アグリテクノの根幹:自然模倣、植物本来の力を引き出すバイオスティミュラント革命 Vol.3(全4回)

チュートリアル 更新日:

 

当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】アグリテクノの製品はなぜ効果があるのか?農業技術の専門家が科学的に解説します」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

【 注目を集めているバイオスティミュラント資材】

目次

    アグリテクノのバイオスティミュラントと実践的応用

    前回Vol.2では、自然界の植物が、高温などのストレスに対応するメカニズムを具体的に解説しました。またアグリテクノ社のバイオスティミュラントが、そのメカニズムをいかに応用し植物の耐性を向上させているかも事例とともに紹介しました。

    今回は、アグリテクノ社のバイオスティミュラントが自然の耐性メカニズムをどのように応用して製品開発しているのか、そして特定の成分が実際に植物の成長と耐性にどのように貢献しているのかについて、具体的な事例と科学的根拠をもとに解説します。

    アグリテクノのバイオスティミュラント

    製品開発の基礎

    アグリテクノ社のバイオスティミュラント製品は、自然界の植物がストレスに対応するプロセスを模倣して開発されています。

    植物は、気温が高いことを感じ取ると、いろいろなシグナルを送ります。これらのシグナルが植物の遺伝子を活性化させ、特定の酵素を生み出します。特定の酵素は、外部の刺激に反応して活性化する生理活性物質を作り出します。こうして作り出された生理活性物質は、植物の種子や茎、塊茎、根などの細胞である器官に蓄えられていきます。

    つまり植物の器官には、過度な高温などの特定の問題を乗り越えるのに役立つ生理活性物質がたくさん含まれています。植物の器官から取り出せる生理活性物資を活用することは、高温などの問題に対する防御策となり、植物の耐性を向上させられるのです。

    植物が高温にさらされた時に生成する生理活性物質のひとつにヒートショックタンパク質があります。ヒートショックタンパク質は、熱により活動が低下した酵素と結びつき、酵素を修復して活性化させる働きをもった物質で、熱によって変性した他のタンパク質の正しい折りたたみを助け、細胞の機能維持に貢献します。このプロセスによって、植物は高温環境下での生存能力を向上させることができるのです。

    アグリテクノ社のバイオスティミュラントを植物に与えると、このヒートショックタンパク質がより多く作られます。これは植物に与えられたバイオスティミュラントが、ヒートショックタンパク質を作るための関連遺伝子を活性化させた結果です。

    アグリテクノ社のバイオスティミュラントには、植物から抽出した生理活性物質のほか、生理活性物質の生成を促す物質も含まれています。これらを含むバイオスティミュラントを植物に使用すると、植物の遺伝子が刺激を受けて酵素が生まれ、生理活性物質の生産が活発になります。つまり、バイオスティミュラントを与えることが、植物のストレス耐性を向上させる助けとなっているのです。

    主原料として使用される複合物の科学的分析と、それが植物に与える相乗的効果

    アグリテクノ社の製品は高度に複雑ですが、その理由はいろいろな原料を組み合わせているからだけではありません。主原料自体が複雑で、それらを組み合わせることで複合的な製品が生み出されているのです。

    主原料の科学的分析

    アグリテクノ社のバイオスティミュラントの主原料を質量分析すると、ひとつの原料に200種類以上の有機化合物が含まれていることが分かります。質量分析とは、物質を原子や分子の細かいレベルまで分析し、何がどれだけ含まれているかを解析する調査です。多くの有機化合物が含まれているということは、植物体内で働くたくさんの分子が存在していることを示しています。これらの有機化合物は、各々が特定の生理活性を示し、抗酸化、成長調節、免疫調節などの機能を持ち、植物のストレス反応に重要な役割を果たします。

    例えば、ある化合物群は抗酸化物質として機能し、植物が環境ストレスに対してより強い耐性を持つようにします。また、別の化合物群は植物ホルモンの働きを模倣し、成長と発達を促進します。これらの成分が相互に作用することで、植物は高温、乾燥、塩害などの厳しい環境条件下でも生育を維持できるようになります。

    このように、バイオスティミュラントは単一の成分ではなく、その複合的な作用によって植物の生理機能を強化し、全体的な健康と生産性を向上させるのです。

    バイオスティミュラントの原料となる物質には数多くの有機化合物が含まれているため、単独で使用しても効果は得られます。しかし、複数の原料を組み合わせることで、さまざまな原料に含まれる分子が相乗効果を生むように働き、より効果を発揮します。特定の分子だけを使う方法もありますが、相乗効果を生むようなさまざまな分子をたくさん使う方が、はるかに効果が高いのです。

