植物の微量要素吸収・アミノ酸キレートとは? Vol.3(全4回)

チュートリアル 更新日:

 

当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】農業におけるアミノサイエンスvol.1 キレート材としてのアミノ酸 目から鱗の作用メカニズムを全公開 スペイン技術者が科学的見地からの徹底解説」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

前回のVol.2ではキレート剤としてのアミノ酸をテーマに、専門家の意見を交えながらキレート剤の重要性とアミノ酸をキレート剤とする利点と強度の比較、またアミノ酸キレートの活用方法について解説しました。加えて弊社製品「テクノケルアミノCab」と「テクノケルアミノMix」の施用目的や施用方法をご紹介しました。

Vol.3となる今回は、キレート化のメカニズムに注目します。前半ではキレート化のプロセスやキレート剤の強度、サイズの重要性について、後半ではテクノケルアミノCaBとテクノケルアミノMixそれぞれの独自性と効果に注目して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

    キレート化のメカニズムとは

    植物に必要な栄養素がキレート化されることで、栄養吸収においてどのように役立つのでしょうか。わざわざ栄養素をキレート化させる意味とは何なのか、キレート化について改めて解説します。

    キレート化のプロセス

    はじめに、アミノ酸が金属イオンである栄養素をキレート化するプロセスからおさらいしましょう。

    まずは、こちらの画像をご覧ください。

    2つの原子は、一方の原子からもう一つの原子への電子の移動により結合しています。この状態を錯体または共有結合といい、さらに2つの電子の移動により共有し結合しているものを配位共有結合といいます。錯体のなかでも、さらに原子で金属イオンを挟みこみ、配位共有結合したものをキレートと呼ぶのです。

    電子共有の役割

    では、アミノ酸が金属イオンをキレートする様子を詳しく見てみましょう。次の画像は、金属をアミノ酸キレート剤の近くに置いた状態です。

    上部中央のMe⁺が金属イオン、下の化合物がアミノ酸キレート剤です。

    金属イオンをアミノ酸キレート剤のもっと近くに置いてみましょう。

     

    するとアミノ酸は形を変えて、まるで語源であるカニの爪のように金属をはさみこんでいます。同時に左の青い原子はしっかりと2つの電子を共有し、配位共有結合しているのがわかります。この状態がまさしくキレートです。

    このように、アミノ酸は変形することで金属イオン、すなわち栄養素をしっかりとキレートし、植物が吸収しやすいように保持しているのです。

    配位共有結合は共有結合よりも安定性があり、通常のイオン結合よりも強固であるという特性があります。その性質は葉面散布や土壌散布に適しており、栄養吸収の面で大きな利点となります。

    キレート化された金属イオンは、その複合体が植物細胞の特定のイオンチャネルやトランスポーターと相互作用することによって、栄養素の吸収を促進します。これは、キレート化により金属イオンが植物細胞の表面に存在する特定の受容体により容易に認識され、細胞内への取り込みがスムーズになるためです。例えば、カルシウムイオンはアミノ酸キレート形態で植物に供給されると、そのキレート化された形態が植物のカルシウムトランスポーターによって効率的に認識され、吸収されやすくなります。これにより、栄養素は植物の成長や発育に必要な場所に迅速に運ばれることが可能になり、全体的な栄養効率が向上します。

    キレート強度とキレート剤のサイズが植物栄養に与える影響

    アミノ酸キレート剤は特に葉面散布において効率よく素早く吸収されるという特長があります。それは、なぜでしょうか。答えはキレート強度とキレート剤のサイズにあります。強度とサイズが植物の栄養吸収にどのような影響があるのか、詳しく解説します。

    キレート強度の意味

    Vol.3でも解説したとおり、キレート強度とはキレート剤と栄養素との結合の強さを表しています。キレート剤や結合する栄養素により強度が変わり、アミノ酸キレート剤と合成キレート剤を比較すると合成キレートの方が強度が高く、栄養素によっては約10倍もの差が生じます。

    キレート剤と栄養素との結合強度は、植物の栄養吸収において非常に重要な要素です。ただ、キレート剤は栄養素との結合が強固であればあるほど良いというわけではありません。結合が強すぎると、栄養素がキレート剤から適切に遊離されず、結果として植物による利用が妨げられる可能性があります。

    一方で、結合が弱すぎると、栄養素が早期に放出されてしまい、植物が吸収する前に失われるかもしれません。例えば、鉄(Fe)は特に結合強度が重要な栄養素であり、適切なキレート剤を選択することが必須です。

