ゼロからわかるテカミンフラワー その3(全4回)

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この記事では、味の素ヘルシーサプライ株式会社がアグリテクノ社とのパートナーシップのもとで提供しているバイオスティミュラント製品「テカミンフラワー」について、対話形式でやさしく解説します。ぜひお気軽にお読みください。

目次

    【登場人物】

    ■池田亜美(あみちゃん)

    農家を営む親戚がいることから、農業に興味を持ち始めた小学6年生の女の子。研究熱心で親戚からいろいろ教わっている。

    ■アグリ先生

    あみちゃんの親戚で農業を営んでいる。農業資材にも詳しく、あみちゃんからは先生と呼ばれ慕われている。

    1.テカミンフラワーの機能

    あみちゃん

    ー 先生、今日もテカミンフラワーについて詳しく教えてもらえますか?

    アグリ先生

    ー もちろんだよ。何について知りたいかな?

    あみちゃん

    ー テカミンフラワーの機能と成分について知りたいです! テカミンフラワーは、どんなコンセプトで作られたのかも教えてください。

    アグリ先生

    ー テカミンフラワーのコンセプトとしては「花芽の充実」ということになるよ。テカミンフラワーは開花プロセスを促進して、受粉率を高めることで収量増加に貢献するバイオスティミュラントとして作られたんだ。適切な受精の数をできるだけ増やすために、開花プロセスに特化して全体をサポートしているんだよ。

    あみちゃん

    ー 元気な花をたくさん咲かせるために作られた、ということですね。テカミンフラワーの機能としては、どんなのがあるの?

    アグリ先生

    ー 機能としては大まかに2つあるよ。

    1. 不足しがちな必要成分のタイムリーな供給
    2. 遺伝子発現や植物ホルモンの活性化による代謝の進行促進

    1つ目は植物が開花するために必要なモリブデンやホウ素、リン酸といった成分の供給だ。この3つは栄養不足になりやすいから、テカミンフラワーを与えて補給するんだよ。

    2つ目は代謝活動の進行と促進。開花に必要な遺伝子を発現させたり、植物ホルモンを活性化させたりするんだよ。これにはT6Pが大きく関与するね。

    あみちゃん

    ー えーと、T6Pってなんだっけ?

    アグリ先生

    ー T6Pは重要な成分だから、後半で詳しく説明しようか。

    テカミンフラワーの機能を最大限に活かすには、タイミングと施用する意図がとても重要なんだ。何のために、いつ頃施用するか、ということだね。

    ただ、植物によっては単独での施用だと最終的な収量アップや品質向上が難しくなる可能性があるんだ。光合成効率をあげる別の資材と併用して樹勢をよくした方が、よりテカミンフラワーの効果を発揮できるんだ。

    たとえば、テカミンマックスやアミハート、アグリフル、テクノケルアミノCaBシリーズがおすすめだよ。それぞれ使い方や効果が異なるけど、どれもテカミンフラワーと相性が良い製品なんだ。

    あみちゃん

    ー テカミンフラワーだけで使うよりも他と一緒の方が、たくさん開花したり実がなったりするっていうことだね。植物の状態をみながら選ぶと良さそう。

    アグリ先生

    ー それとね、テカミンフラワーのph値は酸性を示すph3で、植物が栄養を吸収して利用しやすい最適な値になっているんだ。酸性環境だとリンや鉄、マンガン、亜鉛などの必須栄養素の溶解度を高めてくれるから、植物が根から効率よく吸収できるメリットがある。これもテカミンフラワーの特徴だね。

    あみちゃん

    ー ph値も開花するためには大切な要素になる。覚えておこう。

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    2、テカミンフラワーの効果

    あみちゃん

    ー テカミンフラワーを使うと開花に対してすごく効果的だっていうのはわかったけど、具体的にはどういう効果があるの?

    アグリ先生

    ー テカミンフラワーの効果を大まかにいうと花と果実の成長促進なんだけど、他にもいろいろな効果を発揮してくれるんだ。

    それじゃ、植物の開花プロセスの順に、テカミンフラワーが与える具体的な効果を解説していこうか。

    ちなみに、あみちゃんは植物が花を咲かせて果実ができるまでに、植物内でどんなことが起こっているのか覚えているかな?