    実際に原料を定性分析してみると、下記のようなグラフになります。定性分析とは、物質にどのような成分が含まれているかの分析です。このグラフのピークがそれぞれ別の物質を示しています。つまり、アグリテクノ社のバイオスティミュラントの原料には、いろいろな物質がぎっしり含まれているということです。それだけではなく、この製品や原料を植物に使うと、植物の中にあるいろいろな遺伝子が活性化されるのです。

    例えば、光合成に関わる遺伝子、成長に必要な遺伝子、物質の運搬に関連する遺伝子、生合成プロセスに関連する遺伝子など、さまざまな遺伝子が活発に働くことが期待できます。このように複数の物質が相互に働くことで、より大きな効果が得られるのです。アグリテクノ社のバイオスティミュラントに含まれるオリゴ糖とポリアミンは、植物の抗酸化系と光合成能力を同時に強化することで、環境ストレスからの保護効果を高めます。

    相乗的効果の実例

    主原料の複雑な組成がどのようにして植物の耐性や成長に相乗的効果をもたらすのか、実際に植物に施用した例を見ていきましょう。

    例えば稲にポリアミンを葉面散布した場合、生産性が向上するのが分かります。ポリアミンは塩害にも効果的です。塩の多い土壌で使用することで、稲の収量を増加させることができるのです。

    「分けつ期」、すなわち稲の茎が育っていく過程で根元から枝分かれする時期に冠水した水稲に、ポリアミンを散布した例です。ここでは、代表的なポリアミンの一種であるスペルミジン(SPD)が使われています。冠水ダメージを受けた後に減少していた葉数、分けつ数、地上部乾燥重は、ポリアミン散布後いずれも増加しました。ポリアミンを使用することで、稲の酸化的損傷を緩和でき、最終収量の低下を抑えることができました。収量に関してほとんどの場合が、冠水していないコントロール区と同等かそれを上回る結果となっています。

    この例では、ポリアミン、ベタイン、アミノ酸など、植物の収量を増加させるために相乗効果を発揮する成分が豊富に含まれています。光合成を助けるポリアミン、浸透圧バランスを改善し水分ストレスに強いベタイン、植物の代謝活動に不可欠なアミノ酸が相互に作用するのです。

    実践的応用

    高温・熱ストレスに対する効果

    植物が過度な高温や熱ストレスにさらされた時、バイオスティミュラントは植物に対してどのような効果を発揮するのでしょうか。具体的な事例研究とともに見ていきましょう。

    高温や熱ストレスは植物にさまざまな影響を及ぼします。植物の酵素の活動は熱により機能停止し、働けなくなってしまいます。そして植物内で活性酸素が発生し、いろいろな物質が酸化してしまいます。また、熱による乾燥で植物の細胞内の水分は減少します。

    ある特定の原料を与えられた植物が、高温の環境下におかれた場合を観察し、植物の遺伝子で何が起きるのかを調べてみました。驚いたことに、たったひとつの原料を与えただけで、酵素を修復するヒートショックタンパク質を作るための関連遺伝子がいくつも活性化されたのです。つまり、アグリテクノ社のバイオスティミュラントによってヒートショックタンパク質が生み出されたということです。

    高温によって植物内で酵素の活性が低下すると、植物にとってさまざまな悪影響があります。光合成の速度が落ちたり、糖やエネルギーが減ったりと、ほかにも害を及ぼしていることが分かっています。

    アグリテクノ社の製品には200種類以上の成分が含まれているため、これらが一緒に作用し、さまざまな問題を解決します。植物にバイオスティミュラントを与えると、植物は自力で作るよりも多くのヒートショックタンパク質を作ることができます。ヒートショックタンパク質は活動の低下した不活性酵素と結びつき、酵素を活性化させます。活性が修復された酵素が働くことで、光合成の減少や細胞の劣化といった植物の健康な成長に関わる問題も解決するのです。

    特定成分の貢献

    アグリテクノ社のバイオスティミュラントに含まれる成分には、植物がもつ耐性メカニズムを促進する働きがあります。数多くある成分のなかから、オリゴ糖とポリアミンについて詳しく紹介します。

    オリゴ糖

    植物が高温ストレスにさらされた時、熱によって酵素の働きが低下します。働きの低下した酵素を修復するため、植物はヒートショックタンパク質を作り出します。ヒートショックタンパク質は、働かなくなった酵素と結びつき、酵素の働きを正常に戻します。このヒートショックタンパク質を作り出すのに、オリゴ糖が関わっています。