    アミノ酸キレート化された鉄は、適度な結合強度を持っており、植物が必要とするタイミングで栄養素が遊離され、効率的に吸収されるように設計されています。これに対し、合成キレート剤であるEDTAは鉄と非常に強固に結合し、植物が鉄を吸収する過程を遅らせることがあります。

    細胞が効果的に栄養素を吸収するためのキレート剤であるにもかかわらず、それを妨害してしまっては意味を成しません。このような理由から、特定の栄養素に対して最適なキレート剤の強度を理解し選択することは、植物の健康と成長において極めて重要です。

    キレート剤のサイズの重要性

    次にキレート剤のサイズに注目してみましょう。こちらの画像をご覧ください。

    各キレート剤の大きさを比較したものです。キレート剤によって大きさに差があるのがよくわかります。左にあるアミノ酸が最も小さく、アミノ酸に続いて小さいのはLMWOA、つまり低分子量有機酸です。次に合成キレート剤のEDTA、そのあとにリグノスルホン酸やリグノスルホン酸塩といったキレート剤が続きます。

    リグノスルホン酸はアミノ酸と同じように自然界に存在するキレート剤でありながら、アミノ酸よりもはるかに大きいのが特徴です。フミン酸も、有機酸の一種ですが非常に大きいサイズをしています。このように一言でキレート剤といっても、自然のもの、合成物を問わず、さまざまな大きさをしているのです。

    では、このサイズの違いは植物の栄養吸収にどのような影響を与えるのでしょうか。ある学会で紹介された研究結果を例に解説します。

    栄養素 浸透率 アミノ酸 EDTA 塩類
    マグネシウム 20% 1時間未満 1時間 5時間
    カルシウム 50% 2時間未満 3日 6日
    マンガン 50% 3時間未満 1日 2日
    亜鉛 50% 2時間未満 1日 2日

    研究内容は、塩類であるマグネシウム塩をアミノ酸キレート剤施用、合成キレート剤、塩類のみの3パターンに分けて葉面に塗布し、それぞれの浸透時間を比較したものです。キレート剤を施用していないマグネシウム塩のみの浸透率は、塗布してから5時間後に20%に達しました。

    つまり、マグネシウムを20%浸透させるのに5時間かかったわけです。その後、経過観察しても浸透率は20%を超えなかったため、研究を中断しました。

    塩類を塗布した場合の最大浸透率は20%に留まりますが、EDTAを用いると浸透率が20%になるまで1時間しかかかりません。さらにアミノ酸キレートだと、1時間もかからずに浸透するという結果になりました。

    次にカルシウムの浸透率を見てみましょう。カルシウムを50%浸透させるために、塩類だと6日間、EDTAでは3日間の時間を要しました。しかし、アミノ酸の場合だと、なんと2時間未満で浸透したのです。

    他の栄養素を見ても結果は明らかです。マンガンの浸透率が50%になるまでに要する時間は、塩類で2日、EDTAだと1日経過するのに対し、アミノ酸キレートしたマンガンの場合、わずか3時間未満で浸透します。

    亜鉛の比較結果は特に重要で、同じく50%の浸透率まで塩類で3日、EDTAだと1日、アミノ酸では2時間未満と、やはりアミノ酸が圧倒的に早く浸透しています。この結果からもわかるように、アミノ酸の浸透率は非常に高く、吸収されるスピードも極めて早いのです。

    さて、植物の栄養吸収についてもう少し触れておきましょう。サイズが違うことで、なぜこうも浸透率と吸収スピードに差が生まれるのでしょうか。

    陸上で育つ植物は、主に根を通して土壌から養分を吸収します。

    生物科学部のモーリス教授は植物の外膜であるクチクラを動物の皮膚に例え、次のように述べています。

    「クチクラには不浸透性の物質が存在しており、脱水や潜在的な捕食者といった外的要因から身を守っています。植物全体が保護する物質で覆われていますが、完全に不浸透性ではなく、特定の物質は通過していきます。この特性は植物の種子や葉の種類、生理状態など様々な要因に左右されるものであり、物質が浸透に成功しクチクラを通過すると、さらに移動して各組織に到達していくのです。」

    つまり、植物は根からのみではなく、葉からも栄養を吸収できるわけです。栄養分はクチクラを貫通し、葉の内部に浸透します。ただし、すべての物質が植物内部に浸透できるわけではなく、物質によって異なるとされています。

