【科学的/徹底解説】その1 大豆・豆類へのバイオスティミュラント施用① 農業技術の専門家が科学的に解説します。

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当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】その1 大豆·豆類へのバイオスティミュラント施用① 農業技術の専門家が科学的に解説します。」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

【この記事で紹介されるバイオスティミュラント】

目次

    大豆の収量を最大化するために必要なのは、適切な施肥とそのタイミングを理解することです。この記事では、科学的データと実践的知見をもとに、大豆の成長プロセスに基づく最適な施肥戦略を徹底解説します。特に大豆生育において「重要な栄養素」から「節数」「莢数」「豆の重さ」という収量を決定する3つの要因に焦点を当てつつ、「大豆の生育プロセス」をもとに具体的な方法をステップバイステップで紹介します。これを読めば、収量向上の道筋が明確になるでしょう!

    【大豆栽培で重要な栄養素】

    大豆栽培において、適切な施肥は収量と品質を高める上で非常に重要です。成長過程に合わせて必要な栄養素を供給することで、植物が十分に成長し、収量を最大化することが可能です。以下では、大豆栽培における主要な栄養素とその施用のポイントについて解説します。

    〈リン酸とカリウム〉

    (1) リン酸

    栽培初期には、植え付け前や植え付け直後にリン酸を施用することが必須とされています。特に単一過リン酸塩がよく使用されますが、これは硫黄が含まれているためです。土壌に施用すると大豆が良好な反応を示します。試験区を設けて硫黄施用の効果を確認することも推奨されます。また、土壌のpHが酸性の場合、リン酸が保持されやすいため、酸性土壌ではリン酸を多めに施用することが有効です。

    (2)カリウム

    カリウムは、大豆の成長に欠かせない要素であり、多くの大豆生産者が追加施用を実践しています。施肥の前には必ず土壌分析を行い、適切なカリウム量を判断することが重要です。カリウムは炭水化物の輸送や油、タンパク質の形成に寄与し、葉面散布を通じて子実肥大期にも効果を発揮します。

    〈微量要素〉

    (1)コバルト、モリブデン、亜鉛

    コバルトとモリブデン(CoMoと略される)は、近年注目を集めている微量要素です。これらは種子処理に使用されることが増えており、収量や作物のパフォーマンスを向上させる効果があります。特にモリブデンは、根粒菌の根粒形成に必要不可欠であり、播種後20日以内に2回目の施用を行うことが推奨されます。

    亜鉛も重要な栄養素であり、土壌分析で不足が確認された場合は必ず施用すべきです。亜鉛不足は葉に症状が現れるため、その場合にも速やかに対応が求められます。亜鉛は主に栄養成長期に施用され、特に開花前までに施用することで効果を発揮します。

    [モリブデン配合のバイオスティミュラント]

    (2)ホウ素、カルシウム

    ホウ素は、糖の蓄積や輸送を助ける役割を持ち、開花期に施用することで花粉の形成や受粉を促進します。また、カルシウムもホウ素と同様に重要で、開花初期から子実肥大の開始まで葉面散布を行うことが一般的です。カルシウムとモリブデンの組み合わせは、タンパク質形成を助ける酵素の補助因子としても働きます。

    【収量向上のために理解すべき3つの要因】

    大豆の収量は次の5つの要因によって決定されます

    〈大豆の収量を増やすためのポイントは「豆の数を増やすこと」〉

    大豆の収量を増やすためには、豆の数を増やすことが最も効果的です。収量は「豆の数 × 一粒の豆の重さ」で決定されますが、経験的にも豆の数を増やすことが収量向上にはより重要とされています。その理由は、大豆を広い面積で栽培する場合、豆の数を増やす施策の方が効率的で、補助金や補償制度の条件にも適合しやすいからです。

    〈豆の数を増やすには?〉

    豆の数を増やすためには、まず莢の数を増やすことが重要です。莢の数は、「莢の数 × 莢ごとの豆の数」で決まります。

    ・「莢の数」を増やすには…

    莢の数を増やすことは、大豆の収量を向上させる上で欠かせない要素です。総莢数は、「節の数」と「節ごとの莢の数」によって決まります。「節ごとの莢の数」は、その節にどれだけの花が咲くか、また花がどれだけ枯死せずに莢に成長するかに左右されます。一つの節には1つの莢しか付かない場合もあれば、2つ、3つ、さらには4つの莢が付くこともあります。この違いを生む要因が、花の数やその後の発育状況です。

