アグリテクノの根幹:自然模倣、植物本来の力を引き出すバイオスティミュラント革命 Vol.4(全4回)

チュートリアル 更新日:

 

 

当記事では、YouTubeチャンネル「味の素グループアミノ酸肥料ch」で公開されている動画「【科学的/徹底解説】アグリテクノの製品はなぜ効果があるのか?農業技術の専門家が科学的に解説します」の内容をテキスト化してご案内しています。

 

製品開発へのアプローチ

前回Vol.3では、アグリテクノ社のバイオスティミュラント製品が自然の耐性メカニズムをどのように応用して開発されているのか、そして特定の成分が実際に植物の成長と耐性にどのように貢献しているのかについて、具体的な事例と科学的根拠をもとに解説しました。

今回は、アグリテクノ社のバイオスティミュラントの開発プロセス、そして製品そのものについて詳しく紹介します。これらの製品が植物の成長と健康にどのように貢献するのか、そしてアグリテクノ社の製品の独自性についてもお伝えします。

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目次

    適切な原材料の選定、抽出方法、発酵プロセスの重要性

    アグリテクノ社のバイオスティミュラントはどのように製造開発されているのでしょうか。原材料の選び方や製造工程について、詳しく見ていきましょう。

    原材料の選択

    アグリテクノ社のバイオスティミュラント製品は、植物から抽出した成分を主な原料として製造されています。バイオスティミュラントは植物のさまざまな問題を解決しますが、原材料の選び方は非常に重要です。目的に合った植物や品種を適切に選ぶことはもちろん、植物のどの器官から成分を取り出すのか、正しく判断することも大切です。これらを適切に選択することで、高品質かつ植物に与える効果の高いバイオスティミュラントの製造が可能となります。

    例えば、稲の成長や収量アップのために使われる成分であるベタインの場合を見てみましょう。米作りにベタインを使うと、米の収穫量を30%も増やせるうえに、粒の充填不足や不稔子実のような問題も改善します。

    ※この30%の収穫量増加というデータは、農業研究機関による実験から得られたものです。具体的には、ベタインを含むバイオスティミュラントを使用した場合と使用しなかった場合とを比較したフィールドテストに基づいています。これらのテストは、異なる土壌タイプと水分レベルの条件下で行われ、ベタインが特に乾燥状態での稲の生育を助け、収穫量を顕著に向上させることが確認されました。

    このように効果のあるベタインをしっかり手に入れるには、適切な原材料を選ぶことがカギとなります。米、タバコ、トマトのようなベタインをほとんど作らない植物からバイオスティミュラントを作ると、その製品にはベタインが含まれていないことになります。一方で、トウモロコシやソルガム、ビートから作ると、ベタインを含んだバイオスティミュラントができあがるのです。

    抽出方法の選択

    バイオスティミュラントを作るために植物から成分を取り出す際は、その抽出方法も重要になります。もし、抽出方法が目当ての成分にとって悪影響を与えるなら、その有効成分を壊してしまうことになるからです。したがって、植物から成分を引き出す時は、水のような優しい素材を使うのがベストなのです。植物由来の有効成分をできるだけそのまま活用できるように、成分を損なわない方法で抽出されています。

    発酵プロセスの役割

    アグリテクノ社の製品開発において、とても重要な工程のひとつが発酵です。味の素のアミノ酸が発酵から作られるのをご存知でしょうか。微生物を用い、それらが発酵を通じて特定のアミノ酸を作り出すのです。アミノ酸はタンパク質のもととなるため、発酵は植物にとって有益な機能性分子を作り出すためのキーポイントなのです。

    発酵はアグリテクノの製品や原材料を生産するうえで非常に重要な役割を担っています。なぜなら、土壌中の微生物が多くの有益な成分を生み出しているからです。土壌中の微生物はオーキシン、ジベレリン、サイトカイニンなどを生産しています。そのため、これらの微生物を用いて植物エキスを発酵させると、多くの有益な成分を得ることができるのです。

    また、微生物を用いてアミノ酸を生産する際には、アミノ酸に加え、微生物が生み出す二次的成分としても多くの有益な成分が生成されます。

    例をひとつ挙げましょう。枯草菌はバイオスティミュラントの分野ではよく知られている菌ですが、枯草菌はスペルミジンというポリアミンを作り出せます。植物エキスから採れた良い素材を使えば、それを微生物に適した栄養分で凝縮し、枯草菌を増やすことができるのです。

