【科学的/徹底解説】その1 トウモロコシへのバイオスティミュラント施用② 農業技術の専門家が科学的に解説します

施用方法 更新日:



今回の記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】その1 トウモロコシへのバイオスティミュラント施用② 農業技術の専門家が科学的に解説します」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

【この記事で紹介されるバイオスティミュラント】



目次

     

    【密植による収量減少の課題とバイオスティミュラントの可能性】

    トウモロコシの収量を増やすため、近年の育種戦略では1株あたりの生産量を一定に保ちながら、栽培密度を増やすことに重点が置かれています。つまり、1ヘクタールあたりにより多くの種子を植え、総収量を高めるという考え方です。しかし、密植を行うほどストレスが増し、1株あたりの収量が減少するという問題があります。

    なぜより多くの植物を植えることが可能になったのでしょうか。それは、品種改良によって乾燥や光不足、窒素利用効率の向上が進み、ストレス耐性が高まったからです。しかし、それでも完全には克服されていません。1ヘクタールあたりの植物数を10%増やしても、収量が同じ割合で増えるとは限らず、むしろ1株あたりの収量が減ることで総収量の伸びが鈍る場合があります。これは、植物同士の競争によって光合成量が減少し、土壌の水分や栄養素の奪い合いが発生するためです。

    さらに、トウモロコシは環境変化に対する柔軟性が低い作物であり、例えば受粉がうまくいかなかった場合、大豆のように粒のサイズで補うことができません。そのため、密植によって粒数が減れば、それをカバーする手段がなく、結果として収量が低下してしまいます。こうした問題を解決するためには、生育の各段階で適切な管理を行うことが求められます。

    この課題に対処する有効な手段として、バイオスティミュラントの活用が挙げられます。例えば、光合成を促進する葉面散布型のバイオスティミュラント(テカミマックス)を使用することで、葉の緑色を濃くし、光エネルギーの吸収を高めることができます。また、水分ストレスを抑えるためには、アミノ酸を含むバイオスティミュラント(アグリフル)を施用し、水分保持力を向上させるとともに、カリウムの補給によって蒸散を抑えることができます。

    密植時の栄養素競争を抑えるには、葉面散布による施肥が有効です。例えば、テカミンフラワーを活用すればリン酸の吸収効率が高まり、根の発達が促進されます。また、グラナダ大学の研究では、葉面散布によって窒素利用効率が向上し、施肥量を削減しながらも収量を維持できる可能性が示されています。さらに、受粉の成功率を高めるには、ホウ素を含むバイオスティミュラント(テクノケルアミノCaB)をR1期に施用することで、シルクの伸長が促され、花粉の受精がスムーズに行われるようになります。

    現在、バレンシア大学では葉面散布による窒素削減効果についての研究が進められており、15%〜30%の削減が可能かどうかを検証しています。この研究が進めば、密植時の栄養管理がより効率的になり、施肥コストの削減と収量の安定化が両立できる可能性があります。

    密植によるストレスを完全になくすことはできませんが、バイオスティミュラントを適切に活用することで、その影響を最小限に抑えることは可能です。光合成の最適化、水分ストレスの管理、栄養供給の強化、受粉の成功率向上といった施策を組み合わせることで、1株あたりの収量を維持しながら、密植による総収量の向上を実現できるでしょう。

     

    【トウモロコシの生育サイクルと管理のポイント】

    トウモロコシの栽培において、適切な時期にバイオスティミュラントや肥料を施用することは、収量を最大化するために欠かせません。そのため、生育のサイクルを理解し、それぞれの段階で適切な管理を行うことが重要となります。

    まず、播種から始まります。通常、播種後4〜5日で発芽しますが、気温が低い場合は10日以上かかることもあります。この発芽段階は、アイオワ大学の生育ステージ分類ではVE(vegetative emergence)と呼ばれています。発芽したばかりの植物は、まだ種子のエネルギーを頼りに成長を進めますが、その後10〜15日ほどで根がしっかりと定着し、自立し始めます。この時点で、植物は種子の栄養に依存しなくなり、適切な肥料の供給が必要となります。

    さらに生育が進むと、器官の分化が始まり、この期間は25〜30日間続きます。この時期には、葉が6〜8枚展開し、トウモロコシの主要な成長段階のひとつであるV6〜V8期にあたります。この段階では、花芽の形成が始まりますが、まだ目に見える状態ではありません。しかし、すでに胚珠や花粉の形成が始まっており、将来の収穫に大きく影響するため、ここでの管理が重要となります。