    ここで、栄養素がクチクラを通過する様子を見てみましょう。

    こちらの画像は、葉を電子顕微鏡で撮影したものです。上から順に白黒で写っているワックス層があり、続いてクチクラプロパー、クチクラレイヤーのクチクラ層、その下に細胞壁、細胞の順に位置しています。

    物質や栄養素はワックス層とクチクラ層の2つの層を経由して浸透し、細胞壁に到達したのち、細胞や植物内に進む流れとなります。

    続いて、葉の組織にある気孔について少し解説します。下の図は葉の構造を断面図化したものです。

    気孔とは、主に酸素と二酸化炭素のガス交換をおこなうための器官です。植物は大気から二酸化炭素を取り込み、代わりに酸素を放出します。気体の出入り口である気孔で栄養素が通過するのは可能ですが、基本的に液体でなく気体を吸収するように設計されているため、栄養素の吸収には適していません。たとえ栄養素が気孔を通過できても、その先で吸収できる栄養素が限られているためです。

    では、栄養素が葉のクチクラを通じてどのように浸透するのか、この問いにはアミノ酸キレート剤による葉面散布がポイントとなります。なぜならアミノ酸にはクチクラを問題なく通過する能力が備わっているため、わざわざ気孔を通過する必要がないからです。アミノ酸はキレート作用により栄養分を師部に運び、さらに他の器官にも運んでいきます。

    細胞壁でおこなわれるアポプラスティック輸送とシンプラスティック輸送を通じて、物質は細胞間の移動により細胞膜へと達し、植物全体に輸送されます。

    肝心なのはアミノ酸の、キレート剤として理想的とされる絶妙なサイズ感です。もう一度、クチクラの層をご覧ください。

    上部にあるワックス層は、常に大気と接しています。そのため水溶液に含まれる栄養素は、まずワックス層に到達します。次のクチンを含む層は透過性があり、多くのマイナスイオンを帯びています。しかし次の層は不透過性です。そのため、液体物質が通過しようとしても三層目で遮られてしまうのです。

    ここでキレート剤が活躍します。キレート剤を用いれば不透過性の層にあるエクトデスマータというチューブ状の器官を通り、さらにその先の細胞壁、細胞質にたどりつけるのです。

    これらを踏まえて、カルシウムを例に浸透プロセスを見てみましょう。

    ワックス層の上、青い部分がキレートされていないカルシウムです。カルシウムは2つのプラス電荷を保持しています。

    葉面散布されたカルシウムはワックス層を通過したのち、不透過性の層にあるチューブに到達し、細胞壁まで到達しています。

    しかし、そこまで浸透したのは、ごく一部です。他のカルシウムは一層目を通過するものの、マイナス電荷を保持するチューブに引っかかったり、またはカルシウムのプラス電荷がマイナス電荷と結びついてしまいチューブ以外の部分に閉じ込められてしまったりと、ほとんど細胞壁にたどり着いていません。この結果では、カルシウムを葉面散布することは非常に効率が悪いといえます。

    次に合成キレート剤であるEDTAを使用した場合はどうでしょうか。

    EDTAはサイズが大きいこともあり、カルシウムはキレート化されて包まれている状態です。そのため、カルシウムはプラスの電荷を帯びていない状態となり、クチクラ層のマイナス電荷に影響されずにチューブまで到達できます。一見良さそうですが、問題なのはEDTAのサイズです。

    チューブのサイズは決して同じ一定ではないため、幅が狭いとEDTAが通過できずに引っかかってしまいます。幅の広いチューブしか通過できないため、一部のEDTAしか細胞壁まで到達できないのです。もちろんチューブ以外の不透過層となれば、EDTAも閉じ込められてしまいます。

    では、サイズの小さいアミノ酸キレート剤ではどうなのでしょうか。

    小さい水色の円がアミノ酸キレート剤です。アミノ酸によってキレート化されたカルシウムは、アミノ酸として振る舞います。元々、アミノ酸はプラスの電荷を保持していないため、マイナス電荷の層を通過しても影響を受けません。さらにサイズも小さいため、細いチューブでも引っかからずに、次々とチューブを通過します。そのためアミノ酸はすんなりと細胞壁に到達し、さらに細胞内に進出していくのです。

    キレート剤のサイズは、その効率的な栄養吸収に重要な役割を果たします。特に、小さなキレート剤は細胞壁や細胞膜を通過する際に、より少ない物理的障壁に遭遇し、細胞内への移動が容易になります。この現象は、細胞壁が特定のサイズの分子のみを通過させる選択性透過性を持つためです。

