【科学的/徹底解説】その1 トウモロコシへのバイオスティミュラント施用① 農業技術の専門家が科学的に解説します

施用方法 更新日:



今回の記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】その1 トウモロコシへのバイオスティミュラント施用① 農業技術の専門家が科学的に解説します」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

【この記事で紹介されるバイオスティミュラント】



目次

     

    【トウモロコシの収量向上の鍵は密植ではなく一株の生産力にあり?】

    トウモロコシの収量を増やすために、栽植密度を高めることが一般的な戦略とされてきました。しかし、近年の研究によって密植が必ずしも収量向上につながらないことが明らかになっています。

    大豆と比較すると、その違いがよく分かります。大豆の育種では1株あたりの収量を増やす方向で品種改良が進められているため、栽植密度は安定しています。一方、トウモロコシの育種では高密度栽培に適応する品種の開発に重点が置かれてきました。その結果、密植は可能になったものの、1株あたりの収量は増えていないのが現状です。

    なぜ、密植しても1株あたりの収量が増えないのでしょうか? その理由は、トウモロコシと大豆の生育特性の違いにあります。大豆は「柔軟性」を持っており、1莢あたりの豆の数が減ると、残った粒が大きくなるため、密植の影響を吸収することができます。一方、トウモロコシはそのような仕組みを持たず、収量を増やすためには「粒の数を増やす」「1粒のサイズと重量を増やす」という2つの要素が不可欠となります。

    さらに、現在のトウモロコシ品種は高密度栽培に適応していますが、1株あたりの穂の数は減少しています。かつては2~3本の穂をつける品種もありましたが、現代の品種ではほぼ1本の穂しかつけなくなっているのです。しかし、これは遺伝的な制約ではなく、植物間の競争によるものです。圃場の端や家庭菜園など、競争が少ない環境では1株あたり2~3本の穂をつけるケースがあることからも分かるように、密植によるストレスが穂数を制限しているのです。

    では、トウモロコシの収量を増やすにはどうすればよいのでしょうか? 単に密植を推し進めるのではなく、1株あたりの生産力を最大化する方法を考える必要があります。そのためには、バイオスティミュラントを活用し、光合成効率を向上させ、窒素やカリウムの利用効率を高め、受粉期のストレスを軽減するといった戦略が有効です。

    「収量を増やすなら密植すればいい」という考え方は、今後見直されていくかもしれません。これからは、1株あたりの収量をいかに増やすかが、トウモロコシ栽培の新たな課題となるでしょう。

     

    【鍵はストレス管理にあり】

    トウモロコシの収量を向上させるには、単純に栽植密度を増やすだけではなく、植物間の競争を減らし、ストレスを抑えることが重要です。密植が進むと、トウモロコシ同士が光、水、栄養を奪い合い、1株あたりの成長が阻害されてしまいます。この競争を最小限に抑えることで、1株あたりの穀物生産量を増やし、最終的な収量向上につなげることができます。

    特に、光の競争は大きな問題です。植物が密集しすぎると、葉が重なり合い、下の葉が十分な光を受けられなくなります。しかし、光の量を増やすことはできません。そのため、バイオスティミュラントを活用し、光合成の効率を向上させることが重要です。バイオスティミュラントは、窒素やカリウムの利用効率を高め、葉の光合成能力を向上させることで、密植環境下でもエネルギーの生産量を最大化する効果が期待できます。また、土壌中の亜鉛やホウ素などの微量栄養素の吸収を助け、植物の健康な成長を促します。

    さらに、トウモロコシの収量を向上させるためには、「1株あたりの粒数」だけでなく、「1粒の重量」も重要な要素です。大豆や他の作物では、ヘクタールあたりの粒数を増やすことが一般的な収量向上策ですが、トウモロコシでは、粒の数だけでなく1粒のサイズと重量を増やすことも必要です。特に、受粉期の管理が収量に大きな影響を与えます。この時期にストレスがかかると、粒の充実度が低下し、最終的な収量が減少してしまいます。

    トウモロコシの収量向上には、密植による競争を減らし、ストレスを最小限に抑えることが鍵となります。バイオスティミュラントの活用や適切な栽培管理を行うことで、1株あたりの生産力を最大限に引き出し、より高い収量を目指しましょう。


    【圃場ごとに最適な要因を見極めることが鍵!】

    トウモロコシの収量の基本要素

    トウモロコシの収量を最大化するためには、単に施肥量を増やす、密植を進めるといった単純な施策ではなく、収量を構成する複数の要素を適切に管理することが重要です。収量の基本構成要素には以下のようなものがあります。