    つまり枯草菌に良い環境を提供して増やせば、スペルミジンが手に入るのです。また、スペルミジンだけではなく、植物にとってメリットのあるいろいろな成分も同時に得られます。酵素や抗酸化物質、土壌中のリンを可溶化するもの、窒素固定を助けるものなどです。また、枯草菌が作る特定の成分が、植物が鉄や亜鉛のような微量要素を根から吸収するのを手助けしてくれます。

    このような良い働きをする微生物から得られる多種多様の有益な成分を濃縮し、植物に供給するのです。さらに、土壌中の微生物を強化するためにバイオスティミュラントを土に撒くこともできます。

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    アグリテクノの製品範囲と、それぞれの特定の利点や使用方法の紹介

    ここではアグリテクノ社のバイオスティミュラント製品を具体的に紹介します。バイオスティミュラントの性質によって6つのグループに分類しました。

    土壌施用バイオスティミュラント

    土壌に施用するバイオスティミュラントです。

     

    [アグリフル:土壌環境改善、花芽充実、着果向上]
    土壌の物理性、生物性、化学性のバランスの悪い土壌や栄養素が不足している土壌での使用が推奨されます。早春や成長期初めに適用することで、土壌中の栄養素の可用性を高め、花芽の発達と着果を促進します。これにより、作物の全体的な健康と収穫量が向上します。
      [ テカミンライズ:根を強化する根張剤]
      特に若い植物や定植ストレスを受けやすい植物に適しています。根系の発展を促進することで、植物が水分や栄養素をより効率的に吸収できるようになり、全体的な成長と耐性が向上します。
      [アグリフル・アンチソル:良質な土壌向け、塩害対策] 
      塩分濃度が高い土壌での使用に最適です。塩害から植物を保護し、塩分によるストレスを軽減することで、植物の健康を維持し、生育を促進します。

        葉面散布バイオスティミュラント

        葉に散布するバイオスティミュラントで、作物の代謝を活性化させ、成長促進とストレス耐性向上の効果があります。幅広い作物に育苗から成熟期まで汎用的に使える基本のバイオスティミュラントです。

         

        [テカミンマックス:植物の生育促進、光合成能力低下時のサポート]
        光合成能力が低下している植物や、生育が遅れている植物に適用することが効果的です。特に雲が多い日が続く時期や、病気から回復中の植物に使用することで、生育を促進し、元気を取り戻す手助けをします。

          アミノ酸キレート微量栄養素

          キレート化した微量要素を含む製品です。キレート化とは、養分をアミノ酸などで挟み込んで吸収されやすくすることです。微量要素とは植物が成長するために必要不可欠な栄養素で、その必要量がごくわずかなもの、例えばマンガン、ホウ素、鉄などを指します。

          • テクノケル・アミノミックス:微量要素欠乏を予防し、収量や品質を向上
            特に微量要素が不足しやすい砂地や軽い土壌での使用が推奨されます。連作している圃場で収量が落ちるなど、隠れた微量要素の飢餓が疑われる場合なども推奨できます。作物の生育初期に適用することで、亜鉛や銅などの必要な微量要素の供給を保証し、苗の健全な成長を促進します。成長期、開花期等に散布することで微量要素を必要なタイミングに素早く供給することができます。

            • テクノケル・アミノCaB:カルシウムとホウ素を補給、細胞壁を強くすることで落花や落果を防止
              開花前と果実が形成される期間に施用することが最適です。カルシウムとホウ素が豊富に含まれており、これらが花と果実の組織を強化し、落花や落果を防ぎます。 

            ※注釈:キレート化は、植物が栄養をより効率的に吸収できるようにするための科学的な方法です。このプロセスでは、アミノ酸や他の有機分子が微量要素、たとえば鉄や亜鉛などのミネラルを包み込むことで、これらの栄養素が植物の細胞によってより簡単に取り込まれる状態になります。キレート化された栄養素は、土壌中での流失が少なく、植物の成長に必要なミネラルが効果的に利用されるようになります。

            特定の目的のために施用する機能性バイオスティミュラント

            特定の目的のために特化された機能を持つバイオスティミュラントです。

            • テカミンフラワー:花芽の充実や開花を助け、結実を促進
              植物が花芽を形成する時期に最も効果的です。特に開花直前に散布することで、落花を防止し受精を促進、着果の向上が期待できます。

              • テカミンブリックス:作物の糖量やサイズの増加、着色促進をサポート
                果物や野菜の成熟期間中に使用することで最大の効果が得られます。特に色づきが重要なぶどうやトマトなどの作物に適しており、糖度の向上と鮮やかな着色を促進します。