    あみちゃん

    ー うーん、なんとなく。詳しいところまでは覚えていないかも。

    アグリ先生

    ー 一緒に復習していこうね。植物が花を咲かせて実らせる開花プロセスは、次の5つのステージに分かれているんだ。

    1. 花成誘導期
    2. 花芽分化期
    3. 開花期
    4. 受精・受粉期
    5. 結実期

    開花プロセス内でも各ステージによって必要な栄養成分が変わるから、どのステージのサポートもできるように有効成分や栄養成分が豊富に含まれている。

    各ステージでテカミンフラワーがどのように開花をサポートするのかを解説するね。

    ①花成誘導期

    アグリ先生

    ー 花成誘導期っていうのは、花を咲かせるための準備を始める時期のこと。この時期にテカミンフラワーを与えると3つの効果が期待できるよ。

    1. 花芽の形成促進
    2. 花芽の品質向上
    3. 隔年結果への対策

    花芽形成の促進

    まずは花芽形成の促進だね。テカミンフラワーに含まれている栄養素であるモリブデンやホウ素、リン酸、多糖類、ポリアミンが植物に供給されると、花芽形成の促進効果が期待できるんだ。ここでちょっと補足だけど、多糖類はその名の通り「糖」で、主にエネルギー源として働き、開花期における花粉の生存率や品質向上に必要不可欠なんだ。ポリアミンは有機化合物で、ほぼすべての動物・植物の細胞内に存在する物質なんだ。アミノ酸ではないよ。ストレス耐性の向上や細胞分裂の促進に寄与して、花芽形成期から花芽分化期にかけて植物が健全に発育するための環境を整えるんだよ。このように、多糖類とポリアミンは、植物の開花プロセスにおいて異なる役割を持っているんだ。

    アグリ先生

    ー 花芽形成時の細胞分裂には、リン酸が必要不可欠なんだ。そこでテカミンフラワーを与えることによって、細胞分裂がどんどん進んでいくんだよ。

    さらに、テカミンフラワーの成分が植物ホルモンのフロリゲンの生成も促してくれるから、結果的に開花の促進に繋がるよ。

    テカミンフラワーによって植物内に作られるT6Pっていう成分には、「日長と糖質の両方のシグナルを一致させる遺伝子」と、「植物に十分な糖分が蓄えられていると認識させる遺伝子」を発現させるっていう特徴があってね。この2つの遺伝子によって植物ホルモンができて、適切なタイミングで花が咲くように計画がスタートするんだ。T6Pは植物内のエネルギー状態を反映して、この2つの遺伝子に計画をスタートするように信号を送るんだよ。

    ちなみにフロリゲンは「もうそろそろ花を咲かせるタイミングがくるよ!」っていう合図を送るホルモンなんだ。フロリゲンが大量に届くと、植物は花を咲かせるモードに切り替わるっていうイメージかな。より正確に言うと、フロリゲンは植物の成長状態や日長、温度などの環境条件に応じて、適切な開花時期を調整するホルモンで、フロリゲンの働きによって、植物が開花するタイミングが整えられるんだ。

    あみちゃん

    ー モリブデンとかリン酸とか、たくさんの栄養成分が開花促進のための材料になって、花芽を作るのに重要な遺伝子を発現させるんだね。

    花芽の質向上

    アグリ先生

    ー 次は花芽の品質向上について解説するよ。

    アグリ先生

    ー T6Pっていう成分が作られて2つの遺伝子が発現すると、「どんどん花芽をつけても大丈夫!」っていうシグナルが出されるんだ。そうすると、植物はどんどん花芽をつけようとするよね。必要なエネルギーや栄養素を、花芽のために使うように切り替えていくんだよ。つまり、花芽に豊富な栄養が蓄えられるから品質が良くなるっていうことなんだ。

    あみちゃん

    ー 植物が成長するモードから花を咲かせるモードに変わるから、エネルギーの使い道が花芽中心になるってことかあ。

    隔年結果への対策

    アグリ先生

    ー 次は隔年結果への対策についてなんだけど、隔年結果については前回解説したのを思い出せるかな?

