1〜2回が目安です。

    使用にあたっては、以下の点に注意が必要です。

    • 酸性資材のため、アルカリ性の資材と混用する際は少量から試してみる
    • ミネラルの多い資材と併用する際には沈澱が生じないか確認する
    • 高温時には使用せず、使用前にはよく振る
    • 希釈液はその日のうちに使い切ってしまう

    >>Tecamin Flowerの詳細はこちら

     植物の肥料・農業資材でお悩みの農家様へ

    味の素ヘルシーサプライ(株)では、本記事で紹介した農業資材に限らず長年の研究で培った独自技術を利用した、バイオスティミュラントを取り扱っています。植物の生育に関しては、天候不順など人の手でコントロールが難しい問題も発生することでしょう。

    味の素ヘルシーサプライ(株)が取り扱っているバイオスティミュラントは、発根促進から収穫前まで、作物の生育を促す農業資材が揃っています。小麦だけでなく、さまざまな作物に施用できるため、農家様の課題やニーズに合ったソリューションのご提案が可能です。

    >>製品・サービス一覧

     小麦栽培のまとめ

    本記事では、小麦の作り方や、栽培に役立つ味の素グループのバイオスティミュラント活用方法を解説しました。小麦は湿害に弱く、排水環境を含めた圃場整備が重要です。また、播種から収穫まで1年近くかかるため、肥料切れや防除にも気を遣わなければなりません。

    近年では天候不順などにより、小麦はもちろん作物の生育において求められる対策が増えています。小麦栽培においては、ぜひ味の素グループのバイオスティミュラントを活用いただき、作物の生産性向上を手助けできれば幸いです。

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