アグリテクノ社の技術者が語る "テカミンマックスとは? 成分と作用メカニズムを理解して、作物のポテンシャルを最大限に引き出せ" Vol.1(全4回)

チュートリアル 更新日:

 

当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】Tecamin Maxとは何か?目から鱗の作用メカニズムが全てわかる!スペインのテクニシャンによる科学的見地からのハイレベル講義。基本のアミノ酸バイオスティミュラントを徹底解説」の内容をご案内しています。

 

皆さんは植物の成長を効果的にサポートする「バイオスティミュラント」をご存じでしょうか。バイオスティミュラントとは、植物の成長や発育を自然に促進する非栄養素化合物や微生物製剤の総称であり、植物の栄養吸収能力を高めたり、ストレス耐性を向上させたりする効果があります。これらは植物の健康をサポートし、最終的に収量や品質の向上に貢献することを目的としています。この記事では、アグリテクノ社が開発したバイオスティミュラント製品「テカミンマックス」について、成分や機能、効果的な使用方法など具体例も挙げながら詳しく解説していきます。

目次

    テカミンマックスとは

    テカミンマックスは、農薬や肥料とは異なり、植物の基本的な代謝活動を向上させるバイオスティミュラント製品です。

    主要成分はアミノ酸のほか、注目すべき成分であるベタインやタンパク質など、豊富な有機成分で構成されています。このような成分を植物に与えることで、代謝の活性化や収穫量の増加、品質向上など、様々な効果を期待できます。 

    農業におけるバイオスティミュラントの役割

    今やバイオスティミュラントは、植物の健康と生産性を高めるためには欠かせない存在です。

    植物を健康な状態で育て続けるには、微量栄養素や副次栄養素であるカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)、硫黄(S)と主要な栄養素である窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)の存在が不可欠です。にもかかわらず、実際に植物を詳しく分析すると酸素(O)や炭素(C)、水素(H)が主な成分となっており、全体の94%を占めています。

    実は主要な栄養素を3種類合わせても4〜7%と、ごく微量しか存在しないのです。

    そこで、大部分を占める成分の1つである炭素のサイクルに注目します。炭素は光合成の過程で生成される成分で、光合成はクロロフィル(葉緑素)によって行われます。バイオスティミュラントを活用しアミノ酸が光合成の過程にアプローチすることにより、主要な栄養素が少ない状態でも、植物の健康維持と成長に大いに役立てられるのです。

    また、植物を育てるには高温や乾燥、日照時間など常に様々なストレスを気にしていかなればなりません。テカミンマックスを使用することで、植物が直面するストレス症状の防止や保護効果が見込めます。ストレスを受けることで不足する成分を補ったり、受けたダメージを回復させたりと、あらゆるストレス症状に対して作用します。

    ただし、テカミンマックスは飛びぬけて効果の高いスーパー成分が配合されている製品ではありません。そうではなく、アミノ酸を中心にして植物本来の代謝や品質向上をサポートする製品なのです。だからこそ、無理なく植物の成長にプラスに働き、ストレスにも備えることができるのです。

    つまり農業におけるバイオスティミュラントの役割とは、栄養素の補給や効果成分の大量投入ではなく、アミノ酸により植物自体を刺激して植物本来の力を引き出すところにあると言えます。

    次に、テカミンマックスの主要成分と植物への働きについてお話しします。

    テカミンマックスの主要成分


    それでは、テカミンマックスに含まれるアミノ酸とベタインが、植物の健康と成長にどのように貢献するのか、具体的な作用メカニズムを見ていきましょう。例えば、アミノ酸は植物のタンパク質合成に必須であり、栄養素の吸収や運搬、植物ホルモンの合成に重要な役割を果たします。これにより、植物の成長促進、ストレス耐性の向上、果実の品質改善などが期待できます。一方、ベタインは細胞の浸透圧を調節し、乾燥や塩害などの環境ストレスから植物を保護することで、全体の生育環境を改善します。