    あみちゃん

    ー 確か、豊作の次の年は不作になってしまう現象だったよね? たくさん実がなる時にエネルギーを使っちゃうから、次の年の花芽を作る時にはエネルギー不足になっちゃって実がならなくなってしまうっていう現象だったような。

    アグリ先生

    ー さすがあみちゃん、よく覚えていたね。そう、特に果樹類に起こる現象だね。テカミンフラワーは隔年結果への対策にも、とても有効なんだ。

    アグリ先生

    ー 隔年結果はエネルギーを大量に使う本年の結実期と、翌年の花芽の形成を判断する花成誘導期が同時期であることが原因。エネルギーの奪い合いが起きて、翌年に花を咲かせられないって判断されてしまう。

    そこで、テカミンフラワーが役に立つんだ。テカミンフラワーを散布すれば植物にたっぷりと栄養を与えられるし、T6Pが作られて遺伝子の発現や植物ホルモンが活性化するから、植物内で花芽をたくさん作るように準備してくれるんだよ。

    隔年結果への対策は適切なタイミングでの散布が重要となるから、花成誘導が始まる時期に散布すると効果的だよ。

    それと中長期的に考えるなら、テカミンフラワー以外の資材との併用も考えておいた方が良いね。特に、休眠前にアグリフルを散布しておくのがおすすめ。土壌環境が整うし、植物ホルモンの生成が活性化されて開花プロセスにも大きな効果があるから、テカミンフラワーとも相性がいいよ。

    あみちゃん

    ー なるほど。隔年結果の対策に施用するならタイミングが大事なんですね。アグリフルはテカミンフラワーと一緒に使うといいって覚えておきます!

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    ②花芽分化期

    アグリ先生

    ー 花成誘導期の次は花芽分化期だね。花芽分化期に施用すると次のような効果が得られるよ。

    1. 花芽分化の不可逆性の促進
    2. 花の枯死の阻止
    3. 花の器官形成・開花準備の促進

    あみちゃん

    ー 3つも効果があるんだ!なんか難しそうな言葉がいくつもあるなあ。

    アグリ先生

    ー そうだね・・・まずは花芽分化の不可逆性の促進から説明しよう。

    アグリ先生

    ー  不可逆性っていうのは、簡単にいうと「元に戻せない」っていうこと。この場合でいうと、植物が花成誘導期に「花を咲かせよう」と準備を始めたら、途中で条件が変わってしまっても、諦めずに最後まで花を咲かせようとするんだ。

    あみちゃん

    ー 花を咲かせるようにテカミンフラワーがサポートしてくれるんだね。

    花の枯死の阻止

    アグリ先生

    ー 次は花の枯死を阻止する効果だ。花が枯れてしまう理由はいくつかあるんだけど、その一つがプログラム細胞死なんだ。

    あみちゃん

    ー プログラム細胞死?

    アグリ先生

    ー プログラム細胞死とは、植物が自身の細胞を計画的に死滅させることを意味しているよ。これは、植物の成長や環境への適応に重要な役割を果たしているんだ。 

    アグリ先生

    ー 特に環境ストレスや栄養不良の状態だと、プログラム細胞死が起こる可能性が高いとされている。でもね、テカミンフラワーによって生合成されるT6Pには、プログラム細胞死を阻止する効果があるんだよ。

    あみちゃん

    ー T6Pって働きものだね。遺伝子を発現したり枯れないように阻止したり、たくさんいいことしてくれる!

    花の器官形成・開花準備の促進

    アグリ先生

    ー さて、最後は花の器官形成と開花準備の促進だ。テカミンフラワーの窒素やリン酸、カリウムといった栄養素やポリアミンなどの成分が、器官形成時の細胞分裂をサポートしてくれるよ。

    アグリ先生

    ー 植物が栄養成長から生殖成長へと移行する最初の段階として、花成誘導が成功すると花芽分化を受けて、集中的に細胞分裂と特殊化が起こるんだ。そして細胞は、がく弁や花弁、雄しべ、雌しべといった花のパーツを作り上げていくようになるんだよ。この時に、テカミンフラワーのリン酸や窒素などがサポート役として活躍してくれるのさ。

    そして多糖類やポリアミンは、気温や乾燥からのストレスに強くなるよう、ストレス耐性の向上を手伝ってくれるんだよ。

    あみちゃん

    ー 花ができ始める最初の時期だけみても、たくさんの成分が働いてくれてるんだなあ。

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    ③開花期〜花粉の生存率・質向上〜

    アグリ先生

    ー 次は開花期に期待できる効果について解説するよ。開花期には2つの効果をもたらしてくれるんだ。

    1. 開花量と花数の増加
    2. 花粉の生存率、質の向上

    開花量と花数の増加

    アグリ先生

    ー まずは開花量についてだね。これまでにも解説したとおり、テカミンフラワーの成分をもとに植物内でT6Pが生合成されて、2つの遺伝子を発現させていたよね。
    実は、この2つの遺伝子によるシグナルが花数の増加に繋がるんだ。