    また、キレート化された栄養素が細胞膜上に存在する特定の受容体によってより容易に認識される場合、この効果はさらに強化されます。このようにして、キレート化によって形成された小さな分子は、植物が必要とする栄養素をより迅速に、効率的に細胞内に取り込むことを可能にします。その結果、植物の成長と発育に必要な栄養素の供給が最適化されるのです。

    以上から、栄養吸収におけるキレート剤の必要性と、サイズや強度など植物に適した品質の良いキレート剤の重要性を理解していただけたことでしょう。

    バランスの重要性

    キレート剤の強度とサイズはさまざまであるため、植物や栄養素、散布方法に適したものを見極めて活用する必要があります。それには、キレート剤の強度とサイズが重要なポイントとなります。片方だけ優れていても、効果的な栄養吸収ができるわけではないのです。

    植物に対して素早い栄養吸収を求めるのであれば、葉面散布での浸透率が高い、強度とサイズのバランスが優れているアミノ酸キレート剤は非常に有力な選択肢です。アミノ酸キレート剤こそがベストではないでしょうか。

    加えて、アミノ酸キレート剤は、自然に存在するアミノ酸から作られており生分解性が高く環境に優しいという利点もあります。このため、栽培環境や目的に応じて、これらのキレート剤の中から選択することが重要です。たとえば、環境負荷を最小限に抑えつつ、植物が栄養素を効率的に吸収できるようにする場合、アミノ酸キレート剤が好ましい選択となります。

    テクノケルアミノCaBとテクノケルアミノMixならではの利点

    ここからは、「テクノケルアミノCaB」と「テクノケルアミノMix」について注目していきましょう。どちらの製品もアミノ酸キレート剤を活用しているバイオスティミュラントで、葉面散布に適しています。

    以下、テクノケルアミノCaBとテクノケルアミノMixの特性や利点に注目して解説します。

    テクノケルアミノCaBの特性と利点

    テクノケルアミノCaBは、細胞壁の構成要素であるカルシウムとホウ素の素早い補給を目的としたアミノ酸キレート剤です。特にカルシウム欠乏症に対して高い効果を発揮します。

    こちらの写真は、葉にカルシウム欠乏症の症状が現れた植物を撮影したものです。どれも葉が枯れたり湾曲したりと、健康な葉にはない症状が見られます。

    通常、カルシウムは根から吸収されたのち、下から上へと各器官に運ばれていきます。しかし細胞は分裂して成長する際に大量のカルシウムを必要とするため、運ばれるそばから下部の細胞にカルシウムを奪われてしまい、先端まで必要量が届かないのです。その結果、葉や果実へのカルシウムが不足し、果実の裂果や写真のような葉の異常といったカルシウム欠乏症を引き起こすのです。

    この問題を解決するには、根から遠い器官の細胞がカルシウム不足による飢餓状態であると認識し、葉面散布でカルシウムを補給を行う必要があります。

    テクノケルアミノCaBは、カルシウムを配合した、葉面散布に適している液状のアミノ酸キレート剤です。葉面からでも細胞内に効率よく浸透するだけでなく、吸収速度も早いため、スピーディーな症状の緩和が見込めます。まさにカルシウム補給の即戦力として、うってつけの製品なのです。

    カルシウムを葉面散布で補給できれば、根から遠い細胞でも十分に吸収され、植物全体の細胞が活性化することでしょう。結果的に植物の健康維持とともに、果実の品質向上や収量増加も期待できます。

    テクノケルアミノMixの特性と利点

    テクノケルアミノMixは、植物の成長に必要不可欠なアミノ酸と微量要素の供給という特性を持ちます。どの栄養素が不足しているのかを判断できない場合に施用するアミノ酸キレート剤で、微量要素欠乏によるストレスを受けにくくするよう、代謝を活性化させ生育をサポートします。

    微量要素の不足はカルシウム欠乏症とは異なり、不足していても先ほどの写真のように明確な症状が現れるとは限りません。見た目は健康そのものでも、実は欠乏している状態であることも十分有り得ます。そのため、症状を確認してから補給するのではなく、定期的に補給するのが最適な施用方法です。

    こちらのグラフは、植物内の栄養素濃度と収量の関係性を表したものです。植物は体内に利用できる栄養素が多いほど、成長し収量増加に繋がります。グラフの赤いゾーンのように、目に見える症状があれば栄養素が足りていないのがわかりますが、黄色のゾーンのように潜在的な栄養不足もあるのです。そのような状態では本来の最大収量には及びません。