    1株あたりの穂の数(通常1本だが、条件次第で2本以上も可能)

    穂あたりの粒列数(遺伝や環境要因で決まる)

    1列あたりの粒の数(生育期間中のストレスが影響)

    最終的な粒の数と粒の重量(充実度によって収量に大きく影響)

    これらの要素すべてが収量に関わりますが、すべてを均等に改善するのは現実的ではありません。圃場や地域、天候条件によって、どの要素が収量に最も大きな影響を与えるかは異なります。そのため、生産者は自分の圃場で最も改善すべき収量構成要素を特定し、それに対する対策を優先的に行うことが重要です。

    圃場の問題を特定し、適切な対策を講じる

    収量向上のために、まずは圃場の主要な問題を見極めることが必要です。

    例えば、以下のような視点で問題を確認できます。

    •穂のない株が多いか?

    → 圃場全体を見て、もし穂のない株が少数であれば、それほど深刻な問題ではない。

    •穂あたりの粒列数は12〜16の範囲に収まっているか?

    → これが確保されていれば、大きな問題ではないが、下回る場合は管理の見直しが必要。

    •1列あたりの粒数は適正か?

    → 平均値を下回る場合は、栄養供給や水分管理に問題がある可能性が高い。

    このように、圃場ごとの状況を確認し、どの要因が収量低下につながっているのかを正確に把握することが重要です。例えば、粒列数は適正だが、1列あたりの粒数が少ない場合は、バイオスティミュラントを活用して栄養利用効率を改善することで解決できるかもしれません。

    長期的な視点での収量改善|予測と計画の重要性

    トウモロコシの生産を長期的に安定させるためには、翌年以降の環境条件を予測し、それに対応した対策を計画することが重要です。具体的には、

    天気予報をチェックし、暑さや雨量、湿度の変化を考慮する

    過去の圃場のデータをもとに、発生しやすい問題を特定する

    近隣の圃場の状況を参考に、地域ごとの共通課題を把握する

    これにより、事前に適切なバイオスティミュラントの施用計画を立てたり、施肥や灌漑の調整を行ったりすることができます。

     

    【均一な発芽と適正な植物密度】

    トウモロコシの収量を向上させるためには、発芽の均一性と適正な植物密度が重要です。一般的に、収量を増やすには密植が有効だと考えられていますが、植物同士の競争が激しくなることで生育が不均一になり、かえって収量が低下することもあります。特に発芽や初期成長の段階で競争が発生すると、一部の植物が十分に成長できず、穂を形成しない株が増えてしまいます。

    トウモロコシは、大豆のように周囲の植物が枯れた分を補うことができません。そのため、すべての種子が均一に発芽し、健全に成長することが収量を安定させる鍵となります。発芽が不均一な場合、先に発芽した植物が優位に成長し、遅れて発芽した植物は光を十分に受けられず、栄養や水分の吸収も不利になります。結果として、十分に育たず穂をつけない株が増え、最終的な収量が減少してしまうのです。

    さらに、密植が進みすぎると光や水、栄養の取り合いが発生し、競争に負けた株の生育が妨げられます。特に、茎が細くなり穂をつけない植物が増えている場合や、生育のばらつきが大きく、一部の株だけが明らかに成長不良を起こしている場合は、植物密度が適正でない可能性が高いです。また、葉の色が薄くなっている場合は栄養不足の兆候かもしれません。こうした問題は、播種機の設定ミスによって種が極端に近く配置されてしまうことでも発生します。

     

    【バイオスティミュラントの活用】

    このような問題を防ぐためには、バイオスティミュラントを活用したストレス緩和策が効果的です。発芽初期から光合成を促進し、成長のばらつきを抑えることで、植物同士の競争を最小限に抑えることができます。また、窒素やリン、カリウムの利用効率を向上させることで、土壌の栄養を最大限に活用し、均一な成長を促すことも可能です。加えて、乾燥ストレスを軽減する効果のあるバイオスティミュラントを使用することで、発芽から安定した水分供給を確保し、健全な生育環境を整えることができます。

    発芽初期のV1~V2期に適切な管理を行うことができれば、その後の成長がスムーズになり、植物間の競争を抑えることができます。発芽の不均一は、収量低下の原因となるだけでなく、栽培全体の効率も悪化させてしまうため、初期段階での管理が非常に重要になります。