    あみちゃん

    ー 糖が十分あるから花を咲かせてもいいよ!ってお知らせするんだったよね。

    アグリ先生

    ー そうそう。T6Pが「糖がたくさんあるよ」ってシグナルを出せば出すほど、植物は花をたくさん咲かせてもいいんだ!って感じるんだ。そうして、植物は花芽形成にエネルギーを使うようになるから、花数も増える仕組みだよ。

    もちろん、花が咲くには糖シグナル以外にも日長シグナルも必要になる。働き者のT6Pはどちらのシグナルも一致させてくれる成分であるから、結果的に植物が適切なタイミングでたくさん花を咲かせようと頑張ってくれるんだ。

    あみちゃん

    ー だからテカミンフラワーを与えると花の量が増えるんだね。

    花粉の生存率・質向上

    アグリ先生

    ー 次は花粉の生存率、品質の向上の観点からみるよ。この効果に役立つテカミンフラワーの成分はモリブデンと多糖類だ。この2つは花粉を作るときに必要不可欠な成分なんだよ。

    あみちゃん

    ー モリブデンは花成誘導期にもでてきたよね。開花期ではどんなふうに働いてくれるの?

    アグリ先生

    ー しっかり覚えていたね! じゃあモリブデンから解説しよう。

    アグリ先生

    ー モリブデンは花粉の発芽を促進して、良い状態の果実ができるように開花プロセスをサポートしてくれるんだ。

    モリブデンには、植物が吸収した栄養をエネルギーとして使えるように形を変える、っていう役割があってね。モリブデンが植物内に不足すると、エネルギーとして使える形に変えられないから、窒素代謝がうまく機能しなくなるんだよ。そうなると、花粉の形成異常、発芽不良、受精率の低下などが起こるかもしれないんだ。

    あみちゃん

    ー なるほど。モリブデンは、植物がちゃんと栄養を使えるように手助けしてくれるおかげで、ちゃんと開花できるようになるんだ。

    アグリ先生

    ー 多糖類の場合は、植物のエネルギー源になってくれるんだ。他の成分とは違って直接エネルギー源として貢献してくれるから、栄養吸収において効率が良いんだよ。

    植物は開花や結実時に大量のエネルギーが必要になるから、効率よくエネルギーになってくれる多糖類が大活躍する。

    あみちゃん

    ー 開花期にはモリブデンと多糖類はとても重要なんだね。不足しないように気をつけないといけないね。

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    ④受粉・受精期

    アグリ先生

    ー 花が咲いたら、次は受粉・受精期に入るよ。この時期は2つの効果が期待できるんだ。

    1. 受粉率の向上
    2. 結実率の向上

    受粉率の向上

    アグリ先生

    ー 受粉率をあげるには、昆虫へのアプローチが鍵になる。昆虫を引き寄せる物質の生産を促進することで、よりたくさんの花粉が運搬されるようになるんだ。

    テカミンフラワーに含まれている糖類やリン酸が、そのサポートをしてくれるよ。
    糖類やリン酸は植物内に入ると、どんな成分の材料になるのかな?

    あみちゃん

    ー T6Pです! T6Pは2つの遺伝子を発現させるんでしたよね?

    アグリ先生

    ー 正解! 実は、T6Pには他の遺伝子も活性化させる機能があってね、花芽に対しても特定のシグナルを送るんだ。その結果、昆虫を引き寄せる物質の生産が促されて、昆虫が引き寄せられやすくなるんだよ。

    あみちゃん

    ー 美味しいお菓子があるよー!みたいな?