    アミノ酸を植物に与えるメリット

    まず、テカミンマックスの主要成分であるアミノ酸の役割について解説します。

    植物が1つのアミノ酸を合成するためには多くのエネルギーが必要です。しかし、エネルギーが一点に集中してしまうと、他の器官がエネルギー不足に陥り、植物の成長に支障をきたしてしまいます。

    そこで、アミノ酸を葉面から直接与えてアミノ酸の合成を助けます。それにより、アミノ酸を作り出すために必要なエネルギーの一点集中、つまり他の器官とのエネルギー競合を防ぐことが可能となります。

    具体的な例としてブドウを挙げてみましょう。ブドウを栽培する際、新梢と花の間でエネルギーの競合が生じ、思うように開花しない場合があります。そこで、アミノ酸を与えることで2つの器官間での奪いあいが解消し、開花と新梢のどちらにおいても十分なエネルギーが得られるのです。

    植物におけるエネルギーの競合とは、植物が成長や生存に必要な複数の生理活動を同時に行う際に生じるエネルギーの分配問題を指します。例えば、植物がアミノ酸を自ら合成する過程では、大量のエネルギーを消費します。これにより、他の重要な生理活動、例えば根の成長や光合成などへのエネルギー配分が制限される可能性があります。しかし、アミノ酸を外部から直接供給することで、植物はアミノ酸合成に必要なエネルギーを節約し、その分を他の生理活動に再配分できるようになります。このように、アミノ酸の直接供給は、植物内でのエネルギーの効率的な分配を促し、全体の成長と生産性を向上させる効果が期待されます。

    果実においても同様で、果実の甘さを決めるグルコースが他の器官で消費されるのを抑えられるため、そのぶん果実の糖度を高めることができます。

    なぜアミノ酸は植物に必要なのか

    そもそも、なぜアミノ酸は植物に必要なのでしょうか。その答えは植物の成長プロセスにあります。

    アミノ酸は、受粉や、栄養物質の輸送を促すための成長に作用します。つまり、植物が育つうえでの多くの生理的プロセスや代謝活動における中心的な存在であり、必要不可欠な成分です。

    植物がストレス状態にあると代謝活動は低下し、それに伴いアミノ酸の合成も減少してしまいます。先ほども解説したように、アミノ酸の合成には多大なエネルギーが必要です。

    そのため、代謝が低下するほどのストレス状態に陥ってしまったときには、外部からアミノ酸を与えると有効に作用します。つまり、アミノ酸を与えることでストレス状態を改善し、回復のために使われるはずだったエネルギーを節約できます。そのぶん、根や葉の成長や果実の糖度の向上など、ほかの重要な生理的プロセスに貢献できるようになるのです。

    なお、植物が持つエネルギーは、特に果実や種子に蓄えられる傾向にあります。炭水化物、いわゆる果糖やショ糖などの糖類は、アミノ酸合成に使用されなかったエネルギーを根や茎、果実といった器官に蓄積させる働きをします。植物がエネルギーを必要とするときのために、いつでも使えるように蓄えておくのです。

    テカミンマックスは主要アミノ酸を5種類配合

    テカミンマックスには、主要成分となるアミノ酸が5種類含まれています。

    • グルタミン酸
    • プロリン
    • アラニン
    • アスパラギン酸
    • グリシン

    なかでもグルタミン酸は円グラフが示す通り、含有アミノ酸の半分以上を占めており重要な役割を果たしています。グルタミン酸以外の4つのアミノ酸は、同じアミノ酸でも機能や役割はそれぞれ異なります。アミノ酸が植物に与える影響をふまえて、各成分が植物に対してどのような影響を与えるのかを以下で解説します。