    オリゴ糖は、ヒートショックタンパク質の前駆体、つまりヒートショックタンパク質が生成される前段階にある物質というわけではありません。オリゴ糖は、具体的に言うと植物の細胞壁の一部です。研究によると、オリゴ糖はヒートショックタンパク質の生成など植物細胞にストレス応答を引き起こす特定のシグナル伝達経路を活性化することが示されています。これには、環境ストレス(例えば高温)が原因で細胞壁が部分的に分解されることにより放出されるオリゴ糖が関与しており、これらが細胞の防御機構を刺激するシグナルとして働くことが知られています。

    したがって、ある方法で植物の細胞壁を壊して、その断片を植物に与えると、植物がヒートショックタンパク質を作り出すきっかけになるのです。このように外からオリゴ糖を与えることで、植物がヒートショックタンパク質を自らの力で作り出すことを促進し、植物の耐性向上に貢献しています。

    ポリアミン

    それではもうひとつの物質、ポリアミンについて見てみましょう。ポリアミンも植物が作り出す成分で、アグリテクノ社の抽出物にも含まれています。

    ポリアミンは植物の細胞内で重要な役割を果たし、特に光合成活性の維持に寄与します。具体的には、ポリアミンは植物細胞の膜安定性を高め、光合成に必要なクロロフィルの合成を促進することが研究により示されています。これにより、植物はストレス条件下でも光合成効率を維持し、全体的な生産性が向上します。

    ポリアミンは、人間の健康にとっても非常に重要な物質で、人間が長生きするためにも欠かせません。長寿国として知られている日本では特に、ポリアミンについてよく研究されています。日本の人が長生きである理由のひとつは、食生活にあります。米や根菜類はポリアミンをたくさん生成することが分かっています。これらを摂取することで、私たち人間も健康になることができ、植物にとっても同じように効果があります。

    ポリアミンは、トウモロコシやビートにも多く含まれています。植物から抽出した植物エキスを使うことは植物に良いだけでなく、人間にとっても利益があります。したがって、アグリテクノ社の製品は、人にとって完全に無害です。極端な成分や有害な物質を植物に与えているわけではなく、全てが人にも優しい天然の成分なのです。

    ポリアミンが植物内でどのような役割を果たしているか見てみましょう。下図のように、ポリアミンが植物内でさまざまな成分を生成していることが見て取れます。ポリアミンはタンパク合成に関わっており、植物の成長にとって非常に重要な物質です。ポリアミンにはいくつか種類がありますが、なかでも代表的なものは、スペルミン(SPM)、スペルミジン(SPD)、プトレシン(PUT)です。

    ポリアミンは植物でも自然に作られますが、その前駆体がアミノ酸のオルニチンとアルギニンです。植物にオルニチンやアルギニンを与えると、植物はより多くのポリアミンを生産し始めます。植物に直接ポリアミンを与えることも可能ですが、植物が自らポリアミンを生み出せるよう前駆体を与えることもできるのです。

    オルニチンを生産する植物はたくさんありますが、アグリテクノ社では植物から直接取り出すだけでなく、微生物を用いた発酵によっても生産しています。これが味の素の原料としてアミノ酸を豊富に含む理由です。

    まとめ

    今回は、アグリテクノ社のバイオスティミュラントが自然の耐性メカニズムをどのように応用し製品を開発しているか、そして特定の成分が実際に植物の成長と耐性にどのように貢献しているかについて紹介しました。

    自然界の植物は高温などのストレスに対抗するために、生理活性物質を作り出して適応します。アグリテクノ社のバイオスティミュラントはこのメカニズムを応用し、植物に与えることで生理活性物質の生成を促し、ストレスへの耐性を向上させます。

    また、アグリテクノ社のバイオスティミュラントの主原料には、200種類以上の有機化合物が含まれています。これらの原料を複数組み合わせることで、単独で使うよりもはるかに大きな効果が発揮されます。

    バイオスティミュラントに含まれる成分は、植物の耐性を向上させたり成長を促進したりする働きがあります。オリゴ糖は遺伝子にシグナルを送り、ヒートショックタンパク質の生成を促し、働きの低下した酵素を修復します。また、ポリアミンは光合成率を上げ、植物の健康な成長に貢献しています。

    次回Vol.4では、バイオスティミュラントの製品開発へのアプローチについて、詳しく見ていきましょう。

     

    次回のVol.4のリンクはこちら↓

     アグリテクノの根幹:自然模倣、植物本来の力を引き出すバイオスティミュラント革命 Vol.4(全4回)

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     アグリテクノの根幹:自然模倣、植物本来の力を引き出すバイオスティミュラント革命 Vol.2(全4回)

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