    アグリ先生

    ー そうそう。昆虫がたくさん来てくれると受粉する可能性も高くなるから、将来的にたくさん果実ができるっていうわけだ。

    実際に、テカミンフラワーを散布した植物にたくさんの昆虫が来てくれる様子も観察されているから、効果がとても期待できるんだよ。

    あみちゃん

    ー 昆虫まで引き寄せてくれるなんて、T6Pって本当にいろいろと貢献しているんだね。

    結実率の向上〜花粉の発芽・花粉管の伸長促進・窒素代謝の調節

    アグリ先生

    ー たくさん果実を実らせるには、昆虫へのアプローチによる受粉率向上の他に、花粉の発芽促進と花粉管の伸長促進も影響してくるよ。

    花粉の発芽促進にはホウ素、受粉率と同じように窒素代謝はモリブデンが効果を発揮してくれるんだ。

    アグリ先生

    ー 特に、花粉管の伸長促進にはホウ素のサポートが必要不可欠なんだ。ホウ素が働いてくれることによって、花粉管の細胞壁が丈夫になって大きく成長できるようになるんだよ。

    だけどね、ホウ素の他にも花粉管の成長に大きく関わっている成分があるよ。

    あみちゃん

    ー もしかしてここでも・・・?

    アグリ先生

    ー そう、T6Pだよ。

    アグリ先生

    ー T6Pが活性化させる遺伝子のなかに花粉管に関する遺伝子があるんだ。その遺伝子が活性化することで花粉管の成長に関する誘発作用がたくさん起きて、受精プロセスを円滑にする効果があるんだよ。

    あみちゃん

    ー T6Pがたくさんの遺伝子を活性化させることによって、受精もスムーズにいくってことだね。ホウ素もモリブデンも大事なことはわかったけど、T6Pってどの開花プロセスにも影響しててすごいなあ。

    ⑤結実期

    アグリ先生

    ー いよいよ最終ステージの結実期だ。受精した後、果実がなるまでの時期にテカミンフラワーを与えると、果実の品質向上や果実の肥大促進が期待できるよ。

    アグリ先生

    ー 品質向上の点から見ると、果実内の種子が多いほど果実自体が大きくなるんだ。テカミンフラワーを施用すると果実の受粉が促進されるから、種子の数が増えるんだよ。

    一般的に、1つの胚珠に1つの花粉管が到達し、二重受精が行われるんだ。この過程で、1つの精細胞が卵細胞と受精して胚になり、もう1つの精細胞が中央細胞と受精して胚乳になる。この二重受精が成功すると、1つの種子が形成されるんだよ。

    つまり胚珠に2個の花粉が到達して、2つの受精が成功すれば種が1個できるっていう仕組みになっているんだ。そして種の周りに果肉がどんどんついていくんだよ。

    たとえば、キウイやスイカで考えてみようか。どちらも種がすごく多いよね。つまり、キウイもスイカも種の数だけ受精しているんだ。キウイ1個に1000個の種があるとされているから、1000回も受精を成功させる必要があるんだよ。良い状態の果実を作るには、適切な回数の受精が重要であり必須なんだ。

    あみちゃん

    ー 種がたくさんあるとたくさん受精に成功しなきゃいけないんだ・・・。種が多い果物は大変!

    アグリ先生

    ー そうだね。そのために、テカミンフラワーがサポートするんだ。特にリン酸がポイントになるよ。テカミンフラワーには細胞分裂に必要なリン酸を豊富に含んでいるよね。リン酸は、花芽の形成や果実の肥大に必要不可欠な成分なんだよ。

    つまり、テカミンフラワーを使うことによって細胞分裂が促進されるから、花や果実の成長も促進されて大きな果実ができる、という仕組みになっている。

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    2.テカミンフラワーの含有成分

    あみちゃん

    ー 開花プロセスの各ステージでテカミンフラワーの成分がいろいろとサポートしてくれるのはわかったけど、どの成分がどんな機能を持ってサポートしてくれるのか、少し混乱してきちゃいました。成分ごとに教えてもらってもいいですか?