    その後、節間の伸長が進みますが、収量には直接関係しないため、それほど気にする必要はありません。ただし、器官形成のプロセスは続いており、雄穂(葯)と雌花(シルク)の成長が始まります。そして、播種から55〜65日後になると開花と受粉の時期を迎えます。雄穂が出てくるタッセルリング(VT期)に続き、雌穂からシルクが伸び、受粉が行われます。この期間にストレスがかかると受粉率が下がり、最終的な穀粒数が減少する可能性があるため、特に注意が必要です。

    受粉が完了すると、トウモロコシは穀粒の充実期に入ります。播種から65〜90日目の間に受精した胚珠が成長し、穀粒の形成が本格化します。この期間の栄養供給は、穀粒の数やサイズに大きな影響を与えるため、適切な施肥と水管理が求められます。

    最終段階では、植物が乾燥し、穀粒が硬くなり生理的成熟に至ります。これは播種後90〜120日ほどで起こります。ここまでくれば、収穫時期が近づいている証拠です。このように、生育サイクルを把握しておくことで、それぞれの段階で適切な管理を行い、収量の最大化を図ることができます。


    【トウモロコシの生育ステージと識別方法】

    トウモロコシの生育過程を正しく把握することは、適切な管理を行う上で欠かせません。成長段階ごとに植物の状態を見極めることで、施肥やバイオスティミュラントの適用時期を最適化し、収量を最大化することが可能になります。

    V1期(第一葉の展開)

    V1期は、発芽後最初に迎える成長段階です。V1の植物は、第一葉が丸みを帯びており、まだ小さいながらもしっかりとした形をしています。この段階では、「カラー」と呼ばれる白っぽい帯状の部分が第一葉には見えるものの、第二葉や第三葉にはまだ確認できません。この特徴を観察することで、V1期であることを判断できます。

    V4期(四葉の完全展開)

    V4期になると、第一葉から第四葉までが完全に展開します。第五葉や第六葉が伸びてきますが、まだ「カラー」がはっきりと見えないため、それらは完全な葉としてカウントされません。成長段階を識別する際、葉の数だけでなく、どこまで「カラー」が現れているかを確認することがポイントとなります。このように、フィールドで観察しながら簡単に段階を特定することができます。

    VT期(雄穂の抽出)

    トウモロコシはV4、V5と進み、通常V17やV18に達すると、最終的な葉が展開し、雄穂(タッセル)が出現します。この段階をVT期(Vegetative Tassel)と呼び、これは栄養成長の最終段階であり、生殖成長の始まりを示す重要な時期です。

    VT期からR3期が収量決定の最重要時期

    トウモロコシの収量を左右する重要な期間は、VT期からR3期にかけてです。この間に穀粒の数が決定されるため、適切な管理が求められます。雄穂が完全に出現した2〜3日後から花粉が放出され始め、通常1週間ほど続きます。ただし、場合によっては最大2週間続くこともあります。この時期に雹などの悪天候が発生すると、雄穂が損傷し、受粉が不完全になってしまうため、気象条件にも注意を払う必要があります。

    R1期(絹糸抽出期)と受粉の進行

    雄穂の出現から2〜3日後、雌穂から絹糸(シルク)が伸び始め、これがR1期(Silking Stage)です。受粉が正常に進むためには、この時期に十分な花粉が供給されることが重要です。VT期の期間はわずか2〜3日間で、絹糸が出現するとすぐに花粉がシルクに付着し、穀粒の形成が始まります。

    R2期(水熟期)とその特徴

    R1期の受粉が完了すると、R2期(水熟期)へと移行します。この段階では、シルクが茶色くなり、枯れ始めます。これは、植物がすでに受粉を終えていることを示します。穀粒は水分を多く含み、膨らんだような外観を持つのが特徴です。この時期の生育状態を見極めることで、穀粒が順調に成長しているかを判断することができます。

    R3期(乳熟期)からR4期(糊熟期)へ

    R3期(乳熟期)になると、植物全体がさらに大きくなり、穀粒も膨らんできます。穀粒を割ると、中にはミルクのような液体が見られ、これがR3期の特徴です。次のR4期(糊熟期)では、穀粒の内部がやや固まり始め、パン生地のような粘度を持つ状態になります。この変化を観察することで、穀粒の成熟具合を確認できます。