    次に、総莢数を増やすもう一つの方法として、「節の数を増やす」ことが挙げられます。節の数は植物の成長率に依存しており、成長率を上げることで節の形成を促進できます。文献でも、収量を増やす上で最も重要な指標の一つが「節の数」であると強調されています。節を増やすことで、莢を形成するための基盤が整い、収量の向上に直結します。つまり、莢の数を増やすためには、節ごとの莢数を増やす施策と、節の数を増やす施策の両方を同時に実行することが重要です。

    ・「莢ごとの豆の数」を増やすには…

    この数は、主に受精率によって決まります。通常、一つの莢には平均で2.5粒の豆が含まれていますが、2粒や3粒が一般的で、条件が整えば4粒、さらには5粒の豆が含まれることもあります。このように、受精率の向上が豆の数を増やす大きなカギとなります。受精率を高めるためには、まず受粉の効率を向上させることが重要です。

    【大豆の生育過程:収量向上のために理解すべき成長ステージ】

    大豆の成長は、発芽から成熟、そして収穫に至るまでの複数のステージを経て進みます。それぞれの段階で、植物がどのように成長し、何を必要としているかを理解することで、より効果的な栽培管理が可能となり、収量向上につながります。ここでは、大豆の各生育段階を詳しく解説します。


    〈発芽から成長初期(VE~Vステージ)〉

    大豆の成長は、種子が土壌で発芽する「VE」段階から始まります。この段階を起点に、植物は急速に成長を始め、「V1」「V2」と呼ばれる栄養成長段階へと進みます。たとえば「V2」の段階では、植物に2つの節が形成され、それぞれに三出複葉という葉柄の先端に3個の小葉が直接つく葉が付きます。

    特に「V2」の段階では、植物の根に「根粒菌」が形成され始めることが重要なポイントです。根粒菌は窒素を固定する能力を持つ微生物で、大豆が土壌中の窒素に依存せず、大気中の窒素を利用できるようにします。この「窒素固定」のプロセスは、大豆の成長を加速し、収量を高めるための基礎を作ります。窒素固定が始まるこの段階は、大豆栽培において特に注目すべき時期といえます。

    〈花が咲く段階(R1~R2)〉

    この時点からは、大豆は根粒菌によって固定された窒素、大気中から固定された窒素を利用し始めます。最初の花が現れると、この段階をR1と呼び、この時点で大豆は7から10の節を持っています。この後も大豆は成長を続け、最終的には最大で22節に達します。

    大豆は節を生産し続け、垂直方向に成長をし続けるとともに、これらの位置で枝分かれするのです。

    次にR2の段階ですが、これは完全開花を意味します。ほぼすべての上部の節に花が咲いているのが見られます。

    〈莢の形成と発育(R3~R5)〉

    次に、R3(初莢形成)の段階では、最初の莢が形成され始めます。莢が形成されるこの時期は、植物が必要とする窒素量が急増する重要な時期でもあります。根粒菌による窒素固定はこの段階でピークを迎え、植物体内の窒素蓄積が最大化されます。

    R4(莢の成長)の段階では、莢が完全に形成されますが、内部に豆が存在しない場合もあります。この段階で窒素供給が不十分だと、莢の充実が妨げられることがあります。さらに、R5(豆形成)に入ると、莢の中に豆が形成され始めます。この時点での窒素供給は、豆の重量や品質を左右するため、引き続き重要です。

    〈大豆の生育過程における重要なポイント〉

    大豆の成長過程では、窒素蓄積と根の成長が収量を左右する重要な要素となります。窒素の蓄積量が増加するタイミングは3つあり、V4(節形成)、R1(初開花)、R3(初莢形成)の段階で特に顕著です。これらの時期には、根粒菌による窒素固定が活発に行われ、植物が必要とする窒素を効率的に供給します。十分な窒素供給がないと、花や莢の形成が妨げられるため、これらの段階では適切な栄養管理が求められます。