              水稲・豆類・穀物類に特化したバイオスティミュラント

              水稲、豆類、小麦やトウモロコシなど、穀物に特化したバイオスティミュラントです。これらの作物に最適なアミノ酸と微量要素が配合されており、素早く最適なアミノ酸と微量要素を供給することができます。

              • ファーティグレインフォリアー:各種欠乏症対策、収量・品質の向上、生育促進
                テカミンマックス同様、作物の代謝を活性化させ、成長促進とストレス耐性向上の効果があります。成長期、開花期等に散布することで微量要素を必要なタイミングに素早く供給することができます。

              なお、テカミンマックスとアグリフルは、植物にとって有益な成分を多く含み、広く汎用的に施用できる基本のバイオスティミュラントです。この2つの製品には多くの成分が含まれており、植物内でさまざまな効果を発揮します。特にテカミンマックスには100種類ほどの有機物やバイオスティミュラント有効成分が含まれています。。

              アグリテクノのバイオスティミュラントの利点

              バイオスティミュラントが植物の健康、収量、品質にどのように貢献するのか

              アグリテクノ社のバイオスティミュラントは、植物が環境から受けるストレスを低減し、健康的な成長をサポートすることで、収穫量の増加や品質向上に貢献します。

              例えば、植物は高温にさらされると熱により酵素が機能停止してしまいますが、バイオスティミュラントを施用することで、植物はヒートショックタンパク質を多く作り出し、酵素の働きを正常に戻します。過度な高温が植物に与える影響は数多くあり、光合成の速度が落ちたり、糖やエネルギーが減少したりというさまざまな問題が起こります。そのような場合も、バイオスティミュラントに含まれる複数の有機化合物が各所で機能することで問題を解決へと導きます。

               

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              アグリテクノの独自性

              アグリテクノ社のバイオスティミュラントは、さまざまな原料を組み合わせた複合的な製品です。複数の原料を組み合わせただけではなく、ひとつの原料に200種類以上の有機化合物が含まれているのが大きな特徴です。それらを組み合わせることで、さまざまな原料に含まれる分子が相乗効果を生む形で働いています。

              例えば、アグリテクノ社の製品に含まれる多様な有機化合物は、植物の自然な生理反応を促進し、ストレス耐性を高めることが科学的に証明されています。これにはアミノ酸、ポリフェノール、糖類などが含まれ、それぞれが特定の植物の成長段階や環境ストレスに対応する機能を持っています。具体的には、これらの化合物は植物の抗酸化システムを強化し、病気や塩害、乾燥などの環境から植物を保護します。さらに、これらの成分は植物の根系の発展を促進し、養分と水の吸収を改善することで、全体的な健康と生産性を向上させます。

              バイオスティミュラントを植物に与えた際の効果について、ポリアミンの水稲に対する散布試験を例に見てみましょう。稲にポリアミンを葉面散布したところ、生産性の向上が確認できました。ポリアミンは塩害などの環境によるストレスにも効果があるため、塩分の多い土壌で使用することで稲の収量を増加させます。

              競合製品との差別化ポイント

              このように、アグリテクノ社の製品は非常に多くの物質を組み合わせて作られています。バイオスティミュラントの製造においては特定の分子だけを使う方法もありますが、相乗効果を生むさまざまな分子を多く使うほうが、それだけ有効に機能します。

              アグリテクノ社のバイオスティミュラントには、植物体で働く数多くの分子が存在しています。そのため、植物に与えると植物中のさまざまな遺伝子が活性化されます。光合成に関わる遺伝子、成長に必要な遺伝子、物質の運搬に関連する遺伝子などが活発に働くことで、植物に必要な生理活性物質の生成を促します。そのような形で植物の健康な生育を多面的にサポートしています。

              またアグリテクノ社では、正しい原料を選ぶこと、適切な抽出方法を見つけること、最適な発酵手法を選ぶこと、最適な濃縮方法を決めること、そしてその製品をいつどう使うべきかを理解すること、など数多くのステップに細かく注意を払いながら、バイオスティミュラントを製造しています。もちろん、原料の混合比率やその実施タイミングなども厳密に管理されています。

              まとめ

              シリーズの最終回である今回は、アグリテクノ社のバイオスティミュラント製品における開発プロセスと製品自体について詳しく紹介しました。また、これらの製品が植物の成長と健康にどのように貢献するか、さらにアグリテクノの製品の独自性についてもお伝えしました。