    R5期(黄熟期)とR6期(完熟期)

    R5期(黄熟期)は、穀粒の外観が明らかに変化し、デント(歯)のような形状になるため「デントステージ」とも呼ばれます。ラテン語の「デント」は「歯」を意味し、この特徴的な形からR5期であることが判別できます。最終段階であるR6期(完熟期)では、穀粒が完全に硬くなり、粒の底に黒い層が見え始めます。この黒い層が形成されることで、植物は生理的に成熟し、収穫のタイミングを迎えることになります。

    生育ステージの識別と管理の重要性

    トウモロコシの生育段階を正確に識別することで、それぞれの時期に適切な施肥や水管理を行うことができます。VT期からR3期にかけては収量を決定づける最も重要な時期であり、この間に栄養供給やストレス管理を徹底することで、最終的な収量の向上につなげることが可能です。また、フィールドでの生育確認を行う際には、アイオワ大学の成長ステージ(V期・R期)とBBCHスケールを組み合わせることで、より詳細な成長段階の評価が可能になります。

    正しい管理を行い、それぞれの生育ステージで最適な処置を施すことで、安定した収量を確保できるでしょう。

     

    【トウモロコシの発育と栄養管理の重要なポイント】

    トウモロコシの成長にはいくつかの重要な段階があり、それぞれの時期に適切な管理を行うことで、収量を最大化することができます。特に、穂の発生開始から受粉、穀粒の発達までの過程は、収穫量に大きな影響を与えるため、細やかな栄養管理が必要です。

    穂の発生と粒の形成

    トウモロコシの穂の発生はV4からV6の間に始まります。雌花の成長が始まり、雄穂も同じタイミングで発達を開始します。この時点ではまだ目には見えませんが、すでに胚珠や花粉を形成する器官の成長が進んでいます。続くV6からV8の間では、穀粒のもととなる粒の原基が形成され、胚珠や子房が成長を始めます。

    受粉のステージに入るのはVT(タッセルリング)期からR1(絹糸抽出)期にかけてです。V17~V19の段階で雄穂が完全に出現し、花粉が放出されます。その2〜3日後には雌穂から絹糸(シルク)が伸び始め、花粉が付着して受粉が進みます。この受粉の成功が、その後の収穫量を決定する大きな要因となります。

    収量を左右する最も重要な時期

    トウモロコシの収量を決める上で最も重要なのがVT期からR3期の間です。この期間にストレスを受けると、受粉が正常に行われず、穀粒の数が減少する可能性があります。特に、気象条件や栄養供給の影響が大きいため、しっかりとした管理が求められます。

    この時期に雹などの悪天候が発生すると、雄穂が損傷し、花粉の放出が阻害されるため、受粉が不完全になることもあります。また、水分や栄養素の不足も収量の低下につながるため、適切な施肥と水管理が必要です。

    生育に必要な水分と栄養管理

    トウモロコシは、成長段階によって必要な水分や栄養素の量が変化します。特に、水分はV10からVT期にかけて最も必要とされるため、この時期に適切な灌漑を行うことが重要です。窒素の吸収もV10からR1にかけてピークを迎え、リン酸の吸収はV14からR2、カリウムはV10からV16の間で最も多く必要とされます。

    この栄養管理には、バイオスティミュラントの活用が効果的です。たとえば、テカミンフラワーはリン酸を含み、根の発達を促す役割を果たします。一方で、テカミンブリックスはカリウムを含み、水分調整やストレス耐性の向上に寄与します。窒素の吸収を高めるためにはテカミンマックスが有効で、適切なタイミングで施用することで効率的な栄養供給が可能となります。

    適切な施肥のタイミングと栄養管理のポイント

    一部の生産者は、播種前後にすべての施肥を行うことがありますが、この方法にはリスクが伴います。施肥された窒素が流出し、作物に十分に吸収されない可能性があるためです。そのため、窒素は段階的に分けて施用し、特にV6からVTまでの吸収が活発な時期に適切に供給することが望ましいとされています。V9期に葉面散布による窒素補給を行うことも、植物の成長を促進する上で非常に効果的です。