    トウモロコシの収量を最大化するためには、発芽の均一性を確保し、適正な植物密度を維持することが欠かせません。適切な管理を行うことで、資源を無駄にすることなく、より安定した収量を実現することができます。次のシーズンに向けて、自分の圃場の状態を見直し、最適な生育環境を整えてみてはいかがでしょうか。

     

    【収量向上のその他のポイント】

    トウモロコシの収量を左右する「粒列数」と「花粉の生存率」

    トウモロコシの収量は、穂あたりの粒列数、列あたりの粒数、そして花粉の生存率に大きく左右されます。これらの要素は、生育の特定のタイミングで決定されるため、その時期に適切な管理を行うことが重要です。特に、気象条件や環境ストレスがこれらの要素に影響を与えるため、どの段階でどのような対策を講じるかが、最終的な収量を決定するカギとなります。

    穂あたりの粒列数|影響を受ける期間と管理のポイント

    穂あたりの粒列数は、V5からV7の短期間で決まります。この時期に光合成の効率が大きく低下すると、粒列数が減少する可能性があります。ただし、この影響が顕著に現れるのは、豪雨や雹、大霜、極端な気温変化といった激しいストレスを受けた場合に限られます。基本的に、粒列数は遺伝的要因による制御が強いため、通常の栽培環境ではそれほど大きな変動はありません。そのため、特別な調整を行う必要は少ないものの、気象リスクが高い地域では、栽培管理の強化が求められます。

    列あたりの粒数|V7~R3の重要な成長ステージ

    列あたりの粒数は、V7からV15の間に潜在的な粒数が決定され、その後V17からR3の期間で実際の粒数が確定します。この期間は比較的長く、環境ストレスの影響を受けやすいため、適切な管理が不可欠です。

    V7からV15の間にストレスがかかると、潜在的な粒数が減少し、最終的な収量に影響を与える可能性があります。特に水分不足や栄養不足が問題となるため、この期間は灌漑や施肥の管理を徹底することが重要です。さらに、V17からR3の間では、受粉が成功するかどうかが粒数を決定する要因となります。この時期の気象条件によっては、最終的な収量が大きく変わるため、適切な対策を講じる必要があります。

    花粉の生存率|受粉の成功が収量を決める

    トウモロコシの花粉は、他の作物と比較して乾燥に対する耐性が低く、湿度が低下すると急速に生存率が低下します。特に、気温が35度を超えると花粉はほぼ壊滅し、受粉が失敗するリスクが高まります。このため、V17からVTの間に花粉の生存率を高める施策を行うことが重要です。

    この対策として、プロリンやベタインなどの浸透圧調節物質(オスモライト)を施用し、ホウ素、亜鉛、モリブデンなどの微量栄養素を葉面散布することが有効です。これにより、花粉の耐久性を向上させ、受粉の成功率を高めることができます。

    R1~R3の時期が最も敏感な期間

    トウモロコシの受粉が適切に行われないと、R2からR3の期間に著しい収量低下が発生する可能性があります。この時期には、1日あたり3%から9%の収量減少が見られることが研究で示されており、特に慎重な管理が求められます。早期の生育段階での水不足や干ばつストレスと、受粉期のストレスは異なる影響を及ぼすため、それぞれの段階に応じた対策が必要です。

     

    【まとめ】

    トウモロコシの収量を最大化するためには、密植に頼るのではなく、1株あたりの生産力を高める戦略が不可欠です。密植による植物間の競争が激しくなると、光・水・栄養の奪い合いが発生し、結果として1株あたりの収量が抑制されてしまいます。

    収量向上のためには、バイオスティミュラントを活用して光合成効率を改善し、窒素やカリウムの利用効率を高めることで、植物が持つポテンシャルを最大限に引き出すことが重要です。また、発芽の均一性を確保し、適正な植物密度を維持することで、穂の数や粒数を増やし、最終的な収量アップにつなげることができます。

    さらに、受粉期のストレス管理も収量に大きく影響を与えます。特に高温や乾燥が続くと花粉の生存率が低下し、受粉の成功率が下がるため、ホウ素や亜鉛などの微量栄養素を適切に補給することが必要です。

    トウモロコシ栽培の成功には、圃場の状況を的確に把握し、それに応じた対策を講じることが不可欠です。本記事で紹介したポイントを活かし、自分の圃場に適した管理方法を取り入れることで、安定した高収量を目指しましょう。

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