この記事では、味の素ヘルシーサプライ株式会社がアグリテクノ社とのパートナーシップの基で提供しているバイオスティミュラント製品「テカミンマックス」について、対話形式でやさしく解説します。
3回目となる今回は、テカミンマックスの含有成分についてお伝えします。テカミンマックスにはどのような成分が含まれていて、どのように機能するのでしょうか。ぜひお気軽にお読みください。
目次
【登場人物】
■池田亜美(あみちゃん)
農家を営む親戚がいることから、農業に興味を持ち始めた小学6年生の女の子。研究熱心で親戚からいろいろ教わっている。
■アグリ先生
あみちゃんの親戚で農業を営んでいる。農業資材にも詳しく、あみちゃんからは先生と呼ばれ慕われている。
5種類の遊離アミノ酸とベタイン
アグリ先生
ー これまでテカミンマックスについて説明してきたけど、なんとなく理解できたかな?
あみちゃん
ー はい、テカミンマックスはバイオスティミュラントっていうもので、植物に与えると早く大きくなったり病気に強くなったりするんですよね?
アグリ先生
ー うん、ちゃんと覚えてくれてるね。あみちゃんの言うとおり、テカミンマックスには植物生長の促進とストレス耐性の向上っていう2つの効果が期待できる。じゃあ、なぜテカミンマックスにはそのような効果があるのかというと、テカミンマックスに入っているいろいろな成分が関係しているんだ。
あみちゃん
ー テカミンマックスにはどんな成分が入ってるんでしたっけ? 聞いたような、聞いてないような・・・。
アグリ先生
ー テカミンマックスの詳しい成分はまだ話していなかったね。じゃあ今回は、テカミンマックスの成分について教えようね。
テカミンマックスには、5種類の遊離アミノ酸と、有機物のベタインが含まれているんだ。

この6つの成分は、植物の生育をサポートする役目としてとても優秀で、植物の代謝活動に影響を与えるんだよ。
あみちゃん
ー うーんと、代謝ってなんでしたっけ・・・。
アグリ先生
ー 植物が生きるために行うさまざまな活動のこと。テカミンマックスには、その代謝に直接的に働きかける重要な成分が含まれているんだ。
さっき出てきた5つの遊離アミノ酸は、植物の生長促進やストレス耐性の向上に不可欠な存在だ、ということをまず覚えておいてほしい。
そして、もう一つの大切な成分であるベタインは、植物が乾燥や塩分といったストレスに耐えられるようサポートしてくれるんだよ。
また、これらの成分は、植物がストレスで受ける傷から回復するのを助けてくれたりもする。遊離アミノ酸は、植物がストレス状態にあるとき、特定のアミノ酸が生化学的なシグナルとして機能し、ストレス応答経路を活性化させるんだ。これにより、植物は環境ストレスに対する防御機構を強化することができる。
一方、ベタインは細胞内の浸透圧を調整する役割を持っていて、これがストレス条件下での水分保持に非常に重要なんだ。水分が保持されることで、細胞はストレスによる損傷から守られ、植物全体の生存率が向上するんだよ。
じゃあ、それぞれの成分がどういう役割を担っているのか、詳しく見てみよう。
1)グルタミン酸

あみちゃん
ー 先生、はじめにグルタミン酸について教えてください。
アグリ先生
ー そうしようか。グルタミン酸は天然由来の成分で、植物の窒素同化プロセスにおいて、なくてはならない存在なんだ。
あみちゃん
ー 窒素同化?
アグリ先生
ー 聞き慣れない言葉だよね。窒素同化っていうのは、植物が土から吸収した窒素を使って、自分の成長に必要なタンパク質や他の栄養素に変える仕組みのことだよ。
グルタミン酸は、植物が健康に成長するためにとても大切な成分なんだ。これがあると、植物は土から栄養を上手に取り入れることができるんだよ。
あみちゃん
ー へえ、植物も食べ物が必要なんだね!
アグリ先生
ー そうだよ。植物にとっての「食べ物」っていうのは、空気や水、そして土の中の特別な成分から作られるんだ。グルタミン酸は、その中でも「スーパー助っ人」みたいなもので、植物が元気に育つのを助けるんだよ。
あみちゃん
ー スーパー助っ人、かっこいいね!グルタミン酸ってすごいんだね。