    そのような状態を改善するためには、症状がないうちから微量要素を葉面散布により適宜補給する必要があります。テクノケルアミノMixは複数の栄養素を配合しているため、あらゆる栄養不足に対応できるほか、葉面散布で迅速かつ効果的に栄養補給でき、コストパフォーマンスにも優れています。また、栄養管理がしやすいのも利点のひとつです。

    テクノケルアミノMixで各微量要素を補給しておけば、植物の栄養状態をベストに保つだけではなく、最大収量の確保といった効果も望めるのです。

    ただし、必要以上の栄養補給は植物に毒性となるリスクがあります。植物ごとに最大収量は決まっているため、栄養素をやみくもに与えても最大収量がそれ以上増加することはなく、ただ無駄使いしているだけとなります。上のグラフで、緑のゾーンのグラフが上がり続けていないことからもわかるように、最大収量に達した後はどれだけ栄養を与えても増えないのです。その点はご注意ください。

    葉面散布と土壌散布におけるアミノ酸キレートの適用

    これまでにも解説したように、アミノ酸キレート剤を葉面に散布する一番の利点は、なんといっても吸収率の良さです。細胞内への吸収スピードが早く、各器官へ運ぶ効率の面でも効果の面でも優れています。

    では、土壌散布についても見てみましょう。土壌中には養分が複数存在し、相互作用も多数あるため、それらが必要な栄養素の吸収に影響し妨げとなる場合があります。

    たとえば上の図のように、マグネシウムは鉄と、鉄は亜鉛と、亜鉛はカルシウムとで相互作用しています。土壌中には複数の栄養素があり、それらが互いに影響し合っており、栄養吸収においては複雑な状態をしているのです。

    栄養素の相互作用以外にも、土壌では栄養素の利用に影響する要素がいくつか存在します。

    • pH
    • 温度
    • 湿度
    • 根の生育不良

    土壌のpHが極端な数値だったり土壌内の温度が低すぎたりすると、根は十分に栄養を吸収できず、特に微量要素の吸収に影響が出ます。土壌の湿度不足も同様です。栄養素は溶液状態でなければ吸収されないため、適切な湿度管理が必要となります。

    もちろん、根そのものが病気や大量の石による生育不良であれば、栄養素を吸収するのも困難となるでしょう。

    微量要素においては、植物が容易に吸収できるようアミノ酸でキレート化する必要がありました。土壌の状況を鑑みても、微量要素を均等に早く吸収させる効果を目的に散布するのであれば、土壌散布よりも葉面散布のほうが適しているといえるのです。

    ただし、微量要素の中には土壌からの吸収に適しているものも存在します。したがって、植物の健康と高い生産性という効果を得るには、葉面散布と土壌散布の両方を組み合わせるのが得策だといえます。土壌散布の利点などの詳細は、また別のアミノ酸キレート製品で解説いたします。

    まとめ

    Vol.3となる今回はキレート化のメカニズムを中心に解説しました。キレート剤は栄養素と電子を共有させて結合し、植物が効率良く吸収できるようにする役割があります。結合するにあたっては強度とサイズのバランスが重要であり、その点、栄養吸収においてアミノ酸キレート剤はどちらも優れたキレート剤です。

    アミノ酸キレート剤は特に葉面散布に適しています。サイズが小さいため葉からもスムーズに吸収でき、なおかつ早く細胞に吸収されるため、植物内にも迅速に行き渡るという利点もあります。

    アミノ酸キレートの利点を活かした「テクノケミカルアミノCab」や「テクノケミカルアミノMix」は、不足している栄養素を補給する目的で開発された製品です。テクノケミカルCabはカルシウムとホウ素を、テクノケミカルアミノMixは微量要素を補給し、栄養不足による症状を改善させる効果があります。

    どちらも葉面散布による補給が望ましく、また土壌散布の製品と併用することで、さらなる植物の健康や収量増加が見込めます。ただし、必要以上に栄養を与えすぎると逆に毒性となる場合があるため、必要な時期と量を見極めることが大切です。

    次回Vol.4では植物の栄養吸収にフォーカスしてお話します。どのようにして土壌から吸収し利用するのか、そのプロセスと葉の役割、キューティクルの構造と通過による影響について詳しく解説しますのでご期待ください。

     前回のVol.2のリンクはこちら↓

    植物の微量要素吸収・アミノ酸キレートとは? Vol.2(全4回) (agritecno-japan.com)

     

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