AgriTecno社のクロップ担当が語る"テカミンマックスとは?成分と作用メカニズムを理解して、作物のポテンシャルを最大限に引き出せ" Vol.3(全4回)

チュートリアル 更新日:

 

当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】Tecamin Maxとは何か?目から鱗の作用メカニズムが全てわかる!スペインのテクニシャンによる科学的見地からのハイレベル講義。基本のアミノ酸バイオスティミュラントを徹底解説」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

当連載のVol.1ではバイオスティミュラントの役割やテカミンマックスの主要成分について、Vol.2では主要成分ごとの具体的な役割とテカミンマックスの作用機序について解説しました。

Vol.3となる今回は、テカミンマックスを実際に植物に与えた事例をもとに、どのように施用し、結果どのように作用したのかを詳しく解説します。とうもろこしやトマトの事例を見ながら効果を比較していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

    テカミンマックスを施用するメリット

    改めてテカミンマックスの成分と作用機序を振り返ってみましょう。

    テカミンマックスを植物に与えると、生理的プロセスにおいて多方面で効果を発揮します。なかでも、特に注目すべきは次の3点の作用機序です。

    • クロロフィル合成と光合成への貢献
    • 水分保持と塩分ストレス緩和
    • アミノ酸によるエネルギー節約と代謝の促進

    クロロフィル合成と光合成の過程では、テカミンマックスに含まれるグルタミン酸が貢献しています。グルタミン酸は、光合成に必要なタンパク質の合成に関わるアミノ酸の一つであり、クロロフィル自体の直接的な前駆体ではありませんが、タンパク質合成において重要な役割を果たし、これらのタンパク質は光合成プロセスやクロロフィルの結合・安定化に不可欠であるため、グルタミン酸は光合成の効率化に寄与・貢献していると考えられます。

    植物の成長に欠かせない光合成では、クロロフィルが中心となり、太陽光から光エネルギーを得ながらいくつもの酵素と結びつき、化学エネルギーによってグルコースや酸素を合成します。この中心的要素であるクロロフィルもまた、グルタミン酸がいくつもの酵素と合成を繰り返して誕生する成分です。つまり、テカミンマックスに含まれるグルタミン酸は光合成プロセスに大きく貢献しており、重要な役割を担っています。 

    水分保持と塩分ストレス緩和には、アミノ酸であるプロリンが作用します。プロリンが持つ複数の役割のなかでも、水分保持は植物の健康維持において特に重要です。塩分ストレスの緩和も、プロリンが担う浸透圧調整の役割によって起きる効果です。

    アミノ酸によるエネルギー節約のメカニズムは、代謝プロセスの効率化と密接に関連しています。植物が成長する過程で、アミノ酸は代謝活動に直接関与し、これにより必要なエネルギー消費を最小限に抑えます。具体的には、外部から供給されたアミノ酸が、植物内でのアミノ酸の合成に必要なエネルギーを節約することで、植物が他の成長活動にそのエネルギーを再配分できるようにします。さらに、アミノ酸は植物の代謝活動を活性化させることで、ストレス条件下でも生存と成長のために必要な物質の合成が効率的に行われるようにするのです。このようにアミノ酸は、植物がエネルギーをより効率的に利用し、成長を最大化するのを助けます。しかし、何らかのストレスが加わった場合、アミノ酸を生成する代謝活動そのものが不安定となり徐々に生成されなくなります。

    そのような場合、植物は不足しているアミノ酸を生成しようと、代謝活動を活性化するためにより多くのエネルギーを費やします。結果、各器官でエネルギーの奪い合いが起こり、花や根、果実にまでエネルギーが届かずに生育不良となるのです。

    そこでアミノ酸配合のテカミンマックスを与えることで、代謝活動の活性に必要なアミノ酸を補充、各器官での奪い合いを避けるとともに、ストレスによっては症状回復にも作用します。

    これらの作用機序により、テカミンマックスを植物に与えることで次のメリットがあるといえます。

    1. 成長促進
    2. 収量増加
    3. 品質向上

    これらひとつひとつについて、事例も交えて解説しましょう。

    1.成長促進

    テカミンマックスによって得られるメリットのひとつ目は、植物全体の成長促進です。これはテカミンマックスに配合されているアミノ酸の効果によるもので、特に根の発達に作用します。

    テカミンマックスはアミノ酸をはじめ、タンパク質やベタインなど様々な有機成分がブレンドされたバイオスティミュラント製品で、アミノ酸は全体の12%ほどを占めています。また主要なアミノ酸を5種類配合しており、それぞれ異なる役割を果たしています。