    アイオワ州の農業協同組合の推奨によると、発芽直後の植物にはリン酸や亜鉛、マンガン、硫黄が特に重要とされています。しかし、この時期の植物はまだ小さく、葉面施肥の効率が低いため、主に土壌施肥が推奨されます。V5からV8の間には、穂の最大粒列数が決まるため、ホウ素、亜鉛、マンガンの供給が重要になります。特に亜鉛の役割は大きく、この時期に適切に施用することで、穂の発達を促し、最終的な収量の増加につながります。

    続くV9からVT期の間には、窒素、硫黄、カリウム、亜鉛の供給が求められます。この時期は、最大の穀粒数が決まるタイミングであり、栄養不足を防ぐことが収量確保の鍵となります。VTからR3にかけては、ストレス管理が最も求められる時期であり、特に窒素、ホウ素、マンガンの供給が欠かせません。窒素はテカミマックス、ホウ素はテクノケルアミノCaBを活用することで、受粉をスムーズに進め、穀粒の充実を助けることができます。

    収穫前の管理と最終的な穀粒の充実

    R2期以降は、穀粒の重量を増やすための管理が重要になります。R2からR6の間では、特別な施肥は必要ないものの、環境ストレスを軽減し、植物が持つ栄養を最大限活用できるような管理が求められます。この時期に適切な栄養管理と水分管理を行うことで、最終的な収量の増加につながります。

    適切な施肥と栄養管理を行い、それぞれの生育ステージに応じた処置を施すことで、トウモロコシの健全な成長を支え、安定した収穫を実現することができるでしょう。

     

    【交配種の選択】

    南米のトウモロコシ栽培と交配種の選択

    南米のトウモロコシ栽培では、100%不耕起栽培が主流となっています。これは大豆と同じ方式で、土壌の保水性を高め、栄養素の流出を抑えるために採用されています。この地域では、広大な国土を持つため、気候条件が地域ごとに大きく異なります。そのため、温帯交配種、混合交配種、熱帯交配種の3種類の交配種が使い分けられています。

    日本のような気候では、一般的に温帯交配種のみが使用されます。この品種の最大の利点は収量が多いことです。一方で、ラテンアメリカの熱帯地域では、病害の発生リスクが高いため、農薬の使用を抑える目的で熱帯交配種を導入することもあります。

    種子の密度と環境条件の関係

    温帯交配種では、1ヘクタールあたり55,000〜90,000粒の種子が使用されますが、熱帯交配種では50,000〜55,000粒とやや少なめになります。同じ品種であっても、環境によって最適な密度が異なるため、慎重な調整が必要です。例えば、天候条件や土壌の水分量、湿潤年か乾燥年かといった要因を考慮しなければなりません。予想される気象条件が悪い場合は、最適な密度を維持していたとしても、収量が大幅に減少するリスクがあります。

    農学者のイグナシオは、「トウモロコシは正しい管理をすれば収穫できるが、間違えれば収穫ゼロになる」と述べています。これは、適切な管理ができなければ、高収量から一気に低収量へと転落する可能性があることを意味します。そのため、密度は天候や土壌の状態、施肥状況に合わせて慎重に調整する必要があります。特に土壌が痩せている場合は、密度を下げることで植物の競争を抑え、養分を適切に供給することが重要です。NPKや微量栄養素を適切に補給することで、収量の安定化を図ることができます。

    シングル交配種とトリプル交配種の特徴

    トウモロコシの品種選びには、シングル交配種トリプル交配種という2つの選択肢があります。シングル交配種は、多様な環境条件に適応しやすいという特徴を持ちます。気候や土壌の変化にも強いため、バイオスティミュラントを過剰に使用する必要がなく、比較的管理が容易です。しかし、極端な気象条件に直面した場合は、シングル交配種であってもバイオスティミュラントの適用が必要になります。

    一方、トリプル交配種は特定の環境条件に適応するように設計されています。例えば、ヒートストレス、干ばつ、痩せた土壌など、厳しい条件下でも生育が可能です。このため、選択する際には、それぞれの品種がどのような環境に適しているのかを把握することが不可欠です。例えば、ヒートストレスに強い品種を選んだ場合、乾燥ストレスへの対策はそれほど必要ありませんが、微量栄養素の供給や土壌水分の管理に重点を置く必要があります。