    グルタミン酸

    グルタミン酸は果実に供給される主要なエネルギー源であり、グルコースをもとに生成されています。また、クロロフィルの合成にも欠かせない成分です。植物は常にいくつかの酵素を通じて、グルコースからグルタミン酸をはじめとするアミノ酸を合成しています。

    合成されたグルタミン酸はさらにクロロフィルと合成し、光合成を行うことで再びグルコースを生成します。つまり、グルコースとグルタミン酸は合成や光合成の過程で、グルタミン酸→クロロフィル→グルコース→グルタミン酸という循環をくり返しながら、お互いを生成しあっているのです。

    以上のことから、植物にとって重要な光合成においてグルタミン酸はなくてはならない成分であり、中心的な役割を果たしているといえます。

    グルタミン酸はクロロフィルの中心となる成分以外にも、次のような効果が期待できます。

    • 抗酸化酵素を活性化させる
    • 病原菌の発生を抑制させる

    グルタミン酸の使用によって抗酸化酵素が活性化し、向上することが確認されています。また、植物がもつ良い菌を支援し、有害な菌を抑制する役割も担っています。

    植物がウイルスや害虫といった生物学的ストレスを感じると、酵素の機能が低下し、グルコースの生成がストップしてしまいます。グルコースが生成されなければ、グルタミン酸も生成されず光合成もできません。グルタミン酸を補給することでストレス状態を改善させ、再び正常に循環させるのです。

    プロリン

    プロリンは、細胞内の浸透圧の調節を担っているアミノ酸です。プロリンを植物に与えることで細胞内の水分が正常に保たれ、蒸散による水分不足を防げます。特に外気温が高くなると蒸散が起きやすくなるため、必要な水分が失われないようにプロリンが保護する役割を果たします。

    水分の保持以外にも、次のような役割を担っています。

    • ストレスを緩和させる
    • 細胞分裂を助ける
    • 植物の着果を改善、種子の成長を促進する

    プロリンは分子レベルのシャペロンとなり、植物のストレスを緩和させる役割があります。シャペロンとは、酵素を安定化させるタンパク質のことです。高温などの影響で植物がストレスを受ける環境下にあると、酵素が働かなくなる場合があります。そうならないよう、プロリンがタンパク質であるシャペロンとして機能し、酵素の機能不全を未然に防ぐのです。

    たとえば、塩分濃度の高い土壌で育てられている場合は塩分ストレスを緩和してくれます。乾燥ストレスの場合でも分子レベルのシャペロンとして機能し、酵素やタンパク質を保護したり、場合によっては損傷を受けた酵素を修復したりと、様々な役割を果たしてくれるのです。

    加えて、プロリンには細胞分裂を助ける機能も備わっています。特に根の成長に必須である気孔の孔辺細胞にも関係します。日本で行われたアミノ酸に関する研究では、アミノ酸が気孔の開閉を効果的に制御し、細菌の侵入を防ぐ働きを持つことが発表されました。

    つまり、プロリンが配合されているテカミンマックスを使用することで気孔の調節による蒸散量の制御や細菌の侵入を防ぐ効果が見込め、植物の健康や品質に関して重要な役割を果たすと考えられるのです。

    加えて、植物の着果の改善や、種子の成長促進においても効果が期待できます。プロリンは多方面で研究がなされており、一般的なバイオスティミュラントとしてだけではなく、特定の生理活性といった側面も持つ重要な成分なのです。

    アラニン

    アラニンは、エネルギーの生産において重要視されているアミノ酸成分です。1種類の酵素の作用によりグルタミン酸とピルピン酸としてエネルギー生産が行われるため、エネルギー不足の際には効果的なエネルギー源として役立ちます。

    アラニンはエネルギー生産の他に、次のような役割を担っています。

    • しおれを抑制する
    • 植物ホルモンのトランスポーター
    • 防衛物質の生成

    ストレス条件下では、アラニンにも植物のしおれを抑える役割があります。特に高温や長時間の日照でのしおれに対して効果的です。これはテカミンマックスが植物に与える効果の一例にも該当します。