    主要アミノ酸名 役割
    グルタミン酸 成長に必要なエネルギー源。クロロフィル合成や酵素の活性化や病原菌の抑制など
    プロリン 細胞内の浸透圧調整による水分保持。シャペロンとしてストレス緩和や保護の役割も。
    アラニン エネルギー源となり他のアミノ酸を生成。しおれの抑制や植物ホルモンと結合するトランスポーターなど
    アスパラギン酸 気孔の開閉による浸透圧ストレス耐性の向上
    グリシン 気茎の成長、クロロフィル合成に貢献

    2.収量増加

    アミノ酸の役割により、成長促進と併せて収量が増加するメリットもあります。アミノ酸を与えることで十分なエネルギーを得た植物は、花を咲かせて新しい芽を育てます。果実に関しても同様です。果実の場合はさらに大きさや糖度の向上効果も比例します。

    糖度を決めるのは、光合成などにより生成されるグルコースです。アミノ酸を供給することで光合成に施用されるグルコースを節約し、その分、果実を大きく甘さのあるものに育てるエネルギーへの活用が可能なのです。

    5つの主要アミノ酸の役割と与えるメリットをふまえて、まずは成長促進と収量増加に関する事例を見ていきましょう。

    適用事例と結果

    1)とうもろこしの場合

    こちらの写真は、ブルガリアでのとうもろこし栽培状況を示したものです。左の写真にあるとうもろこしは環境ストレスを受けており、生育状況があまり好ましくないものでした。そこでテカミンマックスの散布を始めたところ、わずか10日後には右の写真のようにはっきりと状況が改善されました。

    つまりテカミンマックスを使用することでとうもろこしのストレス症状が緩和され、さらには成長促進に繋がったのです。これは、アミノ酸のなかでストレス緩和の役割があるプロリンやアラニン、成長エネルギー源であるグルタミン酸の効果によるものと考えられます。

    ストレスが緩和され、成長に使えるエネルギーが補給されたことにより、エネルギーの競合がなくなり、根や葉まで十分にエネルギーが運ばれた証といえるでしょう。このように様々なストレスが重なる環境下でも、テカミンマックスの散布により短期間で明らかな改善が見られました。

    さらにこの事例における興味深い点は、テカミンマックスの供給と同時に、根や茎を大きく成長させる肥料である尿素の使用量を減らしたことです。尿素を減らせば成長具合にも影響しそうですが、その状況下でもテカミンマックスの成長促進効果がしっかりと発揮されたのです。

    とうもろこしの場合、通常1ヘクタールあたり150㎏の尿素を散布していましたが、この事例ではテカミンマックスの散布量に反比例する形で尿素の使用を100㎏、50㎏、0㎏と段階的に減らしてみました。

    すると尿素の使用量を減らしたにもかかわらず、根の発達をはじめとする植物全体の成長促進が観察されました。つまり、テカミンマックスの成長促進作用は、尿素の代わりとしても十分機能することが立証されたのです。

    このことから、生育時の尿素使用料を減らしたとしても、テカミンマックスには十分に植物の成長をサポートし促進する作用があるといえます。成長促進に伴う収量についても、テカミンマックスを施用した畑のほうが、施用していない畑に比べて増加したとの結果がでています。

    尿素とテカミンマックスの割合を変えていくつかの組み合わせを作り、それらの区域ごとに散布してみたところ、尿素の使用量を減らし、その分テカミンマックスを多めに組み合わせたパターンが最も良好な結果をもたらしました。

    たとえば、上の表のように尿素150㎏のみを施用したT1区域と適量のテカミンマックスのみを3回散布したT6区域とで比べてみましょう。テカミンマックスのみを施用したT6区域で栽培したとうもろこしのほうが、粒が大きく数も増え、最終的に1ヘクタールあたり1トン以上の収量増加となりました。つまり収量増加の結果から見ても、テカミンマックスが尿素の代わりとしてとうもろこしの成長促進に貢献したことがはっきりと分かります。

    それではなぜ、尿素とテカミンマックスとで収量にここまで差が開いたのでしょうか。理由は、テカミンマックスの作用により根の発育が良くなり、結果としてリン酸の吸収率がアップしたためだと考えられています。

    リン酸には、開花をサポートしたり、果実の付きを良くしたり、成熟を促進したりと、果実の品質を高める様々な役割があります。尿素単体よりも根の発育が進んだ結果、より多くのリン酸の吸収が可能となり、収量増加に繋がったと考えられます。