アグリ先生
ー 土から吸収された窒素は、アンモニウムイオンへと変換されて、さらに植物体内で必要とされるアミノ酸やタンパク質へと進化するんだけど、この一連の流れをグルタミン酸が早めてくれるんだ。
窒素同化の仕組みは、植物が育つうえで大事な代謝活動のひとつなんだ。だから、植物がグルタミン酸をたくさん体内に取り入れられれば、そのぶん、いつもよりも多くの窒素を効率的に利用できるようになる。

植物体内では窒素のまま各器官に運ばれることはなくて、主にグルタミン酸やアスパラギン酸の姿で運ばれていくよ。
そして、グルタミン酸は、他のアミノ酸やタンパク質、核酸などが作られるときに中心的な役割を果たす存在として活躍するんだ。

そのおかげで、植物生長を促すだけではなく、健全な発達を支える構成要素が作られるんだよ。
あみちゃん
ー グルタミン酸が活躍してくれるから、植物に必要な成分を作れるんですね。
アグリ先生
ー それ以外にも、グルタミン酸はクロロフィル合成や光合成の効率化にも貢献してくれるんだ。グルタミン酸自体が直接クロロフィル合成を促進するわけではないんだけど、グルタミン酸は光合成産物を生成するためには欠かせないアミノ酸なんだ。
植物にとって光合成は大事な代謝活動のひとつなのは、あみちゃんも知っているよね。光合成は、植物が太陽の光をエネルギーに変える仕組みのことで、このエネルギーを使って、植物は空気中のCO2(二酸化炭素)と水から、自分の食べ物を作るんだよ。グルタミン酸には、光合成の効率をあげてくれる働きがあるんだ。

クロロフィルを作るのに不可欠なタンパク質合成をサポートすることで、たくさん光合成ができるし、光合成によってグルコースや酸素が作られるよ。
あみちゃん
ー グルタミン酸って植物が大きくなるのをこんなに手伝ってるんだ。すごいね!
アグリ先生
ー そうだね。グルタミン酸は窒素同化と光合成の両方のプロセスで大事な役割を持っていて、他のアミノ酸やタンパク質が作られる時の助っ人として活躍するんだ。でも、グルタミン酸の働きはまだあるよ。環境ストレスに対しての耐性を高めるのもグルタミン酸の機能だ。

特に、グルタミン酸は植物がストレスによるダメージ状態から回復するのを助けてくれるんだ。植物が厳しいストレス環境でも生きていけるように、より強くしてくれる大切な成分なんだ。
2)アラニン

あみちゃん
ー 次はアラニンという成分について教えてください。
アグリ先生
ー アラニンもグルタミン酸と同じように、植物が受ける環境ストレスへの防御の仕組みを助けてくれる成分なんだ。

もう少し詳しく説明すると、アラニンはストレスに対応するために、タンパク質合成を促す働きがあるんだよ。細胞を守ってくれたり、傷ついた細胞を修復したりする役割がjタンパク質にはあるんだ。
だから、植物の細胞を保護しながら回復するタンパク質合成をアラニンが手伝うことで、厳しい環境でも生きていけるよう生存能力が向上する、というわけなんだ。
あみちゃん
ー アラニンがタンパク質作りを助けてくれるんですね。ほかにはどんな働きがあるの?
アグリ先生
ー アラニンには植物体内でのエネルギー源としての役割もあるよ。他のアミノ酸の合成にも関係していたり、また、植物ホルモンと結合するトランスポーターとしての役目もあるんだ。
アラニンはこんなにたくさんの役割を担っていることから、植物の成長調節においては中心的な存在でもあるよ。
あみちゃん
ー アラニンって植物のためにたくさん働いているんですね。何個も役割があって大変・・・。
アグリ先生
ー 実はね、もう一つ大事な働きがアラニンにはあるんだ。それは、植物のしおれを抑える効果だよ。

植物がしおれるのは、主に土の水分不足や土の塩分が原因となっている。アラニンは働きものだから、こうしたストレスを和らげる働きもあるんだ。そのおかげでしおれの症状が出にくくなって、植物の健康状態が維持されるんだよ。
あみちゃん
ー アラニンが植物内でいろいろな働きをしてくれることで、植物の健康が守られるんですね。
3)プロリン

あみちゃん
ー 次はプロリンについて教えてください。
アグリ先生
ー プロリンは、植物が受ける様々なストレスに対応できる有能なアミノ酸なんだ。他のアミノ酸にもストレス耐性を高める効果があるけど、プロリンは特にストレスに深く関係しているんだ。
プロリンもアラニンと同じで、乾燥や塩害、極端な温度といった環境ストレスから身を守るための防御システムを助けてくれるんだよ。ストレスに対応するタンパク質の合成を促すことで、植物細胞を保護したり回復を助けてくれるんだ。
あみちゃん
ー アラニンと似てるような?
アグリ先生
ー そうだね。ただ、プロリンは植物の細胞内で浸透圧を調整して、細胞から水分が逃げないようにコントロールしてくれるんだよ。
さらにプロリンには2つ、大切な仕事がある。