              バイオスティミュラントは、植物が自然の中で環境ストレスに対応しながら適応するしくみを応用した農業資材です。バイオスティミュラントを植物に与えることで、植物が環境ストレスに強くなったり、収穫量や品質が向上したりすることが期待できます。アグリテクノ社では、原材料とする植物の品種や植物器官の部位を細かく選定し、最適な抽出方法で成分を取り出しています。また、植物にとって有益な成分を多く得るため発酵プロセスにも細心の注意を払っています。

              アグリテクノ社のバイオスティミュラント製品は、用途別に以下のような種類があります。

              • 土壌施用バイオスティミュラント
              • 葉面散布バイオスティミュラント
              • アミノ酸キレート微量栄養素
              • 特定の目的のために施用する機能性バイオスティミュラント
              • 水稲・豆類・穀物類に特化したバイオスティミュラント

              アグリテクノ社のバイオスティミュラントは他社製品と異なり、複数のバイオスティミュラントを組み合わせた複合的な製品です。製品中に含まれる数多くの有機化合物がさまざまな遺伝子に働きかけ、相乗的に効果を発揮します。同時に多くの効果を期待できることが、アグリテクノ社のバイオスティミュラントの優れた点です。

              これまで全4回にわたり、アグリテクノ社のバイオスティミュラントについて詳しくお伝えしてきました。

              Vol.1では、アグリテクノ社が自然のプロセスをどのように製品開発に応用しているのかを解説しました。

              自然界の植物は、高温などのストレスを感知すると、植物内にシグナルを出し生理活性物質を作り出します。植物は作り出された物質を使い、外部からのストレスに対抗します。アグリテクノ社のバイオスティミュラントは、植物から抽出した生理活性物質を主原料として作られています。それを植物に与えることで、植物が持つ本来の力を引き出し、植物の成長や発育を自然に促す働きがあります。

              Vol.2では、植物が過度な高温に適応していく仕組みと、アグリテクノ社のバイオスティミュラントの植物に対する働きを、事例も交えて紹介しました。

              植物が高温にさらされた時に起きる問題は多くありますが、そのひとつに熱による酵素活性の低下があります。その際、植物はヒートショックタンパク質を生成し不活性酵素を活性化させ、正常な生理機能を回復しています。そうすることで、光合成の減少や細胞の劣化といった問題も解決します。アグリテクノ社のバイオスティミュラントは、植物の生理活性物質の生成をアシストし、植物の耐性向上に貢献します。

              Vol.3では、アグリテクノ社のバイオスティミュラントの製品開発について、主原料を科学的に分析し、特定成分が植物にどう貢献しているかを詳しく解説しました。

              アグリテクノ社のバイオスティミュラントは、200種類以上の有機化合物を含む原料が複数組み合わされており、これらが植物の中にあるいろいろな遺伝子を活性化させ、植物の健康な生育に貢献しています。その成分の一例として、オリゴ糖やポリアミンがあります。オリゴ糖は、植物がヒートショックタンパク質を生成する働きを促し、酵素を修復します。ポリアミンは、光合成速度の低下という問題を和らげます。

              このように、アグリテクノ社のバイオスティミュラントにはさまざまな有機化合物やアミノ酸が含まれており、これらが互いに作用して相乗効果を発揮しています。原材料は、植物はもちろん人にも優しい天然の成分でできており、極端な成分や有害な物質は含まれていません。天然の成分が植物の成長や発育を自然に促す、環境に優しい農業資材なのです。また、バイオスティミュラントは土に施用することで土壌環境の改善、ひいては土壌中の有益な微生物を増やすことにもつながります。

              気象の異変も多い近年、農業において環境ストレスへの対策は避けては通れないものとなっています。バイオスティミュラントは、自然のプロセスを応用することで、植物の健康的な成長と質の高い作物の安定的な収穫に貢献します。ぜひ活用をご検討ください。

               

              【 注目を集めているバイオスティミュラント資材】

               

               

               【過去の記事はこちら↓】

              アグリテクノの根幹:自然模倣、植物本来の力を引き出すバイオスティミュラント革命 Vol.1(全4回) 

               

              アグリテクノの根幹:自然模倣、植物本来の力を引き出すバイオスティミュラント革命 Vol.2(全4回)

               

               アグリテクノの根幹:自然模倣、植物本来の力を引き出すバイオスティミュラント革命 Vol.3(全4回)

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