    ただし、これはあくまでひとつの可能性にすぎません。収量増加に繋がったのは、リン酸の吸収率アップに加え、他のプロセス改善にも貢献したからであると考えられます

    ある専門家による考えでは、テカミンマックス単体を施用した場合の収量増加は、病害の減少が大きな要因であるとしています。実際にテカミンマックスを施用した区域では、無施用区と比べて病害の発生率が減少しました。これはアミノ酸のなかでもテカミンマックスに多く配合されているグルタミン酸が、病原菌の発生を抑える役割を果たした結果とも推測できます。

    テカミンマックスは植物の生理的プロセスに作用するバイオスティミュラント製品ですので、いくつものプロセスに貢献した結果が積み重なり、収量増加をもたらしたといえます。

    2)トマトの場合

    続いては、中国でトマトの栽培にテカミンマックスを施用した事例を紹介します。

    下の写真は左がテカミンマックス無施用、右がテカミンマックスを施用したトマトの栽培状況を示したものです。まずは茎の太さに注目してみてください。

    ペンと比較して分かるとおり、テカミンマックス無施用のトマトの茎はペンよりも細身であるのに対し、テカミンマックスを施用したトマトの茎は明らかに太く成長しています。また、葉の成長度合いにも差が確認できます。これはアミノ酸が光合成プロセスに大きく貢献したからであろうと推測できます。

    葉は光合成を、茎は水分と糖分を運び蓄積する器官です。糖を生成する光合成に貢献するグルタミン酸の効果にプラスしてアミノ酸が補給されたことで、多くの糖類が蓄積できるよう成長したのでしょう。

    またトマトの栽培においては、茎や葉の成長だけではなく開花への影響も明らかになりました。

    テカミンマックスの散布により、開花プロセスが均一になることが確認されました。無施用区では花の付き具合や大きさ、色が均一でないのに対して、テカミンマックスを施用した場合はすべての花がほぼ同じ大きさになり、開花のタイミングも揃っています。そのため、トマトの収穫時期が均一となり、より豊富な収穫が期待できるのです。

    次にアルゼンチンでのトマト栽培の事例です。下の写真の左列はテカミンマックス無施用、右列には1ヘクタール辺り3リットルのテカミンマックスを10日間散布しました。

    見てわかるとおり、左右ではっきりと成長の差が現れました。右のテカミンマックスを施用したほうが葉の枚数も多く、全体的に大きく成長しています。中国での事例同様、茎や葉の成長が促進された結果といえるでしょう。

    また、果実にも良い影響を与えており、収量にも大きな効果がありました。テカミンマックス無施用の苗から収穫したトマトの重量が1個あたり平均221gであるのに対して、テカミンマックスを散布したトマトは平均320gと約45%も増加したのです。

    左の写真を見ると、テカミンマックスを散布した右列のトマトの方が大きく、赤く熟し始めています。また右の2日後の写真では、右列のテカミンマックス施用のトマトはすでに収穫された様子が見られますが、左列の無施用のほうはまだ熟しておらず、収穫には至っていません。つまり、生育環境は同じでも、テカミンマックスの施用だけで成長促進による収量の差が現れることが明確になりました。これは、テカミンマックスの作用であるエネルギーの節約により各器官にしっかりとグルコースが行き届いている結果であり、なおかつ代謝活動が促進されることでエネルギーが高まっている状態であるともいえます。

    今回のとうもろこしとトマトの事例を見ても、テカミンマックスがいかに植物の成長プロセスに有効に作用しているか、いかに結果に大きく貢献しているかをご理解いただけたことでしょう。

    まとめ

    今回は、これまでの記事で解説したテカミンマックスの成分と主要なアミノ酸の役割、テカミンマックスの作用機序を簡単におさらいするとともに、実際に施用した適用事例をお伝えしました。

    テカミンマックスは、植物の成長を助ける尿素の代用としても十分機能するほど、成長促進効果が高いバイオスティミュラント製品です。テカミンマックスだけでも効果は十分ですが、植物によっては尿素と組み合わせての散布も良好な結果が期待できます。アミノ酸による成長促進の効果は最終的に果実にも影響し、1個あたりの大きさや重さ、収穫期間の短縮など、収量増加に大きく貢献します。

    この連載の最終回となる次回Vol.4では、テカミンマックスを施用するメリットである品質向上に焦点を当て、さまざまな植物の事例をもとに解説していきます。

     

    【次回Vol.4のリンクはこちら ↓ 】

    AgriTecno社のクロップ担当が語る"テカミンマックスとは?成分と作用メカニズムを理解して、作物のポテンシャルを最大限に引き出せ" Vol.4 (agritecno-japan.com)

    【前回Vol.2のリンクはこちら ↓ 】

    アグリテクノ社のクロップ担当が語る"テカミンマックスとは?成分と作用メカニズムを理解して、作物のポテンシャルを最大限に引き出せ" Vol.2 (agritecno-japan.com)

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