    環境に適した品種を選ぶことが、最終的な収量の安定につながるため、事前の分析と適切な管理が求められます。トウモロコシの品種選びは単に収量の多さだけでなく、栽培する地域の気象条件や土壌の状態を考慮したうえで、慎重に行うことが重要です。

     

    【トウモロコシの施肥管理と微量栄養素の役割】

    トウモロコシの生育には、適切な施肥管理が欠かせません。特にリン、窒素、カリウムといった主要な栄養素に加え、亜鉛やホウ素などの微量栄養素の供給が、収量の向上に大きな影響を与えます。

    施肥の基本戦略

    トウモロコシの施肥は、播種時と生育初期の追肥が基本となります。播種の際には、DAP(リン酸アンモニウム)を80〜120キロ施用し、根の発達と初期成長を促します。窒素については、播種時に適用した後、V3からV4の間に追肥を行うのが一般的です。この段階で、尿素を150〜200キロ施用し、栄養分を確保します。追肥には液体窒素肥料が使われることも多く、100〜200キロの液体窒素肥料を適用するケースが一般的です。

    窒素は一度に大量に施用するよりも、2回または3回に分けて適用する方が効率的とされています。分割施肥を行うことで、窒素の流出を防ぎ、植物の生育に合わせた供給が可能になります。一般的には2回の施肥が行われますが、より高い収量を狙う場合は3回に分けることもあります。

    カリウムの施用については、南米全体で見るとそれほど一般的ではなく、主にブラジルで利用されることが多い傾向があります。

    微量栄養素の管理

    トウモロコシの生育において、微量栄養素も重要な役割を果たします。特に亜鉛(Zn)は鍵となる要素であり、4葉期から9葉期の間に適用することが推奨されています。収量が多いほど必要量も増えるため、1ヘクタールあたりの予想収量に応じて1〜3リットルのテクノケルアミノZnを適用します。例えば、20〜21トンの収量を想定する場合、灌漑と併用しながら3リットルを適用するのが一般的です。一方で、収量が5トン程度しか見込まれない場合は、1リットルで十分ですが、土壌の亜鉛含有量によって調整する必要があります。

    そのほかの微量栄養素として、銅(Cu)、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)が挙げられます。アイオワ地域では銅と鉄の施用は推奨されていませんが、これは土壌に十分な量が含まれているためと考えられます。一方、葉面散布を行う場合は、これらの微量栄養素をすべて含めた方が確実であり、収量を向上させるために有効です。

    通常、これらの4つの微量栄養素は、1ヘクタールあたりの収量が15〜16トンに達したときに施用されるのが一般的です。収量が14トンを超える段階から適用を始めることが推奨されています。特に亜鉛は、収量に関係なく常に必要とされる要素であり、適用を欠かさないことが重要です。ただし、銅、ホウ素、マンガン、鉄については、85,000株以上または収量が15トン以上の高収量を狙う場合に施用することが望ましいとされています。

    微量栄養素の適用方法

    これらの微量栄養素は、テクノケルアミノMixを使用することでバランスよく供給することができます。また、ホウ素に特化したテクノケルアミノBを利用するのも効果的です。ホウ素は植物にとって特に重要な栄養素であり、適切な量を施用することで受粉を促進し、穀粒の充実度を高める効果が期待できます。

    ホウ素の施用量は、予想収量によって調整されます。1ヘクタールあたりの収量が10トンの場合は0.5リットル、20トンなら1リットル、15トンの場合は0.75リットルの適用が推奨されています。ただし、ホウ素は非常に敏感な栄養素でもあり、過剰に施用すると逆に収量を低下させるリスクがあります。そのため、適量を守りながら管理することが大切です。

    施肥と微量栄養素管理の重要性

    トウモロコシの高収量を実現するためには、主要な栄養素(リン・窒素・カリウム)だけでなく、亜鉛やホウ素などの微量栄養素を適切に供給することが不可欠です。適切な施肥と栄養管理を行うことで、健全な成長を促し、収量を最大化することができます。特に、施肥のタイミングとバイオスティミュラントの適用を組み合わせることで、トウモロコシのポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になるでしょう。

     

     

    【トウモロコシ栽培の最終ポイント】

    トウモロコシの栽培において、収量を左右する最も重要な要素は、適切な管理を行うことです。農学者イグナシオの言葉にあるように、「トウモロコシは正しいことをするか、収穫しないかのどちらか」なのです。つまり、細やかな管理と適切な施肥、栄養供給がなければ、高収量を確保することはできません。