    さらに、注目すべきアラニンの機能として、植物ホルモンのトランスポーターとしての役割が挙げられます。オーキシンやジャスモン酸、サリチル酸などの植物ホルモンと結合し、植物の成長と健康に大いに役立ちます。土壌中の微生物が生成するオーキシンとアラニンが結合することで、オーキシンがあるべき適切な器官に効率よく運ばれ、必要なぶんだけ蓄えられていきます。

    オーキシンはアラニンと結合することで初めて植物の成長と発達に役に立つ、活性の高い植物ホルモンです。逆に結合しないままの単体では適切な器官に運ばれてないため、力を効果的に発揮できないのです。たとえば根や茎ではオーキシンは活性化しますが、花や葉、果実ではうまく機能しません。このような特性があることから、オーキシンを効果的に機能させるためにも、アラニンは植物の成長において必須の成分なのです。

    アスパラギン酸

    アスパラギン酸は、プロリンやアラニンと同様、気孔を開閉する役割を担っています。

    細胞膜を損傷させず、整ったまま維持させるのに役立つほか、浸透圧ストレスに対しての耐性を高める点も注目されています。

     

    グリシン

    グリシンは、主に茎の成長とクロロフィルの生成に役立ちます。

    たとえば、水1リットルに対して10mgのグリシンを植物に与えることで、草丈や茎のサイズを通常よりも太く成長させることができます。これは、茎に蓄積される糖分のエネルギーによって、より大きく成長させているのです。また、グリシンは葉を緑色にするクロロフィルの生成にも影響します。

    テカミンマックスに含まれるグリシンは少量ですが、ほかのアミノ酸との組み合わせにより高い相乗効果を望めます。

     

    ベタインの特性と植物への影響

    ベタインとはアミノ酸誘導体の一種で、植物の葉緑体で形成されています。これまでのアミノ酸と同様、植物が健康に成長するために必要な有機成分です。

    ベタインは、水分ストレスや高温などの環境ストレスに対する植物の耐性を高める役割を果たします。しかし、全ての植物が同じ量のベタインを生成するわけではなく、種によっては自然にベタインを蓄積することが知られています。例えば、一部の耐塩性植物や乾燥地帯に自生する植物は、高いレベルのベタインを合成し、ストレス環境下での生存を支援します。一方で、稲やナス、トマト、タバコなど、ベタインの自然蓄積量が非常に少ない植物も存在し、これらの植物は外部からのベタインの補給によりストレス耐性が向上する可能性があります。そのため、ベタインの外部からの補給は、これらの植物におけるストレス応答の改善に役立つことが期待されます。

    ベタインは主に、次のような役割を果たします。

    • 生物学ストレスから光合成を保護
    • 浸透圧バランスの改善
    • 細胞の脱水を防ぐ

    テカミンマックスにはベタインが豊富に含まれているため、植物の細胞膜を安定させ、冷害から守る効果も期待できます。また、雨や害虫によってダメージを受けた際の回復にも大いに役立ちます。

    まとめ

    今回はバイオスティミュラント製品であるテカミンマックスの主要な成分にフォーカスし、その役割や機能について解説しました。

    テカミンマックスは、植物の健康や成長を促すために活用する一般的なバイオスティミュラント製品です。グルタミン酸など5種類のアミノ酸を中心に豊富な有機物が配合されており、植物の成長の手助けはもちろん、育成環境によって抱える様々なストレス症状を改善するのに役立ちます。

    次回はアミノ酸や光合成に着目しながら、テカミンマックスの働きをさらに深堀していきます。

    【次回Vol.2のリンクはこちら ↓ 】

    アグリテクノ社のクロップ担当が語る"テカミンマックスとは?:成分と作用メカニズムを理解して、作物のポテンシャルを最大限に引き出せ" Vol.2 (agritecno-japan.com)

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