    さらに、根の成長はR1からR5の間で最も活発になります。この期間中に根がしっかりと成長することで、窒素や水分の吸収が促進され、植物全体の健康が維持されます。しかし、R5以降になると根が徐々に退化し、吸収能力が低下します。このため、R5の段階では、葉面散布や追加施肥を行うことで栄養を補う必要があります。特に登熟の段階で適切な管理が行われないと、豆の充実が不十分となり、収量や品質に悪影響を及ぼす可能性があります。

    これらの重要な成長ポイントを理解し、各段階で適切な対策を講じることが、大豆の収量と品質を最大化する鍵です。窒素蓄積のタイミングを把握し、根の成長と退化に対応した管理を徹底することで、より良い結果を得ることができます。

    【大豆の収量増加のための方法】

    大豆の収量を増やすためには、栄養成長と生殖成長のバランスを保ちながら、各成長段階に適した管理を行うことが重要です。ここでは、大豆の生育過程における節形成、光合成効率の向上、熱ストレスの管理、そして花の枯死対策について解説します。

    〈節形成と成長率の向上〉

    大豆は、VCからV5の段階までは約5日ごとに新しい節を形成し、その後R5までの間は3日ごとに節が増加します。成長初期(VE~V5)の成長率は比較的低いですが、V5以降は加速し、R1の時点では7~10の節が形成されるのが理想的です。

    成長率を高めるには、植物が1日に形成する節の数を増やす必要があります。この成長率は温度と密接に関連しており、30~35℃が最適温度です。しかし、36℃を超えると成長率は急激に低下し、40℃以上では成長が停止します。35℃を超えると成長率が低下し、36℃以上では収量が約17%減少するとされています。

    このような高温ストレスは、大豆の成長と収量に深刻な影響を及ぼします。この問題に対処するためには、ファーティグレインフォリアーテカミンマックスといったバイオスティミュラントを施用することが有効です。これらの資材は、植物本来のベースアップを図り、植物の熱に対する耐性を向上させる効果があります。

    ファーティグレインフォリアー テカミンマックス

    〈光合成効率の向上〉

    光合成は、大豆の成長と収量に直接影響を与えます。光合成効率を向上させるには、クロロフィルの量だけでなく、クロロフィル1分子あたりのCO2固定能力を高める必要があります。これにより、植物が大気中の炭素をより効率的に吸収し、糖に変換することが可能になります。

    適切な施肥(リン酸、カリウム、窒素など)と微量要素の供給は、光合成効率を最大化するための重要な要素です。また、良好な樹冠を形成し、葉の面積を増やすことで、太陽光を効果的に利用できるようになります。

    このような光合成の効率を上げるにテカミンマックスが推奨できるでしょう。

    〈花の枯死対策〉

    受粉後の花の枯死は、大豆の収量に大きな影響を与える課題の一つです。通常、最も良い条件下でも20%の花が枯死し、不適切な条件下ではその割合が80%に達することもあります。花の枯死の主な原因は、植物内部での糖や光合成産物の不足です。

    研究によると、花の枯死の約81%は受粉後に発生しており、このタイミングでの適切な管理が重要です。

    例えば、植物ホルモンであるサイトカイニンの供給を強化することで、細胞分裂を促進し、花の枯死を防ぐことができます。具体的には、土壌にアグリフルを施用することで、植物内部でのサイトカイニンの生成を促進し、結果として収量の向上が期待されます。

    まとめ

    大豆の収量を増やすには、成長初期の節形成を促進し、光合成効率を向上させ、高温ストレスを管理し、花の枯死を防ぐことが不可欠です。これらの課題に対応するためには、温度管理やバイオスティミュラントの活用、適切な施肥計画が求められます。各成長段階における最適な対応を行い、収量の向上を目指しましょう。

     

    【次回Vol.2のリンクはこちら ↓ 】

    公式【科学的/徹底解説】その2 大豆・豆類へのバイオスティミュラント施用② 農業技術の専門家が科学的に解説します。

     

     

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