ひとつめは、塩分ストレスを和らげる仕事だ。塩分濃度が高い場所に置かれた場合も、その塩分ストレスを受けないよう、植物内にある細胞の水分バランスを調整してくれるんだ。
ふたつめはストレス緩和や細胞を保護する役割があるシャペロンとしての働きだ。傷ついた細胞構造を修復したり守ったりしているんだよ。
4)グリシン

あみちゃん
ー 先生、グリシンっていう成分もストレスに関係するんですか?
アグリ先生
ー うん、グリシンは植物の生存能力を高めるのに必要不可欠なアミノ酸だよ。ほかのアミノ酸と一緒で、グリシンにも防御メカニズムをサポートする役割があったり、ストレスに負けないようにタンパク質の合成も促進させたりするよ。
そしてグリシンならではの機能といえば、気茎の成長がある。これによって植物の構造的強度と生育をサポートしているんだよ。
あみちゃん
ー 気茎の成長ってなんですか?
アグリ先生
ー あみちゃんは小さいときと比べて、ぐーんと身長が伸びたでしょう? 植物の茎も背伸びするようにぐんぐんと成長するんだ。そのことを、気茎の成長っていうよ。グリシンが気茎にある細胞の分裂を促進させることで、植物はより効率的に水分と栄養を体内に巡らせることができるんだ。その結果、植物の背がぐんと伸びるんだよ。
それともうひとつ、グリシンの働きで忘れてはならないのが、クロロフィル合成への貢献だ。
あみちゃん
ー えーと、クロロフィルってさっき聞いたような・・・グルタミン酸のときでしたっけ?
アグリ先生
ー そう。ちゃんと覚えてたね。あらためて説明すると、クロロフィルは植物にとって大切な代謝活動である光合成に関係する色素なんだ。つまり葉緑素のこと。
光合成は、太陽からのエネルギーである日光を科学的なエネルギーに変換するんだけど、そのためにはクロロフィルが必要となる。その重要なクロロフィル合成を助けるのがグリシンなんだ。グリシンがクロロフィル合成を手伝うことで、植物は効率よく光合成ができるようになるし、成長に必要なエネルギーを作り出すことができるんだ。
光合成にはクロロフィルが必要で、クロロフィル合成にはタンパク質が必要で、グリシンがサポートしてくれる。さらにタンパク質を作るにはグルタミン酸が関わっていて・・・植物っていろんな成分がつながって働いてくれるから成長できるんだね。
5)アスパラギン酸

アグリ先生
ー 次のアスパラギン酸でアミノ酸の説明は最後だよ。アスパラギン酸は、植物にとっては窒素代謝に関係する大切なアミノ酸なんだよ。
あみちゃん
ー 窒素代謝? 窒素って、グルタミン酸の働きのときにも名前が出てきてました。
アグリ先生
ー ちゃんと覚えてたね。グルタミン酸の時にも説明したように、窒素もタンパク質と同じで、植物が成長するためには必要な栄養素なんだ。人間にも窒素が必要なんだけど、植物も窒素がないと大きくなれないんだよ。

植物はね、土から窒素を吸収しているんだ。吸収された窒素は、最初にアンモニウムイオンに変身してさらにパワーアップする。そして、アスパラギン酸を含むさまざまな形に変化しながら、植物体内を移動していく。
こうして植物内の各器官に運ばれて、さらに他の栄養素に進化するために使われるんだ。この流れが窒素代謝というものだよ。グルタミン酸のときの窒素同化も、窒素代謝のうちのひとつの仕組みなんだ。
窒素が進化する先には、アスパラギン酸があったよね。窒素が他の栄養素の材料となって進化するように、アスパラギン酸もまた他のアミノ酸やタンパク質に進化するんだ。窒素がアスパラギン酸になって、アスパラギン酸も別の栄養素になるんだよ。
あみちゃん
ー うーん、こんがらがってきたかも・・・
アグリ先生
ー ようするにね、アスパラギン酸は窒素代謝に深く関わっていて、他のアミノ酸に変換されることで植物が生きるための活動を強化しているんだ。
あみちゃん
ー アスパラギン酸がいろいろなアミノ酸に変化して植物を強くしているってこと?
アグリ先生
ー そう、簡単に言うとそういうことだね。
もうひとつ、アスパラギン酸は環境ストレスのなかでも、特に浸透圧ストレスに対する耐性を高めてくれるんだ。あみちゃんは葉っぱにある気孔ってわかるかな?
あみちゃん
ー 気孔って、植物が呼吸するところでしたよね?
アグリ先生
ー そうそう。アスパラギン酸には、気孔の開け閉めをコントロールする働きがあるんだよ。