    アグリ先生

    ー そうか、じゃあいったんテカミンフラワーの成分についておさらいしてみよう。テカミンフラワーに配合されている成分の中でも、花芽の成長に特に重要な成分に注目してみよう。

    含有物質名 含有量 期待できる効果
    有効成分 モリブデン 0.5%
    • 花芽形成の促進
    • 花粉の発芽促進や質の向上
    • 結実率の向上
    ホウ素 3.0%
    • 栄養素を供給し、細胞分裂を促進
    • 花粉の発芽促進、花粉管の伸長促進
    りん酸全量
    (水溶性りん酸)
    9.0%
    (8.0%)
    • 花芽形成の促進
    • 花器官形成の促進
    • 果実の肥大促進
    • T6Pの生成
    その他
    主要成分
    窒素全量 2.8%
    • 植物の健全な成長
    遊離アミノ酸類 約3.0%
    • タンパク質合成
    • 他の栄養素の吸収をサポート
    • ストレス耐性の向上
    多糖類
    • ストレス耐性の向上
    • 花粉の生存率向上
    • T6Pの生成
    ポリアミン
    • 栄養素を供給し、細胞分裂を促進
    • ストレス耐性の向上
    ビタミン
    • 植物ホルモンのバランス調整

    アグリ先生

    ー テカミンフラワーが開花プロセスに対して効果を発揮する鍵となるのは、各成分どうしによる相乗効果なんだ。特に花芽の成長に重要な成分は、モリブデンとホウ素。2つの微量要素の必要量は少しなんだけど、なくてはならない存在なんだ。

    あみちゃん

    ー 確かモリブデンは花粉の発芽を促進して、ホウ素は花粉の形成や種子の発育を促進するんだったよね?

    アグリ先生

    ー そのとおりだ。でも、開花のためにサポートしてくれたのは2つだけではなかったよね。花芽を充実させて果実の品質を向上させるには、そもそも植物が元気に成長しなければならない。そのために、植物を健全に成長させる窒素やリン酸といった主要栄養素もテカミンフラワーにはバランスよく配合されているんだよ。

    アグリ先生

    ー 特にリン酸は細胞分裂に必要不可欠な栄養素だし、花芽の細胞分裂が活発になる器官形成の時期には重要な役割を果たしてくれるしね。

    他にもアミノ酸や多糖類、ポリアミンなどの有益な成分もそうだね。

    アグリ先生

    ー アミノ酸はタンパク質の合成や他の栄養素の吸収をサポートするし、多糖類は細胞の形成や成長エネルギーとして機能する。ポリアミンは気温の高低差によるストレス緩和や、害虫から植物を保護する役割を担っているよ。

    以上の成分が相乗的に作用することで、テカミンフラワーは花芽成長を多方面からサポートできるんだ。

    あみちゃん

    ー 確かに、さっきの説明でもいろんな成分がたくさんサポートしてた! ひとつひとつがちゃんと役割を持っているんだね。

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    主要成分と効果

    アグリ先生

    ー テカミンフラワーには直接含まれてはいないけど、開花プロセスにおいて重要な存在がいるよね。

    あみちゃん

    ー T6Pですね! 何回も登場してきました。

    アグリ先生

    ー T6Pは開花プロセスに影響を与える大事な成分であることはわかってもらえたと思う。ここであらためてT6Pについて解説するね。

    T6Pの正式名称は「トレハロースー6ーリン酸」。テカミンフラワーに配合されている成分ではないけど重要な成分なんだ。

    アグリ先生

    ー T6Pは植物内で生合成される物質で、テカミンフラワーに配合されている糖類やリン酸が材料となるよ。つまり、テカミンフラワーを使用すると植物内にT6Pの材料がたくさん運ばれて、T6Pもたくさん作られるようになるんだ。

    こうして作られたT6Pには、開花プロセスの中で多くの役割があったよね。覚えているかな?

    あみちゃん

    ー 確かT6Pは糖シグナルと環境シグナルを送るのと、いろんな遺伝子を発現させてたような・・・どんな働きをするんだっけ?

    アグリ先生

    ー そうだね。特に花芽分化期の時には、糖シグナルとしての重要な役割があったよね。T6Pには大まかに5つの機能があるんだ。

    1. 糖シグナルの伝達
    2. 環境シグナルの伝達
    3. FT遺伝子の発現制御
    4. SnRK1キナーゼの抑制
    5. SPL遺伝子の制御

    まずは、糖シグナルと環境シグナルを送る機能について解説しよう。

    アグリ先生

    ー T6Pには植物体内の糖レベルをチェックして、花芽分化を促進させるシグナルを送る役割がある。植物体内で糖の濃度を測るセンサーの役割があって、十分に蓄積されたことをT6Pが感知した時に糖シグナルが送られるんだ。早く花を咲かせるように促すんだね。

    具体的には糖シグナルと環境シグナルの2つが送られるんだけど、どちらも開花プロセスを促進するためには大事なシグナルなんだ。

    あみちゃん

    ー 環境シグナルっていうのは何?