    南米では、穀粒の重さよりも穀粒の数を増やすことに重点を置いています。アイオワ大学やアメリカのパデュー大学では、単一の穀粒の重さを増やすアプローチを推奨していますが、イグナシオは、すべての胚珠が受粉し、最大数の穀粒を形成することこそが重要であると考えています。この目的を達成するためには、窒素の適切な管理が不可欠です。窒素を十分に供給することで、受粉がスムーズに行われ、しっかりとした穀粒が形成されます。例えば、窒素を含むテカミンマックスを使用し、葉の下部が乾燥している場合には追加施肥を行うことで、栄養不足によるストレスを回避できます。

    窒素の役割と倒伏リスクのバランス

    窒素は植物全体に供給されますが、成長後半になると茎から穀粒へと移動します。これは、植物が穀粒の発育を優先するために起こる自然なプロセスですが、その分茎が弱くなるリスクが高まります。特に、R4やR5の生育ステージでストレスがかかると、茎が倒れやすくなり、結果的に大幅な収量の損失につながる可能性があります。

    このようなリスクを回避するためには、適切な窒素供給とともに、バイオスティミュラントを活用することが有効です。植物の耐倒伏性を高めるために、ストレスが大きい時期にバイオスティミュラントを適用することで、バランスを取りながら収量を維持することができます。

    均一な生育と植付深度の重要性

    トウモロコシの栽培において、空間的・時間的な均一性を保つことが、高収量を得るための重要な要素となります。イグナシオは、植付の深さや発芽の均一性が、作物全体の成長に大きな影響を与えることを強調しています。植付が適切でないと、生育にばらつきが生じ、最終的な収穫時のばらつきにつながります。この点については、次回より詳しく説明する予定です。

    また、通常、トウモロコシの収量の約20%が穂軸の先端部分の穀粒不足によって失われていると言われています。この問題も、均一な栽培と適切な管理によって軽減することができます。

    ストレス管理と受粉の非同期問題

    栽培におけるもう一つの重要な課題は、ストレスによる受粉の非同期現象です。例えば、ストレスによって雄穂が絹糸(シルク)よりも早く出現してしまうと、適切なタイミングで受粉が行われず、受精不良が発生します。これにより、穀粒数が大幅に減少し、最終的な収量が落ちる可能性があります。いくつかのケースでは、非常に少ない穀粒しか形成されないこともあります。

    この問題を防ぐためには、受粉期の水分管理と栄養供給を徹底し、植物の成長がスムーズに進むよう調整することが重要です。

    窒素利用効率の向上と新たな技術

    窒素はトウモロコシの生育に欠かせない要素ですが、その利用効率をどこまで向上させることができるのかは、今後の研究課題でもあります。例えば、アミノ酸を活用することで、窒素の使用量を15%削減できるかどうかが2024年度中に明らかになると予想されています。

    また、新しい試験結果では、1ヘクタールあたり5リットルのアグリフルと3リットルのテカミンマックスを液体肥料と併用した場合、翌日にはNDVI(植生指数)で作物の改善が確認されたという報告もあります。これは、窒素の吸収を効率化し、収量を向上させる可能性を示唆しています。

    さらに、バレンシアでの試験では、アグリフルを使用することで、葉面施肥よりも良い結果が得られるケースが確認されています。これにより、畑作物におけるアグリフルの活用は、非常に有望な選択肢となることが分かりました。

     

    【まとめ】

    トウモロコシの密植による収量減少は、光合成の低下、水分や栄養の競争、受粉率の低下といった要因によって引き起こされます。しかし、適切な管理を行うことで、この問題を最小限に抑えながら総収量を向上させることが可能です。特に、バイオスティミュラントを活用することで、光合成の効率を高め、水分ストレスを軽減し、栄養吸収を最適化することができます。さらに、受粉期の管理を徹底することで、穀粒数の減少を防ぐことも重要です。現在、葉面散布による窒素削減効果の研究も進められており、今後の施肥コスト削減や収量安定化への貢献が期待されています。密植によるリスクを抑えつつ、高収量を実現するためには、生育ステージごとに適切な管理を施し、最新の技術を取り入れることが重要です。

     

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