植物が乾燥や塩分のストレスを感じると、実は気孔から水分が蒸発してしまうようになっているんだ。だけど、アスパラギン酸がコントロールしてくれると、必要以上に水分が逃げなくてすむんだよ。
6)ベタイン

あみちゃん
ー 最後はベタインについて教えてください。最初のほうで、ベタインもストレス耐性を高めるって言っていたと思うんですけど、ベタインはアミノ酸ではないんですか?
アグリ先生
ー ベタインはアミノ酸とは違って、有機化合物という天然成分なんだ。確かに、ベタインもアミノ酸と同じように、植物の生育とストレス耐性に関して重要な役割を担っているよ。
あみちゃん
ー 重要な役割って、どんなことですか?
アグリ先生
ー 細胞の浸透圧をコントロールして、水分バランスを維持することだね。

植物がストレスを受けても、ベタインの働きが細胞内の水分を維持してくれるんだよ。そのおかげで植物内の水分バランスが保たれるから、葉がしおれたり枯れたりといったストレス症状になりにくくなるんだ。植物にとってつらい環境でも成長できるように強くなるんだね。
あみちゃん
ー 植物にとっても水分は大事ですものね。ベタインは大切な水分を無くさないように頑張ってくれるんですね。
アグリ先生
ー そうだね。もうひとつ、ベタインは細胞膜とタンパク質の安定化にも貢献してくれるよ。ベタインのおかげで細胞膜の構造が強くなって、タンパク質がちゃんと本来の働きをするようになるんだ。細胞とタンパク質のどちらもサポートしてくれるから、植物はより強くなる。
あみちゃん
ー ベタインは植物にとって頼もしい存在なんですね。
〜アグリ先生の補習講義〜 ベストブレンド製品として
植物の代謝メカニズムはたくさんのサイクルがあり、相互に関係し、相関しているため非常に複雑です。
足りないものがわかっているのであれば、単純にその足りない何かを足してあげれば良いのですが、そのような場面は実際には少ないのが現状です。
テカミンマックスに含まれている成分が、より多く含まれている製品もあるかもしれません。しかし、成分を過剰に含んでいるもののほうが効果的かというと、実はそうではありません。
全てはバランスであり、植物の代謝を広くサポートやアシストするに足りる成分が、幅広く入っていることが非常に重要です。
製品を選ぶときには、どうしてもわかりやすい数字に目がいってしまいます。しかし、バイオスティミュラントにおいては、どの成分が何%入っているとかはあまり重要ではありません。バイオスティミュラントは植物に何か特別なエネルギーを投与するものではなく、植物が本来持っている力を引き出すものだからです。
テカミンマックスは、アグリテクノ社の技術者が個別の代謝活性試験、遺伝子発現試験およびポッド試験を繰り返し、たどり着いたベストブレンドです。そのため、幅広い植物に対応し、生育初期から使えるのです。

テカミンマックスに含まれる成分は植物の成長を促進し、ストレスからの回復をサポートを目的として構成されています。
主要成分である遊離アミノ酸は植物体内で直接的に代謝に利用され、栄養素の吸収と利用効率を高めることで植物の生育を加速させる役割を、またこれらのアミノ酸とベタインはストレス耐性・回復力を高める役割を担っています。
まとめ
今回は、テカミンマックスの主要成分である遊離アミノ酸5種とベタインについて解説しました。


次回はテカミンマックスの具体的な施用方法について、より分かりやすく解説します。引き続きぜひご覧ください。
【次回最終話の「ゼロからわかるテカミンマックスその4」のリンクはこちら ↓ 】
ゼロからわかるテカミンマックス その4(全4回) (agritecno-japan.com)
【「ゼロからわかるテカミンマックス」のリンクはこちら ↓ 】
ゼロからわかるテカミンマックス その1(全4回) (agritecno-japan.com)
ゼロからわかるテカミンマックス その2(全4回) (agritecno-japan.com)