    アグリ先生

    ー 環境シグナルは日長や温度に関係するシグナルのことだよ。最適な花成のタイミングを決定するためには、植物内部の栄養状態と環境シグナルを合わせて考えなければならないんだ。その時にT6Pは重要な役割を果たすんだよ。

    あとは花芽形成と花芽分化、花器官の発達の過程でさらに活躍してくれるんだ。

    アグリ先生

    ー まず、T6Pは花成誘導期において、実はフロリゲンを作る遺伝子を抑える役割もあるよ。T6Pは植物内の栄養状態を管理しているチェック係として、フロリゲンを作る遺伝子の発現を促進したり抑制したりして、花を今咲かせるべきか、まだ休むべきかを判断してくれているんだ。最適なタイミングで花を咲かせるよう調整しているんだよ。T6Pはフロリゲンの生成を促進したり抑制したりする、ようするにスイッチ的な役割を担っているんだ。

    次は花芽分化期での、SnRK1キナーゼを抑制する役割だ。SnRK1キナーゼとは、植物を省エネモードに切り替えるボタンのような役割がある酵素なんだ。植物がエネルギー不足を感じた時に、エネルギーを節約して休めるようにSnRK1キナーゼが働くんだけど、T6Pにはその働きを一時的に抑える役割があるんだ。

    あみちゃん

    ー つまり、少ないエネルギーでも省エネモードにならずに成長できるようにってこと?

    アグリ先生

    ー そういうこと。その役割のおかげで花芽分化が進めやすくなるっていうメリットがあるんだ。

    T6Pの最後の機能は、SPL遺伝子の制御だね。SPL遺伝子は植物の成長や開花のタイミングを制御する重要な遺伝子群だよ。特に花器官の発達や開花時期の決定に関わっているんだ。この遺伝子が活性化すると花器官の発達が促進されるんだよ。

    ただし、SnRK1キナーゼと同じように、栄養状態によっては制御も必要になるんだよ。植物内の限られたエネルギーを効率よく使うために、T6Pは活性化させたり抑えたり常にコントロールしているんだね。

    あみちゃん

    ー T6Pは花を咲かせるまで、植物の栄養状態を見ながら他の遺伝子や酵素を調節してるんだね。

    アグリ先生

    ー T6Pの機能によって開花プロセスでどんな効果が期待できるのか、表にまとめておいたからチェックしておいてね。

    T6Pの効果
    花芽形成の促進 FT遺伝子の発現を促進することで、花芽形成を誘導
    花芽分化の促進 SnRK1キナーゼの活性を抑制することで、花芽分化を促進
    花器官の発達促進 SPL遺伝子の発現を抑制することで、花器官の正常な発達を促進
    開花時期の調整 日長や温度などの環境シグナルと植物の内部栄養状態を統合することで、最適な開花時期を決定
    ストレス耐性の向上 ストレス条件下においてもSnRK1キナーゼの活性を調節することで、ストレス耐性を向上させる可能性

    T6Pのサポートが必要な方はこちら

    3、まとめ

    今回はテカミンフラワーのコンセプトと含有成分について解説しました。テカミンフラワーは植物の成長や生殖活動において、不足しがちな必要成分のタイムリーな供給と、遺伝子発現や植物ホルモンの活性化による代謝の進行促進をコンセプトに作られたバイオスティミュラントです。

    モリブデンやホウ素をはじめとする有効成分や窒素やアミノ酸、多糖類、ポリアミンといった主要成分を豊富に配合しており、開花プロセス全体をサポートします。特にT6Pの生合成を促進し、花芽形成や花芽分化の促進、開花時期の調整、ストレス耐性の向上などにおいて効果を発揮します。

    テカミンフラワーは開花サポートに特化しているバイオスティミュラントのため、植物成長を促す効果のある農業資材との併用がおすすめです。

    次回はテカミンフラワーの施用方法や施用事例をご紹介します。施用の際に役立つ情報ですので、ぜひ次回もご覧ください。

    テカミンフラワーを手にしてみる!

     

    【次回Vol.4のリンクはこちら ↓ 】

    ゼロからわかるテカミンフラワー その4(全4回)

     

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    ゼロからわかるテカミンフラワー その1(全4回)

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